<学会発表レポート>不妊治療専門「トーチクリニック恵比寿」、2023年11月10日開催の日本生殖医学会にて「患者の不妊治療と就労の両立を支援する当院の取り組みについて」を発表
トーチクリニックの学会発表実績~過去ログ~ 不妊治療専門 「torch
clinic(トーチクリニック)」(住所:東京都渋谷区恵比寿4-3-14)が、2023年11月10日(金)に金沢で開催された第68回日本生殖医学会学術講演会・総会にて「患者の不妊治療と就労の両立を支援する当院の取り組みについて」と題して発表しました。
* 日本生殖医学会とは
日本生殖医学会は、日本の生殖医学を発展させ、社会の先導者でもある医療人を育成し、国民に対して安全で安心な質の高い生殖医療を提供する一般社団法人です。
人類および家畜と動物の生殖に関する基礎的および臨床的研究について、研究業績の発表、知識の交換、情報の提供などを行い、もって学術の発展と人類の福祉に寄与することを目的としております。(引用:
http://www.jsrm.or.jp/index.html)
今回の学会テーマは「次世代に紡ぐ生殖医学」。本学会が次世代に繋がる生命を扱っていることに由来されており、それに加え、基礎領域の視点からは生殖学の学術的な考えや知見を次世代の研究者に継承する、また臨床領域の視点からは生殖医療の技術を次世代に継承する、という意味が込められております。(引用:
https://www.congre.co.jp/jsrm2023/index.html)
* 不妊治療と就労の両立の難しさ
先行研究では、不妊治療と仕事を両立を経験した患者のうち、「両立は困難」と感じている人は約95%にものぼっております。(NPO法人Fine「仕事と不妊治療の両立に関するアンケートPart2」2017)また、不妊治療を経験した回答者のうち約16%(女性の場合は23%)が治療と仕事を両立できずに退職しており、両立を難しいと感じる理由については、「通院回数が多い」「精神面で負担が大きい」「仕事の日程調整が難しい」などが上位に上がる調査報告がされています。(厚生労働省「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合調査研究事業調査結果報告書」)「時間的制約」と「心理的負担」が大きな原因であり、今回はこの「時間的制約」にフォーカスして当院で調査を行いました。
* トーチクリニックで実施したアンケート調査概要・結果
2022年5月~2023年5月の期間に「不妊治療」の枠で当院を受診した患者様2,379名に対して、オンラインアンケートを行いました。376名から回答を得ているうち、実際に当院で不妊治療を実施した患者様は347名で、291名が女性、年齢は30歳代が中心です。
回答いただいた女性のうち253名が「仕事をしながら不妊治療を受けた経験がある」と回答した中で、「治療を理由に離職した」割合は5.2%と前述した先行研究の23%を大きく下回る結果でした。
また、「両立に悩んでいる知人がいたら当院をおすすめしますか」という質問に対して85%が「はい」と回答し働く女性からの支持が厚いことがわかりました。
治療と就労を両立する上での当院の長所について調査したところ、上位から順に「土日祝に診療がある」「専用アプリが便利」「開院時間が長い」「土地が便利」「診察後の待ち時間が短い・ない」と並んでおり、時間的制約を解決する内容が大半を占めていました。
* 不妊治療と就労の両立を叶えるためのトーチクリニックが実施している4つの施策
具体的に当院が治療と就労の両立を叶えるために行なっている4つの施策についてご紹介します。
1.「診察日と手術日の選択肢の拡充」
週7日を開院日としていて、仕事帰りに通院しやすいよう火曜と木曜に20時までの診療日を設定しています。
2.「立地の選択」
JR恵比寿駅から徒歩1分に位置し、恵比寿駅という立地は4つの路線が利用可能で都心で働く患者の通院のしやすさを重視しました。
3.「在院時間の短縮」
患者様専用アプリを導入したことで、予約取得システムで待ち時間が長く発生しそうな時間帯の枠数をオンタイムでコントロールできます。また問診票の事前記入、院内処方の採用、後日決済システムの導入により、在院時間を短くするような施策を行なっています。
実際、当院の1回の受診あたりの平均在院時間を調査すると、初診で約1時間半、一般不妊治療では1時間未満、排卵周期の診察・決定では1時間半、胚移植周期では約1時間~1時間半でした。2~3時間の待ち時間が一般的と言われているART(ART:生殖補助医療技術)実施クリニックとしては、いずれの診療内容でも在院時間が短い傾向がありました。
4.「Time to Pregnancy の短縮」
当院では不妊治療の長期化を避けることは離職率の低下に大きく寄与すると考え、患者様への妊孕性教育を初診から行なっています。治療1周期あたりの妊娠率を理解し、ステップアップの具体的な時期をイメージしてもらうことで、どの治療をいつから行うかの意思決定までの時間を短縮する効果があると考えています。また体外受精へ進む患者様には、授かりたい子どもの人数を確認し、適応があれば高刺激法を積極的に採用しています。
実際に、初診日から各ステップへの所要期間について調査しました。
こちらの初診日の定義には、治療開始を念頭としていないブライダルチェック目的の受診も含まれています。AIHまでは約2か月、採卵日までは約3か月、移植日までは約5か月、心拍確認までは約6~7か月でした。
* 結論と考察
当院で治療を受ける患者様の離職率は先行研究を大きく下回ることがわかりました。当院が行っている施策が、離職率を低下させる可能性が示唆された一方で、開院から2年未満での調査のため今後も期間を広げて検討を続ける必要がありますが、引き続き両立支援につながる効率的なシステム開発・導入を続けてまいります。
* 不妊治療専門「トーチクリニック」について
トーチクリニックは、2022年5月に東京都渋谷区に開院した不妊治療クリニックで、患者様専用アプリの導入やニーズの高い診療日・時間の設定など、治療と就労の両立支援を重視してきました。現在常勤医3名、培養士10名など総勢40名ほどのスタッフが在籍し、1日の来院患者数は約100名で、採卵件数は直近で月100件前後ほどで推移しています。
<クリニック概要>
クリニック名:torch clinic(トーチクリニック)
所在地:東京都渋谷区恵比寿4-3-14 恵比寿SSビル8階
電話:03-6447-7910
アクセス: JR『恵比寿』駅 東口徒歩1分、 日比谷線『恵比寿』駅 徒歩3分
URL:
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません