JAGES機構、日本福祉大学、オムロンが大分県竹田市における通所型サービスC(短期集中予防サービス)による要介護リスク低減および介護給付費適正化の検証結果を報告

オムロン株式会社(本社: 京都市下京区、代表取締役社長

CEO:辻永順太)は、2024年3月18日、要介護リスク低減および介護給付費適正化の可能性について、一般社団法人日本老年学的評価研究機構(以下、JAGES機構)および日本福祉大学と共に調査検証を行った成果を発表しました。

介護業界での人手不足が課題視される中、オムロンは長期ビジョンの中で、「健康寿命の延伸」を取り組むべき社会的課題の1つに掲げています。要介護高齢者を未然に健康な状態に保つことを目指し、2019年より、オムロンのICT技術を活用した自立支援事業に取り組んでいます。

2020年7月、オムロンと大分県は、高齢者の自立支援に資する介護予防サービス普及に向けた連携協定を結びました(大分県モデル事業)。県内市町に参画いただき、通所型サービスC(短期集中予防サービス)を中心とした自立支援に資する地域づくりを目指しています。

この取り組みの一つとして、オムロンは、大分県竹田市における要介護リスク低減および介護給付費適正化の可能性について、JAGES機構および日本福祉大学に調査検証を委託しました。

通所型サービスCは介護予防・日常生活支援総合事業の1つであり、事業対象者および要支援認定者を対象に生活課題にアプローチして、自立支援を行うプログラムです。日本の要介護高齢者は増加し続け介護費総額は2021年度に11兆円以上となっており、このようなプログラムの充実が急務となっています。通所型サービスCで成果が得られれば生活機能向上に伴う介護予防効果が期待されます。

本検証では、大分県竹田市にて2016~2019年度に通所型サービスCを利用した約130人と、2019年度にJAGESが実施した「健康とくらしの調査」に協力いただいた高齢者を比較対象とし、要介護リスク低減および介護給付費*適正化への可能性を検討しました。その結果、利用グループの要介護リスクでは、高齢者の心身機能低下を評価する基本チェックリストの各項目における該当割合が2~20%低減しました。(結果1)また、介護給付費は、同一市内での未利用グループと比べ、利用グループでは1人あたりの3年1か月累積が約50万円低くなりました。(結果2)

このことから、通所型サービスCは利用者の要介護リスクの低減を促し、介護給付費適正化に寄与する可能性が明らかになりました。今後は、この要介護リスクの低減効果がどのような利用者に顕著であったかを深掘りしていくとともに、JAGES機構および日本福祉大学が用いた全国規模の介護給付費データベースとの比較を行うなど検証を継続していく予定です。

*「保険者向け給付実績情報(111CSV)集計情報レコード」に基づき算出。この中に、「介護給付」、「予防給付」、「自治体が国保連合会に報告をしている総合事業の費用」を含む。一方、「全額自己負担の介護関連サービス」、「介護予防支援・居宅介護支援」、「福祉用具購入」、「住宅改修にかかる費用」は除外。

(結果1):通所型サービスC利用前後で利用者の要介護リスク低減

基本チェックリスト:厚生労働省が提示している65歳以上高齢者の心身の状態から生活機能を評価する指標群であり、全国の市町村で活用されている。

(結果2):利用グループの3年間の1人あたりの介護給付費は未利用グループを基準に約50万円低い

サービス未利用グループの介護給付費の累積値は、利用グループと比較して、1年目、2年目における差より3年目の方が大きくなっており、介護給付費の適正化効果は3年目以降により大きな差となることが推測される。

一般社団法人 日本老年学的評価機構

https://www.jages.net/

日本福祉大学

https://www.n-fukushi.ac.jp/

【オムロン株式会社について】

オムロン株式会社は、独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、ヘルスケア、社会システム、電子部品等多岐にわたる事業を展開しています。1933年に創業したオムロンは、いまでは全世界で約30,000名の社員を擁し、130カ国以上で商品・サービスを提供しています。詳細については、

https://www.omron.com/jp/ja/をご参照ください。