世界初 海洋深層水を活用した牡蠣の完全陸上養殖に成功ノロウイルスフリーの”あたらないカキ”『エイスシーオイスター2.0』が誕生
海洋深層水を活用した牡蠣の完全陸上養殖に成功ノロウイルスフリーの”あたらないカキ”『エイスシーオイスター2.0』が誕生
日本最大級※1のオイスターバー運営ゼネラル・オイスターが東京大学生物生産工学研究センターと共同研究、日本・アメリカ・中国・台湾にて特許取得
牡蠣の種苗生産・養殖、卸販売、オイスターバーの運営など牡蠣の6次産業化を展開する株式会社ゼネラル・オイスター(本社:東京都中央区、代表取締役社長:吉田秀則、以下
当社)のグループ会社である株式会社ジーオー・ファーム(本社: 沖縄県島尻郡久米島、代表取締役:吉田秀則、以下
GOファーム)は、沖縄県久米島で海洋深層水を活用した牡蠣の完全陸上養殖に世界で初めて成功※2し、ノロウイルスフリーの"あたらないカキ※3″『エイスシーオイスター2.0』として発表いたします。
※1 富士経済「外食産業マーケティング便覧2022」より
※2 海洋深層水を活用した牡蠣の完全陸上養殖、及び、完全陸上養殖によって成貝まで生育したことが世界初。
※3
“あたらないカキ”とは、人に害を与えるウイルス、細菌類、貝毒などの病因を含まない海洋深層水を使用した、完全陸上養殖の環境下で生育された牡蠣で、喫食者の体調・免疫反応による体調変化は除外。外部検査機関におけるノロウイルス検査実施済み。
* 牡蠣の6次産業化を目指すゼネラル・オイスター
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当社は、「Everybody oyster」のビジョンのもと、『8TH SEA OYSTER
Bar』などのレストラン26店舗を経営する直営店舗事業と、安全性の高い牡蠣を安定供給する卸売事業、安全性の原点となる種苗・養殖事業、牡蠣加工事業を展開しています。牡蠣ビジネスの6次産業化を確立し、一貫して安全性の高い高品質の牡蠣を提供しています。今春には「8TH
SEA OYSTER」ブランドの牡蠣成分が入った栄養サプリメント、『エイス シー オイスター
サプリメント』の販売を開始するなど、牡蠣の美味しさと魅力を発信する取り組みを行っています。
* 陸上養殖研究開発の背景
2006年のノロウイルスの流行以降、貝類、なかでも牡蠣は食中毒感染のリスクが高い食品として嫌煙されることが多くなりました。ノロウイルスは感染力を長期間保持できることも特徴です。感染者の糞便などにより排出されたノロウイルスが下水処理場で完全に浄化されないまま河川へ排出され、海域に流れ込み、それを牡蠣が体内に取り込み、汚染された牡蠣を人が食べるという循環の間、感染力を維持し続けています。
これまで牡蠣のノロウイルス汚染を排除するため、浄化方法や様々な研究、取り組みが行われてきました。生食用牡蠣について、出荷前に紫外線照射水などによる浄化を20時間程度行う方法が主流ですが、この方法では牡蠣の中腸腺に蓄積・濃縮されたウイルスの多くは除去されるものの、完全な除去は困難であるとの見解が示されています※4。つまり、この浄化方法では、餌とともに牡蠣が体内に取り込んだノロウイルスを完全に取り除くことは出来ず、ノロウイルスに汚染された牡蠣が市場に流通してしまいます。
※4 引用文献
誌名:食品衛生学雑誌 ISSN:00156426 発行元:日本食品衛生学会 著者名:国立感染症研究所西尾治氏、他 巻/号:46巻6号
掲載ページ:p.235-245 発行年月:2005年12月
* ゼネラル・オイスターの安心安全への取り組み
~富山県入善の海洋深層水で浄化した「8TH SEA OYSTER 1.0」~
ゼネラル・オイスターでは、独自で牡蠣の安全性を高める研究開発を行っています。
そもそも、牡蠣は餌である海水中の植物性プランクトンを取り込もうと、1時間に約20リットル、1日約400リットルもの海水を吸い、吐き出しています。牡蠣は海をきれいに浄化する貝類といわれるほど、海水の状況により牡蠣自体も影響が及びます。
海洋深層水の特性と特徴 []
海洋深層水の特性と特徴
