男性不妊の実態調査2024:男性の年齢と精子の質に関する最新データ

日本では約15%のカップルが不妊に悩んでおり、その約半数は、男性に原因があると言われています。今回、大阪梅田紳士クリニックで実施した妊活前後の男性965名の精液検査結果を集計し、統計データをまとめました。この結果からは、年齢とともに精子の質や運動率が低下する傾向がありますが、精子数が規定値に満たない「乏精子症」は、年齢にかかわらず一定の割合で認められ、20代でも10人中1~2人が妊娠が困難な状態にあることが分かりました。

ポイント•日本では約15%のカップルが不妊に悩んでおり、その原因の約半数は男性側にある。•男性不妊への認識が低く、精液検査を受ける男性は少ない。•

精子の質や運動率は、年齢とともに低下する傾向にある。•20代、30代の10人中1~2人の男性が「乏精子症」に該当し、妊娠困難な状態である。•

妊活を望むカップルは、早めに男性の不妊要因を確認しておくことが望ましい。調査期間: 2024年9月1日~9月30日調査対象:

大阪梅田紳士クリニックにおける2022年~2023年の2年間分の精液検査データ男性不妊の現状

現在、日本ではカップルの約15%が不妊に悩んでいます。そのうち、男性側に原因があるケースは全体の約半数を占めていると言われています(参考1)。

しかし、男性不妊に対する認識はまだ十分とは言えず、検査を受ける男性は限られています。女性の年齢が妊娠や出産に影響を与えることはよく知られていますが、男性の年齢も妊娠に関わるという点については、まだ一般的な理解が十分進んでいない状況です。

参考2 WHOの精液検査の基準値(2021年)基準値解説精液量1.4 mL 以上精液の全体量。精子濃度600万/mL 以上精子1 mLあたりの精子数。

この値を下回ると、乏精子症と診断。総精子数3900万 以上精液全体に含まれる総精子数。精子運動率

(総運動率)42% 以上直進運動する精子とその場で動く精子の合計。

この値を下回ると、精子無力症と診断。当院の男性ブライダルチェック・精液検査の解析

大阪梅田紳士クリニックでは、2022年1月から2023年12月までの期間に965名男性のブライダルチェックを実施しました。ブライダルチェックとは、結婚・妊娠に関連する健康診断のような検査です。大きく妊娠能力をチェックする精液検査と性感染症のチェックがあります。今回は、精液検査のデータのみを抽出してお話させて頂きますが、このデータを分析することで、男性の年齢と精子の質、運動率との関係が明らかになりました。

対象年齢

今回の検査には、10代から70代まで幅広い年齢層の方々が参加しました。最も多かったのは30代で、全体の半数以上を占めています。次いで20代、40代の順となっています。

精液量の変化

平均精液量は、年齢とともに少なくなっていくものの、40代までは比較的保たれているのが分かります。50代以降は、平均精液量が大きく落ち込み、60代では20代の半分近くまで数値が落ちています。

精子運動率の変化

精子運動率は、42%以上が正常とされ、この基準を下回ると、「精子無力症

」と診断されます。精子の運動性は、卵子に到達するために欠かせない要素です。運動率が低下すると、妊娠の可能性が下がることが知られており、精子無力症に該当する場合、年間の自然妊娠率が健常者に比べて半分ほどに落ち込むという報告もあります。

精子無力症の割合は、年齢とともに精子の運動率が下がることが分かります。

さらに精子の運動性を「良好な運動精子」「やや良好な運動精子」「やや不良な運動精子」「不動精子」の4段階に分類して、年齢別に比較してみると、年齢が上がるにつれて「良好」「やや良好」の割合が減少し、「不動精子」が増加することが確認されました。

年代別で見た乏精子症の割合

精子濃度は、1600万/mL以上が正常とされ、この基準を下回ると、「乏精子症

」と診断されます。乏精子症に該当する場合、程度にもよりますが、基本的には自然妊娠が健常者に比べて困難であるとされています。各年代別に、乏精子症の割合を見てみると、どの年齢層を見ても、概ね10%以上の人が該当することが分かりました。これは、「

