産婦人科オンラインを用いた支援プログラムで、働く女性のヘルスリテラシー、生活習慣、受診行動、生産性が改善する可能性示唆
産婦人科オンラインを用いた支援プログラムで、働く女性のヘルスリテラシー、生活習慣、受診行動、生産性が改善する可能性示唆 ~経済産業省
令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」事業結果~ この度、 株式会社Kids Public (東京都千代田区 代表:橋本直也)は、
経済産業省が公募した【 令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」における補助事業者】の対象に採択され、
事業成果を令和3年3月に報告しました。
本プロジェクトでは産婦人科医が代表を務め、 働く女性へオンラインでの健康支援プログラムを提供し、 有効性を検証しました。 結果、
支援プログラムの総合満足度は83%と高く、 プログラムの提供によって「ヘルスリテラシー」「生活習慣」「生産性」「受診行動」の良好な変化が認められました。
■結果の概要(主要なものを抜粋)
プログラムの提供によって「ヘルスリテラシー」「生活習慣」「生産性」「受診行動」に下記のような良好な変化がみられました。
対照群と比較することで、 本プログラムの提供による効果を客観的に評価することができました。
■「働く女性へのオンライン支援プログラム」の概要
株式会社Kids Publicは、 妊娠前、 妊娠中、 産後、 更年期以降という全ての女性のライフステージで生じる悩みや不安に、
オンライン医療相談という形で対応してきました。
これまでに培ってきたノウハウと数万件に及ぶ相談対応実績、 そして専門職の豊富な知見をもとに、
本事業では「働く女性へのオンライン健康支援プログラム」を協力企業(株式会社パソナ)の女性社員30名(介入群)に提供しました。 また、 介入群とは別に、
同社の女性社員30名を「サービスを提供しない対照群」として募集しました。
事業開始時と終了時に両群へオンライン調査票を送付し、 両群から得られた回答を事業開始前後で比較することで、 支援プログラムの有効性を客観的に検証しました。
なお、 本事業で対象とした社員は「妊娠中または産休・育休中ではない女性社員」であり、 事業期間は2021年7月下旬~2022年3月でした。
(事業概要図)
■3つの提供サービス
サービス提供期間は令和3年8月16日~令和4年2月18日の約6ヶ月間であり、 介入群30名へ以下の3つのサービスを提供しました。
(1)オンライン相談窓口(遠隔健康医療相談)の提供
産婦人科・小児科領域におけるオンライン相談窓口として、 平日夜間に予約制でメッセージチャットや通話によるリアルタイム相談が可能な「夜間相談」、
相談をメッセージでいつでも送ることができ24時間以内に返答をもらえる「いつでも相談」の2種類を自由に利用していただきました。
相談対応者は全て現役の専門家(産婦人科医、 小児科医、 助産師)です。
(2)産婦人科医とのオンライン定期面談
産婦人科医による月1回程度の定期面談(30分/回)を実施しました。 面談では近況の共有と医師からのアドバイス、
そして体系的に構成されたミニレクチャー*を行いました。 レクチャー資料は産婦人科医と産業医が共同で作成したものです。
これにより、 不安や疑問を相談する心理的・物理的ハードルを下げるだけでなく、 日々の生活習慣や精神的ストレスへのアドバイスや、
女性の健康に関わる大切な知識・情報の提供を図りました。
* 20-30代:全6テーマ(月経関連、 月経前症候群、 プレコンセプションケア、 婦人科がん[子宮頸がん・乳がん]、 不妊治療、 メンタルヘルス)
40代以上:全6テーマ(月経関連、 月経前症候群、 婦人科がん[子宮頸がん・子宮体がん]、 婦人科がん[乳がん]、 更年期、 メンタルヘルス)
(3)定期的な医療記事配信
主にヘルスリテラシーの向上を目指し、 メールやLINEを通じて、 定期的に医療記事を配信しました。 この医療記事は、 株式会社Kids
Publicに所属する現役の産婦人科医、 小児科医、 助産師が執筆したものです。
■得られた成果
事業開始時・終了時ともに、 送付した全員から回答を得ました。 ただし、 介入群の1名が退職に伴い2021年11月に事業参加を辞退したため、
終了時アンケートは合計59件の回答でした。
介入群と対照群の開始時点での背景情報(年齢層、 子どもの有無、 在宅勤務割合、 月経状況、 妊娠希望、 更年期症状の有無など)に大きな差はなかったことから、
得られた結果の比較可能性はあるものと考えられました。
【支援プログラムへの評価】
(1) 介入群の83%が、 プログラムに総合的な満足感を持っていました
(2) 介入群の97%が、 定期面談により健康・医療の知識や健康的な生活習慣への関心が高まったと回答しました
(3) 介入群の86%が、 レクチャー内容に興味・関心を持っていました
(4) 介入群の69%が、 医療・健康情報の定期配信が役立ったと回答しました
【ヘルスリテラシーの変化】
