日本メナード化粧品、ファスマックと共同でアクネ菌などの皮膚常在菌を約1時間半で検出できるキットを開発!

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、 代表取締役社長:野々川 純一)は、 株式会社ファスマック(神奈川県厚木市緑ヶ丘5-1-3、

代表取締役社長:布藤 聡)との共同研究によって、 皮膚常在菌(アクネ菌・マラセチア)の状態を誰でも迅速に可視化できる皮膚常在菌検出キットを開発しました。

メナードは約20年前から、 皮膚常在菌について、 特にニキビの原因にもなる皮膚常在菌「アクネ菌」と「マラセチア」に着目して研究を進めてきました。

皮膚常在菌の状態は肌のコンディションを左右する要素のひとつですが、 肉眼で直接確認することができません。 また、

一般的な皮膚常在菌の検出法(培養法やPCR法)は、 結果が出るまでに数日間かかることや、 専門的知識や技術・経験が必要であるなどの問題点があります。 そのため、

皮膚常在菌の状態を簡便に把握することができれば、 美肌へ導くアプローチに幅広く役立てられると考えられます。

今回、 株式会社ファスマックと共同で、 迅速で誰でも実施可能な『DNAクロマトグラフィー※1』を用いた皮膚常在菌検出キットを開発しました(参考資料1、 2)。

本キットは特別な技術や解析機器が不要で、 約1時間半で肌のアクネ菌とマラセチアの状態が分かります。 今後は、

皮膚常在菌研究や美肌に導くカウンセリングツールに本キットを活用したいと考えています。 また、

アクネ菌とマラセチア以外の皮膚常在菌(ブドウ球菌など)の検出キットの開発も進めていきます。 なお、

本研究の成果は2021年9月8日から9日にかけてオンライン開催された日本防菌防黴学会第48回年次大会にて発表しました。

※1 DNAクロマトグラフィー

DNA検出方法のひとつ。 検出紙に試料を含ませた後、 目的のDNAが検出されると検出紙の特定の場所にラインが現れる。

<参考資料>

1.肌におけるアクネ菌及びマラセチアの菌数

アクネ菌やマラセチアは皮膚常在菌ですが、 過剰増殖するとニキビや肌荒れの原因になります。 そこで、 健常な肌ではどのくらいアクネ菌とマラセチアがいるのか、

夏と冬に男女20名(男性10名、 女性10名)の頬(5cm²)からアクネ菌およびマラセチアを採取し、 PCR法※2にて菌数測定を行いました。

その結果、 アクネ菌は男女ともに平均10⁵~10⁶個検出されました。 マラセチアは男性の頬では10⁴~10⁵個、 女性の頬では10³~10⁴個検出されました。

なお、 季節による菌数の違いは、 アクネ菌、 マラセチアともに認められませんでした。

この結果から、 本キットでは、 女性の頬における菌数の平均値を元に『アクネ菌:10⁵個

マラセチア:10³個』を超えると陽性反応を示すように検出限界を調整しました。

※2 PCR(Polymerase Chain Reaction)法

菌からDNAを抽出して酵素(ポリメラーゼ)を用いた増幅反応を行い、 増幅速度から元の菌数を推定する方法。図1 アクネ菌とマラセチアの菌数

図1 アクネ菌とマラセチアの菌数

2.皮膚常在菌検出キットの開発

皮膚常在菌(アクネ菌・マラセチア)の状態を迅速かつ簡便に検出する方法として、 DNAクロマトグラフィーを採用したキットを開発しました。

<キット内容およびプロトコール>

皮膚常在菌検出キットの中には、 サンプリング用の綿棒、 測定に必要な試薬、 検出紙(クロマトメンブレン)が入っています(図2)。 以下のように作業を行うことで、

約1時間半で皮膚常在菌の検出が可能です。

●作業手順図2 皮膚常在菌検出キット内容

図2 皮膚常在菌検出キット内容

1) サンプリング用綿棒にて、 皮膚を擦り皮膚常在菌をサンプリングする

2) 各試薬を用いて皮膚常在菌からDNAを抽出する

3) クロマトメンブレンにより皮膚常在菌を検出する

図3 アクネ菌・マラセチア陽性例

図3 アクネ菌・マラセチア陽性例

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