「気持ちよさ」重視 固有名詞、年号は極力カット 古市憲寿氏の異色の日本史入門『絶対に挫折しない日本史』が10万部突破!

古市憲寿氏の異色の日本史入門『絶対に挫折しない日本史』が10万部突破!

今年9月に発売された古市憲寿氏の『絶対に挫折しない日本史』が22日、 発売3カ月足らずで10万部を突破した。

著者の古市氏は、 作家として、 またテレビのコメンテーターとしてもお馴染みの存在だが、 もともとの肩書は「社会学者」。 歴史の専門家ではない。

同書はその点を「強み」に変換し、 大胆に通史を解説したのが特徴だ。

(c)seiji shibuya

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「まえがき」で古市氏は、 書店には「わかりやすさ」をアピールする日本史の本が膨大にあるが、 それは歴史に苦手意識を持つ人がたくさんいることの証明だ、

と述べたうえで、 こう続ける。

「なぜ人は日本史に挫折してしまうのか。 まず覚える人名や用語が多すぎるのがよくない。 高校生が大学受験のために使う『日本史用語集』には、

「学習に必要と思われる用語」が何と1万700も収録されている。 必ずしも全ての用語を覚える必要はないが、 あまりにも多すぎる。

しかも歴史教科書には大したヤマもオチもない。 特に古代史や中世史では、 権力者の歴史ばかりが延々と説明される」

この考えから、 同書では極端なまでに固有名詞や年号を排した形で、 歴史の流れが記述されていく。 もっとも、 古市氏は執筆に際して、 膨大な専門書、 論文を熟読。

同書の註釈は400を超える。

しかしながら、 一方で意識したのは「気持ちよさ」だという。

「高いタワーの展望台に上って街を見下ろした時のように、 対象から遠く離れた時にだけ見える景色がある。 全貌を把握する快感を日本史という対象でも味わって欲しい。

そして一度、 俯瞰図を頭の中に展開できるようになれば、 この本よりもずっと難解で退屈な歴史書も理解しやすくなるだろう」(同)

ITによって記憶力が大きな意味を持たなくなることもあってか、 受験などでも細かい年号や固有名詞ではなく、 理解を問う論文問題が重視される傾向にある。

その際に必要なのは細かい断片的な知識ではなく、 歴史を大きく捉える能力だろう。

こうしたことも、 ヒットの背景にあるようだ。

【著者紹介】

古市憲寿(フルイチ・ノリトシ)

1985(昭和60)年東京都生まれ。 社会学者。 慶應義塾大学SFC研究所上席所員。 日本学術振興会「育志賞」受賞。

若者の生態を的確に描出した『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、 メディアでも活躍。 他の著書に『誰の味方でもありません』『平成くん、 さようなら』など。

【タイトル】『絶対に挫折しない日本史』

【発売日】2020年9月20日

【造本】新書

【本体定価】880円(税別)

【ISBN】978-4-10-610876-1

【URL】

https://www.shinchosha.co.jp/book/610876/