ガム咀嚼によるエネルギー消費量が立位よりも大きいことを確認。研究の結果として、「ガム咀嚼によるエネルギー消費量は立位よりも大きく、坐位安静時と比較して約22%増加する」ことを確認しました。
株式会社ロッテ(代表取締役社長執行役員:牛膓 栄一)は、 「噛むこと」の健康機能に着目し、 様々な研究に取り組んでおります。 この度、
早稲田大学の宮下政司准教授監修による「ガム咀嚼がエネルギー消費に与える影響とその価値 -オープンクロスオーバー試験-」の研究を実施し、
本研究成果が「薬理と治療(2021年49巻1号)」に論文掲載されたことをお知らせします。 今回の研究により、
「ガム咀嚼によるエネルギー消費量は立位よりも大きく、 坐位安静時と比較して約22%増加する」ことを確認しました。
■研究概要
新たな生活様式により在宅勤務が急速に普及する中、 運動不足や歩数の減少、 坐位時間の増加による肥満が懸念されています。
ガム咀嚼はデスクワーク中で座っている時に簡単に取り入れることが可能です。 本研究において、 ガム咀嚼によって発生するエネルギー消費量をタブレット摂取や立位、
歩行と比較し、 坐位中のライフサイクルにおいて体重コントロールの手段になる可能性について検証しました。
【対象】24~51歳の健常成人20歳(オープンクロスオーバー試験)
【方法】呼気代謝計測装置を使用し、 オフィスチェアに座った状態で安静時のエネルギー消費量を測定し、 ガム咀嚼、 タブレット摂取、 立位、
歩行においてのエネルギー消費量を測定し、 増加率を比較
■研究結果
ガム咀嚼によるエネルギー消費量は立位よりも大きく、 坐位安静時と比較して約22%増加することを確認
■宮下 政司(みやした まさし)早稲田大学スポーツ科学学術院准教授 コメント
新型コロナウイルスの影響を受け、 外出自粛や、 リモートワークなど新生活様式に変化してきています。 このような環境下で身体を動かす機会が減り、
「体重が増えてしまった」という人も多いのではないでしょうか。 そんな中、 「噛むこと」で少しでもこの問題に対処できるのではと思い本研究を行い、
ガム咀嚼によるエネルギー消費は立位よりも大きいという結果が得られました。 過去の私たちの研究では、 ウォーキング中にもガムを噛むことで、
通常のウォーキング時に比べ、 生理機能・身体機能を向上させ、 エネルギー消費も増加する可能性が確認されました。 ウォーキングは密を避けて実施できる運動です。
噛むことを在宅ワークやウォーキングなどの日常生活の中にぜひ取り入れていただければと思います。
プロフィール
早稲田大学 スポーツ科学学術院 運動代謝学研究室 准教授。 子どもから高齢者までを対象に、
身体活動実践や栄養改善による生活習慣病予防の評価と機序究明の両側面から研究を実施。
アスリートのパフォーマンス向上やコンディショニングという観点でも研究を進めている。
■研究結果概要
【掲載紙】
薬理と治療(2021年49巻1号、 169-173)
タイトル:ガム咀嚼がエネルギー消費に与える影響とその価値 -オープンクロスオーバー試験-
著者:大島直也、 菅野範、 宮下政司、 永山千尋、 田高悠晟、 大澤謙二
【研究背景・目的】
カルフォルニア大学の研究者らの研究では、
新型コロナウイルスの感染拡大によりWHOがパンデミック宣言を発出してから30日間で世界の平均歩数は27.3%減少しており、
日本でも4月16日から5月25日までの緊急事態宣言下においては、 不要不急の外出自粛要請で最大30%程度歩数が減少したと報告されています。 1)また、
肥満者と非肥満者を比較した研究では坐位時間が多いほどに肥満になるリスクが高まることが示唆されています。 2)本研究では、
坐位時のガム咀嚼がエネルギー消費に与える影響とその価値をヒト試験により検証いたしました。
【研究方法】
■対象:24~51歳の健常な男女20名(オープンクロスオーバー試験)
■期間:2020年9月~11月
■試験サンプル:カロリーゼロのガム、 タブレット
■内訳:対象者20名にガム、 タブレット摂取、 立位、 歩行で安静時と比較したエネルギー消費の増加率を比較した。
■内容:呼気代謝計測装置を使用し、 オフィスチェアに座った状態で安静時のエネルギー消費量を測定し、 ガム咀嚼、 タブレット摂取、 立位、
歩行においてのエネルギー消費量を測定し、 増加率を比較した。
【結果・考察】
坐位安静時と比較したガム咀嚼によるエネルギー消費量の増加率はタブレット摂取、 立位と比較して有意に高く、 歩行と比較して有意に低くなりました。
今回の対象者において、 試験ガムと同じカロリーゼロのガムを1日1時間、 1年間摂取すると、 約1kg分の体脂肪消費が想定されます。 よって、
ガム咀嚼は適切に活用することで、 座位型ライフスタイルにおける、 長期的な体重増加を防ぐ策の一つとなりうる可能性は十分にあると考えられます。
参考文献
1) Geoffrey HT, Robert A, Peter K, Sean A, Greg MM, Mark JP et al. Worldwide
Effect of COVID-19 on
Physical Activity : A Descriptive Study. Ann Intern Med. 2020;M20-2665.
2) Levine JA, Lanningham-Foster LM, McCrady SK, Krizan AC, Olson LR, Kane PH et
al. Interindividualvariation in posture allocation: Possible role in human
obesity. Science 2005;307:584-6.
<噛むこと研究室>
株式会社ロッテでは、 様々な自治体や研究機関、 企業と連携し、 最適な“噛む”を提供することで、 皆様の力になりたいと考え、 『噛むこと研究部』を設立。
“噛む”という行為が、 脳や心、 身体にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的に活動を行っております。
“お口の恋人”として今後もみなさまに寄り添い、 “噛むこと”の研究を進め、 有効性を広く啓発してまいります。
(噛むこと研究室ホームページ:
株式会社ロッテ
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません