AI技術を用いた研究で肝癌治療の質を向上:学会データベースを活用した肝癌治療予後予測AIシステムの評価を開始
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日本IBM プレスリリース:2025年03月11日 報道関係者各位
AI技術を用いた研究で肝癌治療の質を向上:学会データベースを活用した肝癌治療予後予測AIシステムの評価を開始 一般社団法人日本肝癌研究会 理事長
波多野悦朗(京都大学教授)、理事 建石良介(東京大学准教授)、国立国際医療研究センター 理事長 國土典宏、研究医療部長 山田康秀、肝胆膵外科医師
國土貴嗣、研究員
淺岡良成(帝京大学准教授)、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、日本医師会AIホスピタル推進センターは、一般社団法人日本肝癌研究会が保有する全国原発性肝癌追跡調査を活用し、各患者の治療法別に予後予測を行うことを目指したがん治療予後予測AIシステムを構築しました。本AIシステムは、今月から、研究に参加する会員が評価できるよう試験運用を開始しています。
本年7月下旬までの予定で、実際に行った治療結果と本AIの予測とを比較評価した会員に対してアンケートを行い、AIシステムの性能を評価すると共に意見を収集します。性能確認後に、この新しいAI技術の社会実装を通じて、AIが予測する治療効果の結果を基に、患者、家族、医師、医療スタッフが治療選択を行うための共同意思決定(shared
decision making)を支援することを目指します。
本研究プロジェクトでは、日本IBM、日本医師会AIホスピタル推進センターの協力のもと、日本肝癌研究会がナショナルクリニカルデータベース(以下NCD)のプラットフォーム上に構築したデータベースに集積された膨大な肝癌治療に関する医療情報をAIの学習データとして利用することで、肝癌治療の予後予測AIシステムを構築しました。このAIシステムは個々の患者が想定される治療を行った際の5年生存率や生存期間を含む予後予測を目指しています。
本AIシステムは、肝癌診療ガイドラインに準拠した治療を対象としています。原発性肝癌は肝硬変を合併していることが多く、腫瘍の個数、腫瘍径、脈管侵襲の有無、肝外病変の有無など、癌自体の進行度(病期)に加え、肝臓の予備能に応じて、外科切除、ラジオ波焼灼術、肝動脈化学塞栓療法、分子標的薬など、複数の治療方法の選択肢があります。そのため、同一病期の患者であっても、受診する施設の治療方針により、初回あるいは再燃時の治療が異なる場合が少なくありません。今回の試験運用では、会員は以下のAIシステムによる予後予測機能を評価可能です。
1.原発性肝癌の腫瘍数が1から3個で腫瘍径3cm以内では、外科切除またはラジオ波焼灼術を行った場合の予測5年生存率2.
腫瘍数が1から3個で腫瘍径3cm超では外科切除または肝動脈化学塞栓療法を行った場合の予測5年生存率3.
肝に限局せず他臓器に転移している症例では、分子標的治療薬を投与した場合の予測生存期間を算出します。プロジェクトの将来的な目標は以下の通りです:•
学会(研究会)データベースの活用:信頼性の高いデータをもとにしたAI予測。•共同意思決定(shared decision making)の支援
:患者と医師が協力して治療方針を決定。•医療の質の向上:個別の患者に合わせた最適な治療を推測。
性能確認後に、限られた病状の患者のみが参加して行われたランダム化比較試験結果により得られたエビデンス(5年生存率や生存期間)だけではなく、自分と似た病状の患者が過去に各治療法を受けた際の臨床情報から構築されたAIシステムにより得られる5年生存率や生存期間の推測値も活用したインフォームドコンセントなどが期待できます。このため本研究は、患者の治療選択を支援し、治療の質を向上させるという目的実現のための大きな一歩だと考えています。
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