(1) 月経や婦人科疾患の理解度
月経困難症の正しい知識を持つ人の割合が、 介入群では開始時67%から終了時72%へ増加しました(一方、 対照群では73%→67%へ低下していました)。
(2) 2年以内の婦人科検診受診有無
乳がん検診を事業期間内に受けた人/近日中に受ける予定の人が、 介入群では90%(開始時+3%)、 対照群では83%(開始時±0%)でした。
受診した/予定の理由のうち、 介入群では「本プログラムの提供」が16%を占めていました。
(3) ワクチンの正しい理解
HPVワクチンについて正しい知識を持つ人の割合が、 介入群では開始時60%から終了時100%へ大幅に増加しました(一方、
対照群では53%→60%への増加のみでした)。
(4) プレコンセプションケアの理解
プレコンセプションケアの内容を知っている人の割合が、 介入群では開始時20%から終了時47%へ大幅に増加しました(一方、
対照群では0%→10%への増加のみでした)。
【生活習慣改善度】
(1) 月経や更年期などを意識した運動、 食事、 睡眠の工夫
・健康状態を意識して運動習慣を整えられている人の割合が、 介入群55%(開始時+27%)、 対照群30%(開始時+13%)と大きく差が開いていました。
・健康状態を意識して食事習慣を整えられている人の割合が、 介入群66%(開始時+26%)、 対照群43%(開始時+10%)と大きく差が開いていました。
・健康状態を意識して睡眠習慣を整えられている人の割合が、 介入群66%(開始時+19%)、 対照群43%(開始時+10%)と大きく差が開いていました。
(2) 月経周期に合わせた生活リズム管理
月経周期を考慮し生活リズムを整えられている人の割合が、 介入群46%(開始時+8%)、 対照群27%(開始時-2%)と大きく差が開いていました。
【月経や婦人科疾患等による生産性への影響】
婦人科系の要因で体調変化がある際の仕事の質を普段の60%以上維持できている人の割合が、 介入群93%(開始時+4%)、 対照群75%(開始時±0%)であり、
わずかではありますが介入群で改善が認められました。
【適切な産婦人科受診】
「婦人科系の症状や泌尿器系の症状を感じた時は、 適切に産婦人科を受診できている」と回答した人の割合が、
介入群では72%(開始時+29%)へ大幅に増加していました(一方、 対照群では47%→43%へ減少していました)。
【参加者の声】
アンケートで得られたコメントを一部紹介します。
・健康に関する知識が増えたため、 日常生活でも関心を持つようになりました。
・日々健康を意識し、 自分の身体と向き合うようになりました。
・娘のこと(ワクチンや生理痛など)について伺えた事が非常に良かったです。
・プロに質問できたため安心感や納得感が高かった。
・以前から疑問や不安に思っていたことが解消されました。
・得られた情報をさらに調べたり、 同僚との会話の話題にしたりしました。
・計画的に体調を整えたりライフプランを考えたりする必要性を感じられました。
なお、 本事業で得られた成果は学術集会や学術論文として発表予定です。
*事業計画や成果報告書は経済産業省特設ページからダウンロードが可能です。
https://www.femtech-projects.jp/project/6.html
■産婦人科オンライン代表/本事業責任者 産婦人科医 重見大介 コメント
今回、 経済産業省による令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」補助事業者として採択され、
とても意義のある事業成果を報告できたことを大変嬉しく思っています。 産婦人科医が代表を務め、 産業医と連携し、 企業の協力をいただきながら、
働く女性への「オンライン支援プログラムの提供による有益性」を前方視的に検証する取り組みは日本で初だと考えています。
結果として、 支援プログラムの提供は「ヘルスリテラシー」「生活習慣」「生産性」「受診行動」に良好な変化をもたらす可能性があることがわかりました。
働く女性が専門職とのしっかりしたつながりをオンラインで維持することで、 今回得られたようなメリットが期待できるだろうと考えており、
これは職域における新たな女性の健康支援につながるものだと確信しています。
■お問い合わせ先
株式会社Kids Public 広報室(担当:春山)
所在地:東京都千代田区神田小川町1-8-14 神田新宮嶋ビル4階
TEL:03-6206-8803
E-Mail:[email protected]
設立日:2015年12月28日
代表者:代表取締役 橋本 直也(小児科医)
事業内容:「子育てにおいて誰も孤立しない社会の実現」を理念として、 インターネットを通じて子どもの健康や子育てに寄り添う。
提供サービス:
【遠隔健康医療相談サービス】
「小児科オンライン」
「産婦人科オンライン」
【医療メディア】
「小児科オンラインジャーナル」
「産婦人科オンラインジャーナル」
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