一般的には、牡蠣が取り込む海水を紫外線で殺菌して牡蠣の体内を浄化する紫外線殺菌海水を用いた方法が取られていますが、より高い安全性を求めて当社は海洋深層水に注目しました。海洋深層水とは、太陽光が届かず、表層の海水と混ざらない水深200m以深の海水のことで、極めて清浄性の高い海水です※5。清浄な海洋深層水を確実に牡蠣の体に廻らせることで牡蠣は浄化されるのです。
※5 海洋深層水の清浄性にて立証「海洋深層水研究(Deep Ocean Water Research)」,3(2),91-1002002 高橋正征氏・池谷透氏著
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当社は、この浄化メソッドを確立し、2014年7月に富山県入善町に浄化センターを設立。特許技術を用いて海洋深層水による牡蠣の浄化を行っています。日本全国から仕入れた牡蠣を海洋深層水をかけ流しにした畜養プールで48時間以上浄化。細菌数、大腸菌(E.coli)最確数、
腸炎ビブリオ最確数を、自社で設けた安全基準の数値まで低下させます。48時間以上かけて浄化することにより、限りなく安全な牡蠣に仕上げています。ここで浄化した牡蠣を8番目の海・海洋深層水から「8TH
SEA OYSTER 1.0」として年間約600万個以上を直営レストランや公式通販サイトをはじめ、ホテルや飲食店に販売しています。
「8TH SEA OYSTER 1.0」 監修:
公益財団法人日本科学協会会長、東京大学名誉教授、高知大学名誉教授 高橋正征氏
前 東京大学大学院農学生命科学研究科 特任准教授 博士(農学)、
現 玉川大学学術研究所 特任教授 倉橋みどり氏
~独自の安全基準で徹底リスク回避~
当社では、食品衛生法に定められた基準よりも厳しい自社基準に従った検査体制を確立し、年間2,000検体以上のノロウイルス検査を実施するなど、牡蠣のリスクを限りなく低減することに取り組み、ノロウイルスが検出されないロットのみを流通しています。ノロウイルス自社検査の具体的な結果として、2022年度には検査数2,121件実施し、検出数は162検体※6、7.6%の陽性率です。
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※6
食品衛生法で定められた生食用牡蠣の規格基準は細菌に関する3種のみで、ノロウイルスは自主検査です。ゼネラル・オイスターのノロウイルス自社基準は国が定める10.0コピー未満を陰性、10.0コピー以上を陽性という基準に対して、リアルタイムPCR法により0.1コピーでも検出されたロットは流通しません。そのため、検出数162検体は自社基準による0.1コピー以上検出された検体数です。
* 牡蠣の食中毒リスクをゼロにする方法「陸上養殖」
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牡蠣の食中毒リスクを無くすためには、牡蠣を汚染しているウイルスの完全な除去方法、あるいはウイルスを殺滅する浄化方法の開発、もしくはウイルス汚染のない環境での牡蠣の飼育が必要とされてきました。
そこで、当社では、元々、ノロウイルスの存在しない環境で牡蠣を完全陸上養殖する事業会社として、GOファームを沖縄県久米島に設立し、2014年2月より実証実験に取り組んできました。
* 課題は牡蠣のエサ「植物プランクトン」をいかに大量培養するか
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完全にノロウイルスが存在しない海水として、海洋深層水を養殖海水に使用することにしました。しかし、課題となったのは、海洋深層水には人に害を与えるウイルス・細菌が存在しない代わりに、牡蠣の餌となる微細藻類※7(植物プランクトン)も存在しないことでした。
そのため、GOファームはまず、海洋深層水の清浄性と富栄養性※8を活用した微細藻類の大量培養技術や無菌培養技術の研究を進めました。2013年、東京大学生物生産工学研究センターとの共同研究で、海洋深層水を活用した微細藻類の大量安定培養技術を確立しました。また、藻類の波長に応じた独自のLEDの開発もメーカーと行い、現在特許を共同出願中です。
※7
藻類のうち1ミリメートルから1マイクロメートルほどの大きさである植物プランクトン。微細藻類は光合成で有機物を生産して、水圏の生態系における食物連鎖の基盤を担っており、上位の栄養段階の生物に栄養を供給している。
