この夏読みたい猛暑を吹き飛ばす一冊。1930年代のブロードウェイを舞台に悲喜こもごもの人間ドラマを綴った、名手によるオリジナル版短篇集『ガイズ&ドールズ』、好評発売中。

O・ヘンリーの衣鉢を継ぐ短篇小説の名手デイモン・ラニアンのデビュー短篇集『ガイズ&ドールズ』。90年以上の時を経てオリジナル版短篇集を忠実に邦訳された内容にも注目。

2022年に、井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗らによるミュージカルとして帝国劇場での公演が実現した『ガイズ&ドールズ』。日本ではもともと宝塚月組の公演で知られていた人気演目のひとつで、少し上の世代には、マーロン・ブランド主演による映画版(『野郎どもと女たち』)のほうがおなじみかもしれません。

その原作となったのが、ジャズ・エイジのムードを引き継ぎ、ブロードウェイだけを舞台にした短篇小説を数多く発表してきたデイモン・ラニアンの名篇「ミス・サラ・ブラウンの恋の物語」で、これに他のラニアン作品に登場するキャラクターやエピソードを加え、出来上がったのが舞台版の『ガイズ&ドールズ』です。

本作は、そんなラニアンの短篇小説の魅力のすべてが詰まった、デビュー短篇集。オリジナルの目次での紹介は本邦初ということになります。小悪党たちと美女たちの人間喜劇、全14話がたまらなく胸を打ちます。

【書籍内容紹介】

賭けごとにとり憑かれた生粋のギャンブラーが一目惚れしたのは、魂を救済するため布教活動に従事する清廉な美女だった――。『ガイズ&ドールズ』の題名でおなじみのミュージカルや映画の原作者として知られ、NYのブロードウェイを舞台に、「血圧」「リリアン」「サン・ピエールの百合」「ダーク・ドロレス」といった、悲喜こもごもの人間喜劇を描き続けたデイモン・ラニアン。ジャズ・エイジを代表する短篇の名手の歴史的デビュー作品集を、オリジナル収録そのままに紹介する。宝塚公演(『ガイズ&ドールズ』)やマーロン・ブランド主演の映画(邦題『野郎どもと女たち』)原作の中心となった短篇「ミス・サラ・ブラウンの恋の物語」を特別収録。

【著者紹介】

デイモン・ラニアン

アメリカ合衆国カンザス州生まれの新聞記者、作家。主にニューヨークのブロードウェイを舞台とした短篇小説を数多く発表し、映画化や舞台化もされている。1967年に野球記者にとって最も権威のある賞、J・G・テイラー・スピンク賞を受賞した。’94年に、その名を冠し、優れたジャーナリストやコラムニストに授けられるデイモン・ラニアン賞が創設された。1946年没。

田口俊樹(たぐち・としき)

1950(昭和25)年奈良市生れ。早稲田大学卒業。ブロックの“マット・スカダー・シリーズ”をはじめ、ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』、スミス『チャイルド44(フォーティーフォー)』、チャンドラー『長い別れ』、ウィンズロウ『業火の市(まち)』、コーベン『THE

MATCH』(共訳)など訳書多数。

【書籍データ】

【タイトル】 ガイズ&ドールズ(新潮文庫刊)

【著者名】 デイモン・ラニアン/田口俊樹訳

【発売日】 2024年5月29日

【造本】 新潮文庫

【定価】 935円(税込)

【ISBN】 978-4-10-220702-4

【URL】

https://www.shinchosha.co.jp/book/220702/