年齢に関係なく、一定の割合でおよそ10人に1~2人は乏精子症であり、自然妊娠が困難な傾向にある」ということになります。男性のプレコンセプションケアの重要性

一般的に、男性側の妊娠因子として重要なのは、精子の運動性と数です。つまり、妊娠には運動性の良い精子が多数存在し、卵子に到達する可能性が高い状態を維持することが望まれます。しかし、今回のデータが示すように、加齢だけでなく、精子の状態は男性自身の健康状態にも大きく左右されることがわかっています。

そのため、妊活を進める際には、男性の健康管理にも十分な注意が必要であることから、当院では、男性の「プレコンセプションケア

」を推奨しています。一般的にプレコンセプションケアとは、将来の妊娠を意識した生活習慣の改善や健康への取り組みのことで、ここで言う男性のプレコンセプションケアは、妊娠を考える前の段階で、男性が自身の健康を整え、精子の質を向上させるためのケアを指します。このケアを実施することで、男性が生活習慣を見直し、加齢による精子の質の低下を抑制しやすくなり、妊娠の可能性を高めるだけでなく、将来生まれる子どもの健康にも良い影響を与えることが期待されます。

具体的に、まず大切なのは生活習慣の改善です。喫煙や過度の飲酒、生活習慣の乱れは、精子の質を低下させ、加齢による精子の質の低下を一気に加速させてしまう要因となります。

精子の健康を保つためには、禁煙や節酒はもちろん、日頃からの適度な運動やバランスの取れた食事を心がけることが大切です。また、肥満や過度な体重の減少も、ホルモンバランスを崩し、精子の数や運動性に悪影響を与えることがあるので、注意しましょう。

さらに、ストレスを管理し、しっかりと睡眠をとることも精子の質を保つ上で重要です。その他、感染症や性行為感染症の予防にも気を配り、定期的な健康診断や精液検査を受けることで、自身の健康状態を把握することを心がけましょう。

まとめ

今回の分析から、加齢に関係なく20代30代でも男性の10人に1~2人は、乏精子症すなわち精子の数が少ない状態であることが分かりました。その上、加齢に伴って精子の運動率は低下していき、妊娠に寄与しない不動精子の割合が増加していくことが分かりました。

このことからも、改めて不妊症は女性だけの問題ではなく、妊娠を望む全ての男性にとって、自分自身の問題として考え、取り組んでいく必要があると言えます。

精子の質が低下すると自然妊娠の確率が低くなり、治療が必要になることも増えてきます。特に30代後半から40代にかけては、計画的な妊娠を考える際に年齢を意識し、自身の健康管理に努めることが重要です。

早期の検査と治療が大切

今回のデータは、男性の年齢も妊娠に大きな影響を与える要因であることを示しています。早めに精子の質を確認し、必要に応じて治療を行うことが、妊娠の成功率を高めるために重要です。年齢にかかわらず妊活を開始する前には、ご自身の精子の状態を確認しておく必要がありますが、特に30代を過ぎる前には精液検査を受け、今後のリスクに備えることが重要です。

メッセージ

男性不妊は決して特殊な問題ではなく、多くの男性が向き合う課題です。精子の質は年齢とともに変化するため、早めに検査を受けることが、将来の妊娠に向けた大きな一歩となります。妊活の一環として、ぜひ一度精液検査を受けてみてください。そして、妊娠を希望するなら、ご夫婦で一緒にプレコンセプションケアにも取り組みましょう。

医療法人奏仁会 大阪梅田紳士クリニック

大阪梅田紳士クリニックは、男性の、男性による、男性のためのクリニックです。主に、EDなどの性機能障害・性感染症・男性不妊・男性更年期障害などデリケートな悩みに専門医が対応します。

医療法人奏仁会 大阪梅田紳士クリニック院長 平山 尚【男性専門】ED・AGA・男性不妊・性感染症 | 大阪梅田紳士クリニック

(gents-clinic.com) 当リリースの詳細について

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