イタリアの歴史が詰まった城と要塞を巡る旅へ

特別サイト「イタリアの城」オープン

イタリア政府観光局(ENIT)は、2023年12月、観光ディスティネーションとしてイタリアの城と要塞にスポットをあてた特別サイト「イタリアの城」をオープンしました。

特別サイト「イタリアの城」

https://bit.ly/italian-castles-jp

(サイト内、各州・エリアページは英語とはなりますが、全訳日本語PDFをダウンロード可能です)

特別サイト「イタリアの城」では、深い魅力が詰まった城と要塞を、16州の協力を得て都市部から秘境までご紹介いたします。

イタリアは北から南まで個性的な城や要塞にあふれ、これらの場所は歴史と文化の中心となり、時代の転換点となる出来事の舞台にもなりました。

現在は博物館になっているものから、食事のできるレストランやラグジュアリーな宿泊施設や結婚式会場、イベント施設としても使用可能なものまで幅広く利用されているものまで様々です。

各地の城を知る旅をスタートしましょう!

ヴァッレ・ダオスタ州、アルプス山脈の中心にある芸術と歴史の宝

イタリアで最も小さな州、でも豊かな文化遺産に恵まれています。アルプス山道へのアクセス起点であるがゆえに、谷底や側面の広い谷間を監視するための城や塔、要塞化した家々などが多く残っています。これらの場所は今、芸術・歴史スポットとして、そしてアルプス山脈の絶景が楽しめる場所として訪れる人を惹きつけています。

またイタリア側のブレイユ-チェルヴィニアと、スイス側のツェルマットを、アルプス一標高の高い越境路としてつなぐ新しいゴンドラ「マッターホルン・グレッシャーライドII」で、絶景の旅も。

ロンバルディア州、城の魅力を発見する旅

城を囲む城壁、難攻不落の要塞、湖を望む絶景、街を見下ろすパノラミックな景色。湖の絶景を望むシルミオーネのスカリジェーラ城砦、画家アンドレア・マンテーニャの絵画で埋め尽くされた部屋があるマントヴァのサン・ジョルジョ城。宮廷生活を感じることができる城を、ミラノから探しに出かけましょう。

個性あふれるフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、隠れた宝物にあふれた国境にある州であり、様々な風景、文化、古い伝統が絶え間なく交差し合う、驚くようなスポットばかりです。例えば、歴史を重ねたワイナリー、ロマンチックな城、そして花の咲く庭園など。州内に散らばる小さな村の多くは、イタリアで最も美しい村々に登録されており、食通の旅人は、州の食遺産にもなっている地域の食材、例えばサン・ダニエーレの生ハムなどを楽しむことができます。

エミリア・ロマーニャ州の城でおとぎ話のように過ごす

長い歴史を持つ土地のため、争い、愛憎、陰謀、征服を経験した城が点在し、現在、州内約100の城が訪問者を受入れています。

エミリア・ロマーニャ州の城でルネッサンス時代のままの城に宿泊、ゴーストハンティング体験、そして世界一美味しいパルマハムとチーズを堪能!

リグーリア州、海と村や町

緑に囲まれたおとぎ話のような城、海を臨むサラセンの塔、あるいは森に佇む邸宅。リグーリア州はこのように村や城が多くあり、ぜひ発見したい知られざる本当の世界が待っています。あなたの中世への関心を満たすのに、リグーリアは最適な土地です。

トスカーナ州、城と歴史、風景の交差点

ポッピ城は、ロメーナ城やポルチャーノ城のように、ダンテ・アリギエーリ作の「神曲」に関係する城。

北から南、東から西まで、山から海へと多様性に富んだ城や砦。

城壁や塔の上から絶景、洗練されたエレガンスの世界、世界でも優れた地元の食材が地域の特産、伝統のレシピを味わえるトスカーナ州の城への旅を!

