「医師の働き方改革」に関連して、研修医を対象としたアンケート調査を実施 ~6割の研修医が「勤務先から働く時間を短縮するよう指示を受けた」と回答~
医療分野の子会社 メディカル・プリンシプル社
株式会社クリーク・アンド・リバー社(以下C&R社)の医療分野の子会社である株式会社メディカル・プリンシプル社(以下MP社)は、2024年4月から施行される
「医師の働き方改革」を目的とした改正医療法に伴い、「民間医局」の医師会員である研修医(2021年、2022年に医学部を卒業した方)を対象に、「医師の働き方」についてアンケートを実施し、118人から回答を得ました。
その結果、回答者の6割以上が、勤務先から勤務時間を短縮するように指示を受けたことが分かりました。また、勤務時間の減少に伴い、医師としての手技の習得時間が減っている実態が浮かび上がりました。なお、調査結果の詳細は、医師の情報収集Webサイト「民間医局コネクト」内の記事(
https://connect.doctor-agent.com/article/column469/)にて、 ご覧いただけます。 []
■調査背景
「医師の働き方改革」では、医師の長時間労働を改善することなどを目的に、時間外労働の上限が規制されます。
医師の働き方が長時間労働となる背景には、勤務時間内の診療のほかに、若手医師は、勤務時間外に院内に残って手技を習得するため、自己研鑽を積むことが当たり前になっていることがあります。
そこで、「民間医局コネクト」では、2021年と2022年に医学部を卒業した研修医を対象として、「働き方改革」に関する実態を調査すべく、オンラインでアンケートを実施しました。
■調査結果サマリー
・6割以上の研修医が、勤務先の病院から「勤務時間短縮に関する具体的な指示があった」と回答
・勤務時間短縮の結果、「医師としての修練にネガティブ、ポジティブどちらの影響も出た」と半数以上が回答
・勤務時間が短縮した結果、3割が「医師としての修練時間が減った」と回答
・勤務時間短縮により、「自宅で図書などを通じて学ぶこと」や「セミナーや講習コンテンツ」を活用する傾向
・研鑽の場は勤務先だけに限らず、外部セミナーなど幅広く活用
・今後の「医業の修練」で活用したいのは、外部セミナーや講習
■調査結果
1. 6割以上の研修医が、勤務先の病院から「勤務時間短縮に関する具体的な指示があった」と回答
医師の時間外労働の上限は、原則年960時間、月平均で80時間とすることを柱に、厚生労働省が医療機関などへ積極的に働きかけています。今回の調査では、医師の働き方改革の影響で、回答者の6割超が勤務先の病院から「残業時間の制限など、勤務時間を短縮するよう指示があった」と回答しました。
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2. 勤務時間短縮の結果、「医師としての修練にネガティブ、ポジティブどちらの影響も出た」と半数以上が回答
勤務時間が短縮した結果、「医師としての修練」に影響があったかについて質問したところ、半数以上の人が「ポジティブな影響とネガティブな影響のどちらもあった」と答えています。また、「ネガティブな影響があった」とだけ答えた人と、「ポジティブな影響があった」とする人は、どちらも2割程度でした。
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3. 勤務時間が短縮した結果、「医師としての修練時間が減った」と3割が回答
勤務時間の減少に伴う具体的な影響について質問(複数回答可)したところ、回答者57人のうち、3割近くの研修医が「勤務時間が短くなることで、手技の習得時間が減った」と回答しました。
さらに、「勤務時間外で症例に自発的に関わる機会が減った」という人(12人)や「上級医に教わる機会が減った」という人(7人)もいました。
研修医にとって、手技の習得や症例などに関わる経験は、医師として今後の診療技術向上にも関わる問題のため、対策が必要な課題であると言えます。勤務時間が制限されることで、症例について知見を深める機会が減っている実態が浮かび上がりました。
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4. 勤務時間短縮により、「自宅で図書などを通じて学ぶこと」や時間や場所を問わず学べる「セミナーや講習コンテンツ」を積極的に活用する傾向
勤務時間短縮に伴い、どのような対応をしているのかについて質問しました(複数選択可)。
最も多かったのは、「図書などで研鑽する」という人が、半数近くにのぼりました。
また、「外部の動画コンテンツを利用して知識を深める」という人も有料・無料を合わせて4割近くを占め、時間や場所を問わずに学べるツールを活用して、勤務時間以外でも積極的に学ぶ様子が伺えます。
その他にも、2割が「勤務時間外に病院に居残り、上級医とコミュニケーションする」と回答したことから、経験年数の浅い研修医にとって、専門的知識の習得のための上級医との対面コミュニケーションを大事にしたいという思いもあるようです。
一方、全体で2番目に多かったのが「自己研鑽は行うが、勤務時間短縮の影響は全くない」という回答もありました。
回答した研修医たちは、医学部生の時からコロナ禍を経験しており、リモート授業やオンラインでの講習にも慣れています。
従来、医療現場で当たり前とされていた「研修医が研鑽を積むためには、勤務時間外でも院内に残って習得する」という意識は少しずつ変化してきているのかもしれません。
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5. 研鑽の場は勤務先だけに限らず、外部セミナーなど幅広く活用
