BPSDを理解していない介護家族は約4割、理解していても約7割は対応に難 ~ケアマネによるBPSD啓発活動に期待~
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株式会社インターネットインフィニティー プレスリリース:2024年09月10日 報道関係者各位
BPSDを理解していない介護家族は約4割、理解していても約7割は対応に難 ~ケアマネによるBPSD啓発活動に期待~
―ケアマネジャーをパネルにした要介護高齢者の医薬品独自調査『CMNRメディカル』第43回―
全国のケアマネジャー(以下、ケアマネ)10万人が登録するウェブサイト「ケアマネジメント・オンライン」(
https://www.caremanagement.jp/
)、全国にリハビリ型デイサービス「レコードブック」(
)を展開するなど、健康寿命の延伸に向け、様々なヘルスケアサービスを運営する株式会社インターネットインフィニティー(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:別宮
圭一)は、ケアマネをパネルにした要介護高齢者の医薬品独自調査サービス『CMNRメディカル』にて認知症のBPSD(行動・心理症状)に関するアンケートを実施しました。
■調査概要調査名:CMNRメディカル(第43回)「認知症のBPSD(行動・心理症状)に関するアンケート」期間:2024年8月10日~2024年8月19日
調査パネル:「ケアマネジメント・オンライン」に登録する会員ケアマネジャー(居宅介護支援事業所に勤務)で、認知症によるBPSD(行動・心理症状)が見られる利用者を現在担当している者
調査サンプル数:312名調査方法:WEBアンケートサマリー
◆ケアマネ1人につき平均1.6人の利用者がBPSDによって生活や人間関係に支障をきたしている
◆BPSDは介護負担を増やし、施設入居へのハードルも上げる
◆BPSDは認知症によるものであることが理解できていない家族は約4割にのぼる
認知症は介護が必要になった主な原因の第1位です。認知症による脳の萎縮がもたらす記憶障害や見当識障害、失語などの症状は中核症状と呼ばれており、自立した生活を営むことが妨げられます。さらに中核症状によって二次的に引き起こされる困った行動(暴力や暴言、徘徊、不安など)はBPSD(行動・心理症状)と呼ばれます。
認知症のBPSDが悪化すると、生活や人間関係に支障をきたし、介護家族や介護スタッフの負担が増したり、自宅療養を諦めたりせざるを得なくなることがあります。ケアマネにとって、要支援/要介護高齢者のBPSDへの対応はケアマネジメント上の重要な課題です。
そこで今回は、要支援/要介護高齢者(以下、利用者)の自宅療養を支える居宅介護支援事業所のケアマネのうち、BPSDが見られる認知症の利用者を現在担当している方を対象として、BPSDによる影響や対処法、介護家族の認識や情報提供などについて調査を実施しました。
■ケアマネ1人につき平均1.6人の利用者がBPSDによって生活や人間関係に支障をきたしている
当調査で対象となったケアマネ312人が現在担当している利用者数は平均33.8人であり、そのうち認知症と診断されているのは平均14.8人(利用者全体の43.8%に相当)でした。BPSDが見られる利用者は平均5.1人(認知症利用者の34.5%に相当)で、このうちBPSDによって生活や人間関係に支障をきたしている利用者は平均1.6人(BPSDあり利用者の31.4%に相当)いることが報告されました。
どのようなBPSDが見られるかを尋ねた結果を下図に示します。半数近くの利用者で見られるBPSDとして、興奮、暴言、徘徊、同じ行為を繰り返す、不安、幻覚が挙げられました。
■BPSDは介護負担を増やし、施設入居へのハードルも上げるBPSDは介護家族や介護スタッフを困らせるだけでなく、利用者本人にとっても不快な症状となります。
また、ケアマネにとってもBPSDは介護家族や介護スタッフの負担を増やす要因であり、居宅介護サービスを受けにくくし、在宅療養を続けにくくする要因でもあります。一方で、生活や人間関係に支障をきたすようなBPSDがあると、施設に入居させにくくなるという回答も少なからず見られました。自宅では荷が重い状況になっても、預ける施設が見つからずに介護家族が疲弊するような状況が起こり得ると考えられます。
■BPSDの薬物療法も場合によっては仕方ないと考えるケアマネが多い
BPSDへの対応としては、まず非薬物的介入(本人の気持ちに寄り添った適切な関わり方、環境整備など)を行ったうえで、うまくいかない場合に薬物療法が検討されます。
このことについてケアマネの考えを聞いてみたところ、約6割のケアマネは「周囲の人に危害が及ぶ可能性がある」もしくは「適切な声掛けやケアなどで対応しきれない」場合などには薬物療法を選択することも仕方ないと考えていました。また、家族が疲弊する前に薬物療法を選択することを是とするケアマネも半数近くにのぼりました。
■困った行動は認知症によるものであることが理解できていない家族は約4割にのぼる
BPSDの対応には、ケアマネなど介護職のみならず、介護家族がそのことを理解して、適切な対応と周囲への相談を行うことが求められます。
しかし、当調査においては、ケアマネがこれまでに担当してきた認知症利用者の介護家族のうち、困った行動がBPSDである(認知症によって起こっている)ことが理解できていない家族は平均37.9%もいることが報告されました。
また、BPSDが認知症によって起こっていることが理解できている介護家族であっても、平均71.5%はうまくBPSDへの対応ができていないと回答されました。
■ケアマネから介護家族へのBPSD啓発の実状と今後
そこで、普段から認知症の利用者や介護家族に対して、BPSDについての情報提供を行っているか尋ねたところ、9割以上のケアマネが行っていると回答しました。また、介護家族向けにBPSDを説明するチラシや動画が手元にあれば紹介したいと思うケアマネは約7割いました。
介護家族がうまくBPSDに対応できるようになるためには、認知症やBPSDに関する知識を深め、早めに介護職や医療職に相談することの重要性を伝えることが必要です。また、そのことが適切なケアにつながり、結果的に利用者本人のためにもなると考えられます。
当調査では、ケアマネの多くは介護家族にBPSDの理解を深めるための啓発活動を普段から行っており、チラシや動画などの資材をケアマネに提供することで介護家族に情報を届けることができることが示唆されました。
このような活動を通じて、認知症のBPSDに疲弊している介護家族を少しでも減らすことができるのではないかと考えています。
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