統合失調症の全症状を治療対象としたファーストインクラス治療薬の共同開発に関する新規提携のお知らせ

そーせいグループ株式会社(以下「そーせいグループ」)とベーリンガーインゲルハイムは、新規グローバル提携およびライセンスの独占的オプション契約を締結しましたので、お知らせいたします。そーせいグループが創出したファーストインクラスの治療薬候補であるGPR52受容体作動薬ポートフォリオの開発および商業化を両社共通の目的としています。GPR52受容体は新規Gタンパク質共役受容体(GPCR)の一つで、GPR52受容体作動薬は統合失調症の陽性症状、陰性症状および認知機能障害を同時に改善し、患者さまの予後を向上できることが期待されています[1],[2],[3]。

統合失調症は、世界中で約100人に1人が罹患する重篤な疾患です[4]。統合失調症の症状は以下の3つに分けることができます[5],[6]。

● 陽性症状 – 妄想、幻覚など

● 陰性症状 – 社会的引きこもり、無気力など

● 認知機能障害 – 注意力・計画能力・記憶力の低下など

これらの症状が患者さまの日常生活に与える影響は大きく、特に一般的な発症年齢が20代であることから[7]、介護者や社会全体への負担は大きくなっています。陽性症状は抗精神病薬で安定させることが可能ですが副作用を伴うことがあり、また陰性症状や認知機能障害に特化した承認済みの治療薬は現在のところありません。

GPR52を標的とする新たな統合失調症治療薬は、統合失調症の3つの症状すべてを対象とする画期的な精密精神医学による治療(Precision

treatment)となる可能性があります1,2。このメカニズムは、GPR52受容体が脳内の陽性症状を引き起こす領域(線条体)と、陰性症状および認知機能障害を引き起こす領域(前頭前皮質)に存在することに基づくものです。GPR52受容体作動薬は、線条体の機能を抑えるのと同時に、前頭前皮質の機能を高めることで、さらなる治療精度の向上が見込めます[8]。

ベーリンガーインゲルハイムの中枢神経系(CNS)領域ディスカバリーリサーチ

グローバルヘッドであるヒュー・マーストンは、次のように述べています。「私たちは、統合失調症の患者さまの大きなアンメットニーズに応えることを目的としたこの新しい取り組みにおいて、そーせいグループと提携できることを大変喜ばしく思います。本提携は、精神疾患の治療に新たな精密精神医学的アプローチをもたらすことを目指す、当社の他の開発プログラムを補完するもので、これにより統合失調症の患者さまの生活を変えることができると期待しています。」

そーせいグループの英国研究開発ヘッドのマット・バーンズは、次のように述べています。「本契約は、前臨床試験で示されたように、GPR52受容体が統合失調症および関連神経疾患のファーストインクラスの新規治療ターゲットとして大きな可能性を秘めていることを物語っています。私たちは、ベーリンガーインゲルハイムと提携し、同社の神経疾患研究や当該領域のイノベーションの専門性を活用できることを喜ばしく思っています。この新薬を必要とする患者さまにお届けするため現在第I相臨床試験を実施中であり、私たちはともにこの非常に革新的なプログラムの開発を加速させることに注力していきます。」

本契約について

そーせいグループは、契約一時金として2,500万ユーロ(約40億4,900万円※)、オプション行使料として6,000万ユーロ(約97億1,600万円)をベーリンガーインゲルハイムから受領する権利を有しています。また、開発、申請・承認、販売の目標達成に応じ、最大6億7,000万ユーロ(約1,085億円)のマイルストンを受領する権利に加えて、段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。

ファーストインクラスのGPR52受容体作動薬であるHTL0048149で現在実施中の第I相臨床試験と第Ib相臨床試験などの必要なデータが揃った後、本契約に基づきベーリンガーインゲルハイムはそーせいグループのGPR52作動薬ポートフォリオのライセンスに関する独占的オプション権を保有することになります。2025年中に予定されている本オプション権行使まで、そーせいグループはこれらの臨床試験を引き続き主導し管理していきます。ライセンスの対象となるポートフォリオには、HTL0048149に加え、そーせいグループのStaR(R)技術および構造ベース創薬(SBDD)プラットフォームを用いて設計された複数の異なるバックアップ化合物が含まれます。