※8
沖縄県久米島の海洋深層水の水深は612m。光も届かず、植物プランクトン等による光合成が行なわれないため、栄養塩が消費されない結果、ケイ酸態ケイ素、リン酸態リン、硝酸態窒素などが多く含まれています。
牡蠣の陸上養殖事業イメージ []
牡蠣の陸上養殖事業イメージ
* 世界初!カキの完全陸上養殖に成功
国内外で陸上での種苗採卵や、稚貝と呼ばれる1~3cm程度までの生育は行われていますが、その後は海域に移動し生育されています。これは稚貝以降の成貝までの生育に必要な大量の餌となる微細藻類の培養が困難なことが大きな要因です。
GOファームでは、微細藻類の大量安定培養技術、及び完全陸上で成貝まで成育させる飼育技術を確立したことにより、この度、ノロウイルスフリーの“あたらないカキ”の養殖が実現しました。これにより、これまでリスクが高いとされていた牡蠣に、確実な安全性をもたらすことができました※9当社では、この”あたらないカキ”を「8TH
SEA OYSTER
2.0」と名付けて、ブランド化を図ります。既に本技術は牡蠣の陸上養殖方法として特許を取得しています。(特許第6267810)また、海外においても台湾、中国、米国の3か国にて取得済み、1か国は出願審査中です。
※9 外部検査機関における自主ノロウイルス検査実施済
「8TH SEA OYSTER 2.0」の検査結果
(1)細菌検査 検査依頼機関:一般財団法人 宮城県公衆衛生協会
試料名
細菌数(/g)
E.coli最確数(/100g)
腸炎ビブリオ最確数(/g)
検査日
陸上養殖カキ
300未満
18未満
3.0未満
2023年7月27日
食品衛生法の規格基準が定める、生食用牡蠣の成分規格
1.細菌数50,000/g以下 2. E.coli 最確数 230/100g以下 3.腸炎ビブリオ最確数100/g以下
(2)ノロウイルス自主検査 検査依頼機関:一般財団法人 宮城県公衆衛生協会
試料名
ノロウイルスの値
検査日
陸上養殖カキ
UD(検出されず)
2023年7月27日
UDとは「ノロウイルスが検出されない」結果です。
また、完全陸上養殖により生育した牡蠣の味に関しては、国立研究開発法人水産研究・教育機構との共同研究による遊離アミノ酸の分析結果より、甘味の強い牡蠣である特徴があげられました。そのほか、北海道から九州までの29海域で養殖された31検体の牡蠣の成分分析結果と比較したところ、タウリン※10、グルタミン酸※11、アラニン※12、プロリン※13、及び、遊離アミノ酸トータル量が高値を示しました。アミノ酸はそれぞれ栄養機能性を持つものとタンパク質を構成しているものが多いため、栄養価値も高いと評価されました。
※10 中性脂肪、血中悪玉コレステロールを減少させ、血圧を正常に保つ作用
※11 うまみ成分の代表で、脳の機能を活性化させる作用
※12 カキの甘味に関与、アルコール代謝を改善する作用
※13 コラーゲンの主要な構成成分
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単位:mg/100g
* 市場流通へ向けて量産化、今後の展開
今後はIoT技術などを駆使した量産化施設の建設を想定しています。
量産化に向けたファーストステップは、年間数十万個、その後のセカンドステップでは年間数百万個の生産を想定しています。
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現在も世界中で、リスクの高い牡蠣の取扱いを敬遠するホテルや百貨店、レストランなどが多数あります。職業上、牡蠣の喫食を控えなければならない方も多くいらっしゃいます。ノロウイルスフリーの完全陸上養殖の“あたらないカキ”「8TH
SEA OYSTER 2.0」の流通により、オイスターの生食文化を守り、世界中に食の楽しみを拡大創出することを目指してまいります。
次なる研究は、陸上養殖で与える微細藻類の種類により、牡蠣の栄養機能性、旨み成分をコントロールする技術開発です。本研究においては、今後も国立研究開発法人水産研究・教育機構との共同研究※14を行い、さらに各研究機関との連携を予定しています。出荷前の味向上の技術や、元々栄養豊富な牡蠣における栄養機能性をテーマにした研究に取り組んで参ります。
※14 契約期間令和4年10月31日~令和6年3月31日 研究課題名「カキの呈味特性に関する研究」
* 持続可能な陸上養殖へ向けて
この度誕生した”あたらないカキ”は、沖縄県久米島の海洋温度差発電の発電後海水※15を二次利用しています。発電に使用された海洋深層水は、清浄性や富栄養性は保たれたまま、水温が上昇し、牡蠣の生育に最適な水温となっています。
牡蠣の生育段階によって、適水温は異なります。海洋深層水原水の水温は、牡蠣にとって冷たい時期もあります。陸上養殖における化石燃料や電気による加温は環境負荷、及びランニングコスト高騰という大きな問題点でした。この課題に対し、GOファームでは発電後海水を利用することにより克服することができました。
なお、平成29年度、30年度「沖縄県海洋温度差発電における発電後海水の高度複合利用実証事業」において、発電後海水を利用することによる経済性、牡蠣の成長効率性の向上を実証しています。
久米島での牡蠣陸上養殖イメージ []
久米島での牡蠣陸上養殖イメージ
このようなクリーンエネルギーを中心とした海洋深層水の多段利用は「久米島モデル」と呼ばれ、現在、世界の島嶼地域から注目が集まっています。発電後の資源をさらに陸上養殖で有効活用し、環境負荷の低減に取り組んでいます。
今後は牡蠣の餌である微細藻類、及び牡蠣殻の炭素固定量の増大や、養殖排水の二次利用など、牡蠣の陸上養殖を通して海の豊かさと自然環境を守る持続可能な陸上養殖を目指します。
※15 海洋表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組み。
ゼネラル・オイスターは、これまでリスクの高い牡蠣を自社で安全性を極め、多くの方に安心して召しあがっていただける牡蠣を提供してきました。今後は、安全性のさらなる追求と共に、持続可能な陸上養殖の進歩発展に努め、逼迫した環境問題に立ち向かいます。次の時代を担う子供たちに未来というバトンを繋ぐことが、私たちの最大の使命ととらえ、真摯に取り組み、進化し続けて参ります。
* 「8TH SEA OYSTER 2.0」技術指導者の紹介
公益財団法人日本科学協会会長、東京大学 名誉教授 高橋 正征(たかはし まさゆき)氏
生態学者として長年研究に携わり、東京大学名誉教授、高知大学名誉教授のほか、公益財団法人日本科学協会会長、公益社団法人日本水産資源保護協会会長などを務めている。専門分野は、生態学、生物海洋学、地球環境科学、海洋深層水利用学。海洋深層水利用学会
会長在任中にゼネラル・オイスターと出会い、以降、陸上養殖や海洋深層水の活用方法について学術指導、及び共同研究。今年7月からはGOファームの監査役に就任。
一般社団法人全国水産技術協会 理事 關 哲夫(せき てつお)氏
エゾアワビや牡蠣の種苗生産の研究に携わった後、財団法人かき研究所にて研究部長を務める。その後、全国の水産庁研究所や、現
国立研究開発法人水産研究・教育機構の各機関に従事。退官後は、宮城海区漁業調整委員会、農林水産技術会議事務局の評価委員などを歴任し、2015年より、ゼネラル・オイスターと陸上養殖事業におけるコンサルタント契約を締結。以降、陸上養殖の指導をしている。
* 会社概要
2000年創業、2016年より株式会社ゼネラル・オイスターへ商号変更しました。「オイスターの未来を創り、食文化の進歩発展に貢献する」という企業理念のもと、牡蠣を主体とするレストラン・オイスターバーを経営する直営店舗事業と、安全性の高い牡蠣を安定供給する卸売事業、安全性の原点となる種苗生産・養殖事業を展開しています。全国に26店舗のオイスターバーを展開し、陸上養殖実験施設(沖縄県)、浄化施設(富山県)、加工工場(岩手県)等で事業を推進。牡蠣ビジネスの6次産業化を確立し、一貫して安全性の高い高品質の牡蠣を提供しています。未来の牡蠣、先端をいく安全性を追究し続けています。
社名:株式会社ゼネラル・オイスター
代表者:代表取締役社長 吉田秀則
所在地:東京都中央区日本橋茅場町2丁目13番13号 JRE茅場町二丁目ビル7階
設立:2000年4月3日
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