マルケ州、芸術と自然、伝統の分かち合い

まるで時間が止ったかのような美しい小さな村と絶品グルメのある場所など、マルケ州には、数世紀にも渡って建設された数多くの要塞や城が存在します。

特にペーザロ・ウルビーノ県グラダーラには、街の美しい要塞と、城に密接に関わる歴史的な変遷があります。城は数世紀に渡り、マラテスタ家、スフォルツァ家、そしてデッラ・ロヴェレ家の支配を受けてきた場所であり、同時に、パオロ・マラテスタとフランチェスカ・ダ・リミニという、2人の若者の悲しい愛の物語が語り継がれている場所でもあります。

しかしマルケ州のすべての要塞に語り継がれるそれぞれの物語があります。例えば、メルカターレ湖の緑色の水にその姿を映すサッソコルヴァーロ要塞は、まるで亀の甲羅を思わせる丸くてコンパクトで、同心円状(半径が異なる円の連なり)の洗練された構造をしています。アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトは、ニューヨークのグッゲンハイム美術館をデザインする際にこの構造を参考にしたと言われています。現在城自体は、「歴史・武器庫博物館」として使用されており、1400年代から1700年代の衣装や武器が展示されています。

数世紀に渡り改良されてきた防御構造が見てとれます。その構造は、現在も完全に保存されていますが、今見られる構造は、デッラ・ロヴェレ家により手が加えられた1500年代初頭のものであり、1450年にマラテスタ家が造った最初の要塞の上につくられています。そしてこの要塞は、1350年頃に建造された塔と合体しています。中世の雰囲気をさらに色濃く感じたいなら、マチェラータ県トレンティーノの街のシンボルであるランチャ城へ。城はキエンティ川の左岸に位置する平野にあるランチャ地区にあり、その特徴は高さ30mもある要塞です。

マルケ州南部にあるアクアヴィーヴァ・ピチェーナにある要塞は実に美しく、ルネサンス期の軍事建築の傑作とも言われています。起源は14世紀、当時の貴族であったアクアヴィーヴァ家により造られました。フィレンツェ出身の建築家バッチョ・ポンテッリによる設計で、要塞は不規則な四角形。中央に井戸のある広い中庭、そして角の塔で防御が強化されました。

訪れるべきスポットとして他にも、初期ルネサンス期を生きた建築家・彫刻家・画家であるディ・ジョルジョ・マルティーニによるモンダヴィオ要塞(ペーザロ・ウルビーノ県)、銃眼のある要塞へとつながる唯一の要塞であるオッファーニャ要塞(アンコーナ県)、その起源が13世紀で周辺領土の象徴的要塞であるカメリーノのヴァラーノ要塞(マチェラータ県)や、ダイエッロ要塞やボルジェスカ要塞とともに、カメリーノにあるとても重要で荘厳な建造物のひとつです。

ウンブリア州、イタリアの緑の中心

聖フランチェスコの街アッシジは実は城塞都市。そして湖のほとりにあるマルタ騎士団の城(現在はワイナリーが所有)など、中世の香りを色濃く残す数多くの城塞都市が残るウンブリア州。世界的な音楽イベントや美しい自然と伝統料理、様々な体験をぜひお楽しみください。

アブルッツォ州、古城のオープンミュージアム

“グラン・サッソ、城そして羊の足跡”、それがスローフードの旅プロジェクトにある最初のアイテナリー。

映画「薔薇の名前」や「レディーホーク」の舞台にもなった中世の古城「ロッカ・カラショ」を有するアブルッツォ州は、新しい旅のモデルである「スローツーリズム」を体験することができるディスティネーションです。

カンパニア州の城の魔法

ナポリの卵城、サレルノ湾を望む標高300mにそびえるアレキ城、そして海に浮かぶ島々に残された要塞と城。

城めぐりと都市部、内陸エリアでの食事やワイン、自然ツアーとを組み合わせ、歴史がこの地に残したさまざまなサプライズを、直接五感を通して感じることができるでしょう。

プーリア州、リアルな驚き~軍事要塞の地

3,000年以上に渡る歴史、そして深く根付いた伝統がプーリア州の特徴であり、様々な文化や異なる文明の痕跡が、城や素晴らしいプーリア建築の中に残されています。古代ローマ以前からギリシャ時代、ロマネスク様式からバロック様式に至るまで、プーリア州では異なる時代体験ができます。例えばダウニアエリアの先人たちが造った城や修道院のある北部、ローマ人により支配された中部、ギリシャ文明、その後のビザンツ帝国、ゲルマン、そしてフランス・スペインの支配により影響を受けた南部。