GPR52受容体とHTL0048149について

GPR52受容体は、脳内、特に線条体や前頭前皮質に高発現しているオーファンGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、様々な神経疾患や精神神経疾患の新たな治療標的となる可能性があります[9]。

そーせいグループは、StaR(R)技術と構造ベース創薬(SBDD)プラットフォームから得られた独自の知見を活用して、選択的GPR52受容体作動薬およびモジュレーターのポートフォリオを開発し、その最も先行している開発品であるHTL0048149の臨床試験を2023年に開始しました[10]。

HTL0048149は、GPR52に選択的に作用し、抗精神病および認知機能改善作用を持つ、1日1回の経口治療薬として設計されています。HTL0048149は、統合失調症に伴う陽性症状(妄想、幻覚など)、陰性症状(社会的引きこもり、無気力など)および認知機能障害(注意力、計画能力、記憶力の低下など)を改善し、一部の抗精神病薬に見られる副作用を最小限に抑えることを目指しています[9],[11],[12],[13]。

このような新規の作用機序により、HTL0048149は、既存の抗精神病薬で効果がない、あるいは副作用のために服薬が継続できないことがある、多くの統合失調症の患者さまのお役に立つことを目指しています。

HTL0048149の第Ia/b相臨床試験は、18~55歳の健常人を対象とした、安全性、薬物動態、薬力学的作用を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照、単回および反復投与用量漸増試験です。本試験は英国で実施され、最初のデータリードアウトは2025年になる予定です[9],[14]。

ベーリンガーインゲルハイムについて

ベーリンガーインゲルハイムは、世代を超えて生活を変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出を目指しています。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的かつサステナブルな視点を維持しています。ヒト用医療用医薬品とアニマルヘルスの2つの事業分野において、53,000人以上の社員が世界130ヵ国以上で事業を展開しています。

詳細は、下記をご参照ください。

https://www.boehringer-ingelheim.com/

(ベーリンガーインゲルハイム)

https://www.boehringer-ingelheim.com/uk/(ベーリンガーインゲルハイム UK)

https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)

https://annualreport.boehringer-ingelheim.com/2022/(アニュアルレポート 英語)

ベーリンガーインゲルハイムは、アンメットニーズの高い適応症における精密精神医学(Precision

Psychiatry)的アプローチに焦点を当てた、革新的なメンタルヘルス疾患領域におけるパイプラインを有しています。主要な臨床試験には、統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)を対象にしたグリシントランスポーター1型(GlyT1)阻害剤(BI

425809)(NCT04846868, NCT04846881) [15],[16]

、統合失調症の陰性症状患者を対象とした処方デジタル治療(PDT)であるCT-155(NCT05838625) [17]などがあります。

お問い合わせ先:

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

コーポレートアフェアーズ 川嶋

Tel: 03-6417-2131

Mail: [email protected]

Sosei Heptaresについて

そーせいグループは、フルセットのバイオ医薬品企業であり、世界をリードするサイエンスによって人生を変える医薬品を生み出すことをミッションとし、日本発の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることを目指しています。

そーせいグループは、英国における世界をリードするGタンパク質共役受容体(GPCR)をターゲットとしたStaR(R)技術、構造ベース創薬(SBDD)ならびに初期開発力と、日本における経験豊富な臨床開発力および商業化事業とを組み合わせ、グローバルに事業を展開しています。

これらの能力を活かし、神経疾患、免疫疾患、消化器疾患、炎症性疾患など複数の治療領域において、新薬候補物質の幅広いパイプラインの創出および研究開発の加速に取り組んでいます。そーせいグループは、自社開発、あるいは大手グローバル製薬企業や新興バイオ医薬品企業との提携を通じて、日本および世界の患者さまのため価値創出につながる医薬品の開発を図ります。

