皮脂の酸化が頭皮のかゆみの一因となるメカニズムを確認

https://prtimes.jp/

ブラウザで見る

第一三共ヘルスケア株式会社 プレスリリース:2024年10月18日 報道関係各位 皮脂の酸化が頭皮のかゆみの一因となるメカニズムを確認

IFSCCブラジル大会(2024年10月14日~17日)にて発表

第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広、以下「当社」)は、頭皮の皮脂が酸化することで生じる過酸化脂質が、神経線維伸長に関与するセマフォリン3A(Sema3A)の減少を引き起こすことによって頭皮のかゆみが起こるメカニズムを明らかにしました。さらに、東亜化成株式会社(本社:大阪市中央区、社長:朝井健之)と共同で開発したハマメリタンニン(HT)高含有ハマメリスエキス(以下「HT高含有エキス」)が、過酸化脂質によって引き起こされるセマフォリン3A(Sema3A)の減少を抑制することを見出しました。これにより、HT高含有エキスは、頭皮のかゆみを予防・改善できる可能性があると考えられます。

今回の研究成果は、本年10月14日から17日に開催されたIFSCCブラジル大会(IFSCC Congress 2024)にて発表しました。

1.研究の背景

当社では、長年にわたり肌のかゆみに着目した研究開発を進めており、今回は新たに頭皮のかゆみに焦点を当てました。頭皮のかゆみは、睡眠不足や集中力の低下など、QOL(生活の質)に影響を及ぼす重要な問題です。頭皮の表面を覆う皮脂は、紫外線によって過酸化脂質に変化します。皮脂量と頭皮トラブルの度合いが相関することは知られていますが、これまで過酸化脂質と頭皮のかゆみの関連性については、十分な研究が行われていませんでした。

かゆみはC線維と呼ばれる神経線維の活性化によって引き起こされます。特にアトピー性皮膚炎の患者においては、C線維の先端が真皮から表皮に侵入する現象が見られます。これには軸索ガイダンス因子として知られる神経成長因子(NGF)の増加と、神経反発因子のセマフォリン3A(Sema3A)の減少が起因していることが明らかになっています。

そこで当社は、頭皮のかゆみのメカニズムを解明することを目指し、皮脂の酸化によって生じる過酸化脂質が軸索ガイダンス因子に与える影響を確認しました。さらに、高い抗酸化作用をもつハマメリスエキスと、その作用の主な関与成分として知られるハマメリタンニン

(HT) に着目して、東亜化成株式会社と共同でHT高含有エキスを開発し、頭皮のかゆみに対する予防・改善効果の検証を行いました。2.試験方法と成果

頭皮のかゆみを引き起こすメカニズムを解明し、さらにその改善の方法を探索するため、以下の試験を実施しました。

(1)過酸化脂質がセマフォリン3A(Sema3A)を減少させることの確認

表皮角化細胞および三次元表皮モデルを用いて、代表的な皮脂成分であるオレイン酸の過酸化物(過酸化脂質として)を添加し、セマフォリン3A(Sema3A)の遺伝子発現、タンパク質量の変化を評価しました。

その結果、過酸化脂質が遺伝子発現量およびタンパク質量を減少させることが確認されました【図1】【図2】。

【図1】表皮角化細胞におけるSema3A遺伝子発現量

【図2】三次元表皮モデルにおけるSema3Aタンパク質量(2)HT高含有エキスが過酸化脂質によるセマフォリン3A(Sema3A)の減少を抑制することの確認

表皮角化細胞および三次元表皮モデルを用いて、HT高含有エキスを事前に添加した後、オレイン酸過酸化物(過酸化脂質として)を添加し、セマフォリン3A(Sema3A)の遺伝子発現量およびタンパク質量の変化を評価しました。

その結果、HT高含有エキスにより過酸化脂質が引き起こす遺伝子発現量およびタンパク質量の減少が抑制されることが確認されました【図3】【図4】。

【図3】表皮角化細胞におけるSema3Aの遺伝子発現量

【図4】三次元表皮モデルにおけるSema3Aのタンパク質量(3)HT高含有エキスが細胞内抗酸化システムを活性化することを確認

軸索ガイダンス因子は過去の研究において、活性酸素種の発生、すなわち酸化ストレスによってバランスが乱れると考えられています。このことから、HT高含有エキスに活性酸素の発生を抑制する効果があると仮説を立て、細胞内抗酸化システムを活性化する指標となるグルタチオン(GSH)を用いて評価しました。

表皮角化細胞を用いてHT高含有エキスおよびハマメリタンニン(HT)

を添加して24時間後のグルタチオン(GSH)量を解析しました。その結果、HT高含有エキスおよびハマメリタンニン(HT)はグルタチオン(GSH)量を増加させることが確認されました【図5】。

このことから、HT高含有エキスは単に抗酸化活性があるだけでなく、細胞内抗酸化システムを活性化する働きがあることが示唆され、そのことによってセマフォリン3A

(Sema3A) の発現量を改善させることが示唆されました。

【図5】表皮角化細胞におけるGSH量3.今後の展望

本研究によって、過酸化脂質がかゆみに関わる因子であるセマフォリン3A(Sema3A)を減少させることが明らかになりました。さらに、HT高含有エキスによって、その低下を抑制することを確認しました。これにより、HT高含有エキスを頭皮ケア製品へ応用することで、頭皮のかゆみを予防および改善することが期待できます。

当社は今後、本研究を製品開発に応用し、頭皮環境を整え、QOL(生活の質)向上につながる新しいソリューションの提供を目指してまいります。<ご参考>1.

第一三共ヘルスケアについて

第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(*1)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。

現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You

健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。

こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。*1

第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。2. 東亜化成について

東亜化成は、1913年に創業し、「創造性豊かな素材の提供を通じて、お取引先様と社会の発展に貢献する」という理念の下、商社業と製造業の機能を併せ持つ化学品専門商社として歩んで参りました。

当社では、アジアを起点にグローバルに活動地域を広げ、祖業から発展したケミカル分野だけでなく、コスメティクス原料・フード原料といったライフサイエンス分野にも事業を展開しています。

コスメティクス分野(*2)において、商社と製造機能を活かして様々な原料の開発や有効性データの取得にも積極的に取り組み、皆様の課題解決の為に“Last

Piece”を提供し、共に新たな価値を創造して参ります。*2

韓国の機能性原料やインドのUV吸収剤、ブラジルの植物エキス、カナダのクレイなどバラエティに富んだ素材もお取り扱いございます。<リリース原文(PDF)>

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/content/000138249.pdf 当リリースの詳細について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000005551.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000005551.html

※このメールは自動送信されていますので、返信はご遠慮ください。

Posted by owner