浴の“累積体温上昇”が健康のカギ! 毎日の入浴習慣がもたらす力

早坂信哉教授の研究グループと共同研究 株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:三枚堂正悟)は、東京都市大学 人間科学部

早坂信哉教授との共同研究で、40歳以上の男女を対象として入浴習慣と健康状態について検討しました。その結果、湯船につかる浴槽浴を毎日行うことに加え、日々の入浴で体温を上げ、1週間当たりの累積においても体温を高める習慣が健康維持のカギであることを実証しました。

入浴習慣と健康状態については、入浴頻度と心身の健康状態に関連性があることを報告してきましたが、入浴方法についての報告は少ないのが実情です。本研究では、入浴頻度に加えて、1回の入浴時の体温及び週あたりの累積体温を高めることが健康維持につながることを認め、健康寿命延伸との関連も示唆されました。

本研究は、2024年9月に、「入浴の頻度および体温上昇と健康との関連」と題した論文で、日本健康開発財団雑誌に早期公開されました。【概要】

・入浴実態調査の結果より入浴時の体温変化を推定しました。さらに、1週間当たりの入浴回数を乗じて「週当たりの累積体温変化」を算出しました。「週当たりの累積体温変化」を性別に平均値で2群に分け、高値群と低値群で心身の健康状態を比較しました。

・「週当たりの累積体温変化」の高い群は、質問紙による生活の質や気分状態、歩行試験による歩幅や歩行速度などの歩行状態、老化に関する意識調査、脳活動状態、健康診断時の脂質に関する指標などが良好であることを認めました。

・主観的健康感が高い群は、入浴時に体温を約1.1℃高めていることを認めました。▼週あたり累積体温変化による主な健康状態

(対象者n=54:女性n=22,男性n=32)女性

左図について:生活の質の質問紙(QOL26)の評価の結果、入浴で体温を高めている群が良好であったことを意味しています。

左図について:健康診断の結果、入浴で体温を高めている群が中性脂肪の値が低いことを意味しています。男性

左図について:モニタ画面の数字をタッチ操作した際の速度が、入浴で体温を高めている群が早いことを意味しています。

左図について:「注意力が散漫したと感じますか?」との問いに対し、入浴で体温を高めている群が感じていないことを意味しています。

※上記グラフは、全てp<0.05の有意な差を認めています。【背景・目的】

入浴を提案する具体的な方法は、お湯の温度や入浴時間などで示すことが多いのが実情です。しかし、ヒトの体温の上がり方はお湯の温度や入浴時間、お湯につかる深さによって異なり、さらには年代や性別によっても異なります。そのため、その方に適した入浴法を提案することが必要だと考えられます。そこで、入浴時の体温変化と健康状態との関連性を見出し、「入浴でほどよく体温を高める習慣が健康につながること」を仮説とし、それを実証することを目的としました。

【方法】調査期間 :2021年10月~2022年5月調査対象 :40歳以上の健康な男女(調査参加に同意をいただいた54名)調査項目

:入浴実態調査(入浴頻度、湯温度、入浴時間、深さ)の自記式アンケート、健康状態の質問紙(生活の質、気分プロフィール、健康感等)、健康状態の実測値(歩行試験、脳活動試験、健康診断結果等)

解析方法

:被験者属性(年代、性別)と入浴実態(湯温度、入浴時間、深さ)より入浴時体温上昇値を推定し、入浴頻度を乗じて「週あたり累積体温上昇値」を算出した。「入浴頻度」を週7回以上とそれ以外の2群に分け、健康状態との関係について解析した。「週あたり累積体温上昇値」は、男女間で差を認めたため、性別に平均値で2群に分け、健康状態との関係について解析した。

【まとめ】

入浴習慣である「入浴頻度」および「週あたりの累積体温」を高めることと、QOL(生活の質)の高さとの関連が認められました。また、歩行状態や歩行速度、脳作業時のすばやさ、健康診断での脂質に関する指標等が良好であることとの関連から、体温を高める入浴習慣は、健康寿命の延伸にも貢献することが期待できます。

そこで、1 回の入浴において体温を約

1℃高めること(額にうっすら汗ばむ程度)を目安に、習慣として毎日湯船へつかる入浴を行うことを推奨します。なお、入浴は体調に合わせて行い、入浴前後には水分補給を忘れずに行いましょう。

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