そーせいグループは、東京、大阪、ロンドン、ケンブリッジ、バーゼル、ソウルの主要拠点で事業を展開しています。

「Sosei

Heptares」は、東京証券取引所に上場しているそーせいグループ株式会社(証券コード4565)のコーポレートブランドです。「そーせい」、「Heptares」、そーせいグループのロゴおよびStaR(R)は、そーせいグループの商標または登録商標です。

詳しくは、ホームページ

https://soseiheptares.com/をご覧ください。

LinkedIn: @soseiheptaresco

X: @soseiheptaresco

YouTube: @soseiheptaresco

お問い合わせ先:

そーせいグループ株式会社

IR & コーポレートストラテジー部 西下

Tel: 03-5210-3290

Mail: [email protected]

References

[1] Komatsu H et al., Anatomical Transcriptome of G Protein-Coupled Receptors

Leads to the Identification of a Novel Therapeutic Candidate GPR52 for

Psychiatric Disorders., PLoS One (2014), 9(2), e90134/1-e90134/16, 16 pp.,

https://doi.org/10.1371/journal.pone.0090134

[2] Setoh m et al., Discovery of the First Potent and Orally Available Agonist

of the Orphan G-Protein-Coupled Receptor 52., J. Med. Chem. 2014, 57, 12,

5226-5237, June 2, 2014,

https://doi.org/10.1021/jm5002919

[3] Komatsu, H. Novel Therapeutic GPCRs for Psychiatric Disorders, Int. J. Mol.

Sci. 2015, 16, 14109-14121; doi:

https://doi.org/10.3390/ijms160614109

[4] Dixon L What It Will Take to Make Coordinated Specialty Care Available to

Anyone Experiencing Early Schizophrenia: Getting Over the Hump. JAMA Psychiatry.

2017;74(1):7-8. doi:10.1001/jamapsychiatry.2016.2665

[5] Owen M et al., Schizophrenia. The Lancet. Volume 388, Issue 10039, 2-8 July

2016, Pages 86-97,

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(15)01121-6

[6] Roth RM et Al., Schizophrenia Research, Volume 98, Issues 1-3, January 2008,

Pages 232-238,

https://doi.org/10.1016/j.schres.2007.08.020

[7] Bleuler, M. Demential Praecox or the Group of Schizophrenias. (International

Universities Press, New York, 1950).

[8] Wang P et al., Discovery of Potent and Brain-Penetrant GPR52 Agonist that

Suppresses Psychostimulant Behavior, J Med Chem. 2020 Nov 25; 63(22):

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https://doi.org/10.1021/acs.jmedchem.0c01498

[9] Felsing et al., Structure Activity Relationships of Novel GPR52 Agonists

that Suppress Psychostimulant Behavior, The FASEB Journal Volume 35, Issue S1,

https://doi.org/10.1096/fasebj.2021.35.S1.04064

[10] Press release – Sosei Heptares

[11] Newcomer, J. W. Second-generation (atypical) antipsychotics and metabolic

effects: a comprehensive literature review CNS Drugs 2005, 19 (Suppl. 1) 1- 93.

[12] Casey, D. E. Metabolic issues and cardiovascular disease in patients with

psychiatric disorders Am. J. Med. 2005, 118 (Suppl. 2) 15S- 22S.

[13] Taylor, D. M. Antipsychotics and QT prolongation Acta Psychiatr. Scand.

2003, 107, 85- 957Antipsychotics and QT prolongationTaylor, D. M.Acta

Psychiatrica Scandinavica (2003), 107 (2), 85-95.

[14]

https://doi.org/10.1186/ISRCTN17231793

[15]

https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT04846868?intr=iclepertin&rank=4

[16]

https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT04846881?intr=iclepertin&rank=3

[17]

https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT05838625?term=ct-155&rank=4

当リリースの詳細について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000036794.html

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