レモン果汁への浸漬処理による、鶏肉(むね肉)のやわらかさ等に及ぼす影響を確認

※1…「日本調理科学会2024年度大会

https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/ajscs2024(2024年9月6日~7日)」で発表※2…「食品開発展2024

https://hijapan.info/(2024年10月23日~25日)」に出展■ 研究背景

健康志向の高まりや昨今の物価上昇を背景に、鶏肉の需要が高まっている一方で、鶏むね肉について「パサつきや硬さが気になる」等の調査結果もあり、当社では鶏むね肉をやわらかくしたいニーズがあるのではないかと考えました。これまで、レモンの調理機能の一つとして「保水効果(鶏もも肉をレモン果汁に漬け込むことによって、お肉の保水性がアップする)」については、保水量が向上することを(※3)実証していました。本研究では、更に各種加熱調理後の鶏肉(むね肉)のやわらかさや嗜好性に及ぼす影響、そのメカニズムについて検証を行いレモン果汁の調理機能における有用性を科学的根拠として示します。

※3…レモンを使って毎日の料理をもっとおいしく!

https://www.pokkasapporo-fb.jp/lemon-museum/know/tips/■ 研究方法

(1)試験食品:2.5cm×2.5cm(約10g)にカットした鶏肉(むね肉)(2)浸漬液(※4):未処理、純水、100%レモン果汁

(3)調理方法:茹で:100℃、4分間、焼き:200℃、10分間、揚げ:180℃、2分間(4)評価方法

1.官能評価:当社パネル11名による基準サンプル(※5)との相対評価2.物性評価:山電社製クリープメーター RE2

33005Cを用いた破断強度および60%歪率を測定噛み切りやすさ:楔型(NO.64)による鶏肉の破断荷重[N]

変形のしやすさ:円板型(NO.2)による歪率60%時の荷重[N]3.メカニズム解明・ミオシン含量:SDS-PAGE(※6)による220KDaのバンドの濃さを検出

未処理を100とした場合の鶏肉中のミオシン量の相対比・コラーゲン量:コラーゲンに特徴的に含まれるヒドロキシプロリン量をHPLC(※7)により定量

未処理を100とした場合の鶏肉中のヒドロキシプロリン量の相対比※4…浸漬液:鶏肉10gあたり30ml

※5…評価基準[1]:純水へ6時間浸漬サンプル、評価基準[5]:レモン果汁に6時間浸漬サンプル※6…タンパク質の分子量の差を利用して分離するタンパク質分析法

※7…液体中の成分を分離・検出する分析手法■ 研究結果1.官能によるレモン果汁の浸漬がやわらかさに及ぼす影響の評価

鶏肉をレモン果汁で漬け込むことで、やわらかさ等の項目で差がありました。(図1)2.浸漬、調理、喫食工程がやわらかさへ及ぼす影響

(1)レモン果汁では、浸漬0.5時間以降「噛み切りやすさ」の尺度となる破断荷重が有意に低下し、茹でた鶏肉がやわらかくなることが確認されました。(図2)(2)

2時間レモン果汁に浸漬した鶏肉は「焼き」および「揚げ」において「変形しやすさ」の尺度となる荷重の値が有意に低下し、加熱方法に問わずレモン果汁への浸漬でやわらかくなることが確認されました。(図3)

(3)「茹で」後の経時的変化への影響として、調理後1時間、2時間経過したレモン果汁において、「変形しやすさ」が有意に低下し、時間が経過しても鶏肉が硬くなりにくいことが確認されまし

た。(図4)3.軟化のメカニズムの検討

レモン果汁では、レモンのクエン酸の作用によって鶏肉のpH(※8)が酸性に偏ることで保水率の上昇が見られました。また、クエン酸が浸透することで、鶏肉が硬くなる要因である筋原線維タンパク質(主にミオシン)や、結合組織タンパク質(主にコラーゲン)の分解・溶出が促され、鶏肉にやわらかさを与えることが確認されました。(図5)

※8…pHは水溶液の性質を測る指標で数字が小さくなるほど酸性が強いことを表す

■まとめ

本研究では、レモン果汁に鶏肉(むね肉)を浸漬することで、加熱調理後の食感がやわらかくなることが確認されました。具体的には、茹でる・焼く・揚げるといった各種調理方法においてもやわらかさを保持し、更に調理後の時間が経過してもやわらかさが持続することも明らかになりました。

これらの科学的根拠から、レモンの有用性が広く伝わり、家庭から業務用ルートでの鶏肉の調理場面においてレモンが役立つ事を目指していきます。 当リリースの詳細について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002717.000012361.html

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