現在、「医業の自己修練」としてどんなことを行っているのかについて聞きました(複数回答可)。最も多かったのは、「専門科目の診療に関する学習」で、半数以上の63人が行っていると答えました。勤務先で行うことが多い「手術や回診などの見学」も32%が実施していると答えています。
回答で2番目に多かったのは、「外部のセミナー・講習の受講」で、半数近い人が取り組んでいると答えました。研修医が「医業の自己修練」をする場は、勤務先はもちろん、勤務先以外でも積極的に取り組んでいる様子が伺えました。
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6. 今後も「医業の修練」で活用したいのは、外部セミナーや講習
今後、取り組みたい自己修練について聞きました(複数回答可)。最も多かったのは「外部セミナー・講習の受講」で、「資格取得のための準備・学習」、「専門科の診療に関する学習」と続きました。文献検索などの研究や、海外の論文を読むのに欠かせない「語学学習」も、2割以上の人が取り組みたいと答えました。
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■まとめ
今回のアンケートでは、回答した6割以上の研修医が勤務先から働く時間を短縮するよう指示を受けたと回答しました。
それに伴って、ポジティブな影響も、ネガティブな影響も両方あったと答えた人が半数以上に上ったという結果から、医師の勤務時間の短縮への取り組みは、メリットばかりとは言い切れないようです。
特に勤務時間減少による影響として3割近くの医師が挙げた「手技の習得時間が減った」という問題は、医師としてのキャリアにも影響があるため、今後は研修医を受け入れる医療機関にも具体的な対策や指導が必要となりそうです。
アンケートに回答した研修医たちは、コロナ禍の中で医学教育を受けてきており、「医師の働き方改革」によって勤務時間が短縮する中、勤務先ではない外部セミナーなども活用して学んでいる様子も伺えました。
厚生労働省が公表した「医師の働き方改革について(令和3年度第一回医療政策研修会及び地域医療構想アドバイザー会議)」で示された”目指すべき未来”は、「今は多忙な医師も、自己研鑽に十分な時間を割くことができる」「研究にも十分に時間を注げる」「十分な休息で疲労を回復し、笑顔で働ける」といった状況の実現です。
(参考資料:
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000818136.pdf)
医師や研修医たちが自己研鑽できる場は、勤務時間を過ぎても病院に残って学ぶということから、オンラインによるセミナーなど、時間や場所に縛られずに学べるような手段を充実させることも必要だと言えそうです。
【調査概要】
調査期間 : 2023年3月31日~4月10日
対象 : 「民間医局」会員の研修医
回答者数 : 118人
回答者属性: 2021年、2022年に医学部を卒業した研修医
※引用・転載時のお願い
本調査結果及びデータの引用・転載の際は、「株式会社メディカル・プリンシプル社調べ」と弊社クレジットの表記と運営元の株式会社メディカル・プリンシプル社(
)へのリンク記載をお願いいたします。
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■株式会社メディカル・プリンシプル社 会社概要
本 社 : 東京都港区新橋四丁目1番1号 新虎通りCORE
設 立 : 1997年1月
代 表 者: 代表取締役社長 由良芳從
拠 点 : 東京(本社)・大阪・札幌・仙台・さいたま・横浜・船橋・高崎・金沢・名古屋・京都・神戸・高松・広島・福岡・熊本・那覇
事業内容: 医師等 職業紹介業、医学生・研修医臨床研修支援サービス事業、医療界向け情報提供事業
事業概要:
「民間医局」をブランドに掲げ、医師紹介業を中心に、医療業界への多面的なサポート事業を行っています。医師の紹介事業「民間医局」における医師・医学生の登録会員数は約153,000人、契約医療機関約17,000施設に対し、年間約71,000件の紹介を行っています。また、臨床研修支援サービスとして日本最大規模の研修病院合同説明会「レジナビFair」を全国で開催し、研修医・医学生向けWeb説明会「レジナビFairオンライン」や、医師向け月刊ヒューマンドキュメント誌「DOCTOR’S
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■株式会社クリーク・アンド・リバー社 会社概要
本 社 : 東京都港区新橋四丁目1番1号 新虎通りCORE
設 立 : 1990年3月
代 表 者 : 代表取締役社長 黒崎 淳
拠 点 :
東京(本社)・大阪・札幌・仙台・さいたま・横浜・川崎・船橋・高崎・金沢・名古屋・京都・神戸・高松・広島・福岡・熊本・那覇/ソウル・上海・北京・ロサンゼルス
事業内容:
映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家、医療、IT、会計、法曹、建築、ファッション、食、コンピュータサイエンス、ライフサイエンス、舞台芸術、CXO、アスリート、アグリカルチャーの18分野でプロフェッショナルに特化したエージェンシー(派遣・紹介)、プロデュース(開発・請負)、
ライツマネジメント(知的財産の企画開発・流通)事業を展開。プロフェッショナルの叡智で革新的な事業を無限に創造している。
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