荘厳なローマ様式の大聖堂、守備要素の高い街や威厳ある要塞が、美しい街や風景の中に広がり、また865kmも続く海岸に沿ってあるノルマン人、スワビア王家、アンジュー家により造られた防御塔などが、栄光ある過去の痕跡を今に残しています。

「プーリアの申し子(Puer

Apuliae)」皇帝フェデリコ2世が建築したこの地で最も有名な城であり、州独自の宝であるアンドリアのカステル・デル・モンテがあることで、プーリア州は世界にも知られています。ランが咲き乱れる野原、野草に囲まれた丘陵地帯、そしてブドウ畑とオリーブ畑の中に、1240年皇帝フェデリコ2世が建築した要塞がそびえます。1996年にユネスコ世界遺産に登録されたこの城塞は、中世建築の傑作とも言われています。カステル・デル・モンテは、プーリア州のシンボルの一つとなり、その神秘的な八角形の構造は、この地だけでなく、イタリアや世界中の他のすべての建造物とも明確に区別されるものです。

内陸のグラヴィーナ・イン・プーリアへと進むと、その丘の上からは、狩猟用として使われた城の廃墟を見ることができます。ブリンディジ県にある中世の街オリアでは、フェデリコ2世とブリエンヌのイオランダとの結婚式が行われた美しい城を外部からみることができます。この結婚式の様子は、8月中頃、リオーニパレード、あるいはボルギパレードの歴史行列として再現されます。ここから20kmの距離にはフィオレンティーノ城の考古学地区があり、残る城の跡はフェデリコ2世が命を落とした場所と言われています。

プーリア州での旅は、中世の城とこの地ならではの唯一無二の建造物の発見の連続であり、かつては自然豊かでハヤブサ狩りが出きる場所でした。大きな宮殿のあるルチェーラから、ボヴィーノの荘厳なドゥカーレ城、海の際に建つヴィエステのズヴェヴォ城、そしてダウニア地方とガルガーノ地方を360度見渡すことができるモンテ・サンタンジェロの要塞。州都バーリにあるノルマン・ズヴェヴォ城、100の扉がある王宮として知られるジョイア・デル・コッレ城など、個性的な城ばかりです。

プーリア州にはその他にも、カピタラータ地方、バーリの地、そしてサレント地方である、ターラント、マッサフラ、マンフレドニア、レッチェ、オトラント、グロッターリエ、ブリンディジ、トラーニ、バルレッタ、サンニカンドロ、モーラ・ディ・バーリそしてモノーポリなど、数多くの城が残ります。また865kmに渡る海岸沿いにある塔も発見することでしょう。これらの塔は、海岸から海岸へ、アドリア海からイオニア海へと絶え間なく続く旅に静かに寄り添い、太陽に向かって、水平線を見張っているのです。

カラブリア州で体験する!

北から南まで地中海の文化と人々が出会う交差点カラブリア州。

息をのむような展望台へと続くフレスコ画に囲まれた螺旋階段で有名なコリリアーノ公爵城、イタリアで最も美しい村クロトーネにあるサンタ・セヴェリーナ城、そして水面にある唯一のアラゴン要塞など、個性的な城が満載です。

サルデーニャ州の城、隠された秘宝

世代を超えて語り継がれ、時に歴史的に歪められたファンタジーの要素が膨らんだファンタズマ(幽霊)、戦いの話、うっとりとするような物語が、あらゆる城にあります。すべての伝説の奥には、真実が隠されています。ボーサの街のセッラヴァッレ城(またの名をマラスピーナ城)、天然記念物の岩にあるパノラミックなシクリアにあるアクアフレッダ城、ミステリアスな雰囲気を醸し出すガルテッリのポンテス城、そしてその他にもたくさんある魅力あふれる城や要塞を訪れてみましょう!