店地階にて漆芸家 桐本滉平新作漆器展を開催

本店地階では8月1日~28日まで、漆芸家・桐本滉平氏の新作漆器展を開催。能登の自然からインスピレーションを受けた新作の花器や酒器に加えて、今年の震災で被災した輪島塗の器を再生させたシリーズが並びます。

「アーツアンドカルチャー」として、今年の7月20日に生まれ変わった本店地階。このフロアは、単なるお買いものの場ではなく、何百年と継承されてきた伝統や技術、自然との付き合い方から生まれる日本の美意識、創作の追求に費やされた時間など、品物の背景にある物語を伝える拠点であり、文化と人々の交流の場です。

和光は、前身となる服部時計店の創業以来、職人のクラフトマンシップや最先端テクノロジーの枠を尽くした品々を紹介するとともに、定期的な美術展を開催して、そこに集う人々との関わり合いのなかで、さまざまな視点とインスピレーションを育んできました。和光に流れるアーツアンドカルチャーを尊ぶ精神を継承しながら、地階ならではの視点で、日本の工芸家や現代アーティストの作品を発信してまいります。

今回、本店地階では8月1日から28日まで、漆芸家・桐本滉平氏の新作漆器展を開催します。

能登半島の輪島で8世代にわたり漆に携わってきた家に生まれた桐本滉平氏は、新しい表現と向き合い続けるアーティストでもあります。桐本氏の制作する漆器は、能登の海で拾った石や果物から型を取り、漆や布、米、珪藻土などを用いた「脱乾漆技法」によって作られた、唯一無二の造形を特徴としています。ろくろで成形した木地に漆を塗り重ね、華やかな蒔絵などをほどこす伝統的な「輪島塗」とは異なる、自然の造形美をたたえた有機的な形には、能登で生まれ育ち、この土地の自然と向き合い続けてきた作家の想いが宿っています。

「私が選ぶ石は、お椀にふさわしい形や均整の取れた形ではなく、純粋に愛しいと思える形の石。人間が意図してできるものではない形に惹かれます」と桐本氏はインタビューのなかで語っています。

「そもそも能登半島では、数千万年前から地震が繰り返し起こっていました。そのたびに地盤が隆起して、半島が形成されたとも言われています。何万年もの年月をかけて、海底の土や石や岩が隆起して地上の山となり、再び崩れて流れて海へ戻っていく。そんな地球の営みを、この海岸の石は伝えているんです」

今展では、「生命の尊重」をテーマに制作した花器や酒器などの新作を中心に、日常の暮らしに寄り添う器を展示・販売します。

新作の器に加えて並ぶのは、今年1月の震災で損壊した家屋や工房から運び出した、制作途中であったり傷ついたりした輪島塗の椀を、桐本氏が能登で採取される珪藻土を用いた下地技術の応用で仕上げ、再生させた作品。器のかたちの多様さに触れながら、能登の大自然に想いを馳せてください。

プロフィール桐本滉平(Kohei Kirimoto)

漆芸家。1992年、石川県輪島市出身。漆、麻、米、珪藻土を素材とした乾漆技法を用いて「生命の尊重」を軸に創作を行う。また輪島の作り手たちや国内外のアーティストやブランドとの共同創作にも取り組んでいる。

漆芸家 桐本滉平 新作漆器展2024年8月1日(木)-28日(水)11:00-19:00本店地階 アーツアンドカルチャー作家在廊日:8月1日(木)

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