東京都が犬猫の実験用払下げ廃止を決めるきっかけとなった事件にまつわる実話『実験犬シロのねがい』を発売!

知ってはいたけど知らないふりをしていた人たちの心も動かした一匹の白い犬。実験動物の実態に胸が苦しくなり、動物保護に奔走する人たちの活動に胸が熱くなる。

株式会社ハート出版(本社:東京都豊島区池袋 代表取締役:日高裕明)は、 ずさんな動物実験の実態を暴き、

動物実験を廃止する流れをつくった話を児童書として発売しました。 大人が子どもにもウソをつかず、 ちゃんと教えて考えられるように工夫された物語です。

保健所の存在は小学生でも高学年なら知っているだろう。 だが、 保健所に持ち込まれた(捨てられた)犬や猫たち、 元ペットたちの運命まで知っている子は少ない。

大人が本当のことを教えないからだ。 残酷な事実をはばかった教育的な配慮か、 「命を大切にしなさい」と教えている負い目なのか。 だが、

本書に登場する動物好きの少年は、 保健所に持ち込まれた犬たちの末路を知ることになる。

シロという犬は保健所から動物管理事務所へ送られ、 千三百円で、 ある国立病院の実験施設に「実験犬」として買われてしまう。 そして、

脊髄の神経を切る手術をされる。 切られた神経がどうやって回復するか調べるためだ。 医学の研究のために必要と考える大人は多いが、

本当にそこまでしなければならない実験なのか、 と著者は物語を通して静かに訴える。

本書には、 サルの頭蓋骨を開いて脳に電極を差し込む実験や、 ウサギの目に化粧品の成分をぬる実験なども描かれる。 子どもだけでなく大人も目をそむけたくなる。

動物たちは泣くことも声をあげることもできず、 ただ人間には見えない涙を流すだけだ。

すでに知見のある手術だったり、 動物を使わない代替の方法もあるはずなのに、 これ以上、 罪のない動物たちを苦しめるのはやめようという著者らの思いは、

子供たちにこそ強く伝わるだろう。 シロにほどこされた実験の結果は、 どこにも報告されず、 シロはそのまま実験施設の狭い檻に放置されてしまった。 脚は曲がり、

白い毛は全身抜け落ち、 抜糸されない傷口は膿だらけのままで…。

不毛な実験をしたのが人間なら、 そんなシロを救い出したのもまた人間である。 シロの救出に活躍した動物保護団体が、

実験動物にかかわる実情や数値などを巻末で報告しているので、 大人が読んで子供にやさしく教えるのにも適した構成になっている。

カバーの絵と本文の挿絵を描いている画家の葉祥明さんは「人間が動物なら、 動物も人間だ」と書いている。 我々と兄弟の動物たちを苦しみから救うこと、

それこそが人類の愛であるとも。

本書は2011年に刊行したハンカチ文庫『実験犬シロのねがい』をリサイズ編集した新装版です。

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・著者プロフィール

井上夕香(いのうえ・ゆうか)

東京都生まれ。 1975年『ハムスター物語』で毎日新聞児童小説新人賞に入選。 1992年『魔女の子モッチ』(学習研究社)で、 小川未明文学賞優秀賞、

『星空のシロ』(国土社)で、 けんぶち絵本の里びばからす賞、 青少年読書感想画コンクール優秀賞1位。

『実験犬シロのねがい』2011年度青少年読書感想文全国コンクール毎日新聞社賞。

おもな作品に『老犬クータ命あるかぎり』(ハート出版)、 『わたし獣医になります!』(ポプラ社)、 『ばっちゃん』『ハナンのヒツジが生まれたよ』(小学館)、

『み~なそろって学校へ行きたい!』(晶文社)、 『イスラーム魅惑の国ヨルダン』(梨の木舎)、 『ムナのふしぎ時間』(KADOKAWA)、

『六時の鐘が鳴ったとき』『ふし

ぎ猫ナズレの冒険クルーズ』『ちびだこハッポンの海』(てらいんく)、 『学校へ行きたい!』(秋田書店漫画化、 携帯書籍)、

ほか『シロと歩いた道』など漫画化されたノンフィクションも多い。

・書籍情報

書名:実験犬シロのねがい<新装版>

著者:井上夕香

仕様:A5判並製・164ページ

ISBN:978-4-8024-0110-4

発売:2020.12.07

本体:1,200円(税別)

発行:ハート出版

書籍URL:

http://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0110-4.html