サルコペニア治療の臨床研究をブラジルで開始
世界に先駆けて、臍帯由来の間葉系細胞(以下「UC-MSCs」)の再生医療等製品として実用化と普及を目指すヒューマンライフコード株式会社(代表取締役社長:原田
雅充、所在地:東京都中央区、以下「当社」)は、加齢に伴う筋力低下や筋量減少を呈し高齢者の活動低下や死亡・要介護リスク増加につながる課題である疾患「サルコペニア」に対する治療法の開発を目指し、その第一歩として、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール連邦大学(Federal
University of Rio Grande do Sul, UFRGS / President: Carlos Andre Bulhões
Mendes)と、サルコペニア特異的なバイオマーカー探索のための臨床研究を開始いたしました。【背景と目的】
サルコペニアは、高齢化社会における重要な健康課題の一つであり、2016年に国際疾病分類に登録されて以降、疾患として認識されています。現行の診断では、適切な治療介入タイミングを見極めることが難しく、効果的な治療法は未だ確立されていません。
当社は、UC-MSCsを活用したサルコペニアの新たな治療法の開発を追求する一環として、本臨床研究では、筋力や体組成といった指標を基に、UC-MSCsの特性にも共通するサルコペニア特異的なバイオマーカーの特定を目指します。このバイオマーカーは、客観的で有効な治療介入を実現するための基盤となることを目的としています。さらに、UC-MSCsを用いたサルコペニア治療は、これまで十分な臨床研究がなされていない分野であり、細胞医療の可能性を活かした革新的なアプローチです。
本臨床研究を通じて、サルコペニア治療の新たな可能性を切り拓くことが期待されます。
なお、当社が名古屋大学との共同研究において、老化促進マウスを用いたサルコペニアモデルの検討を行った研究(Stem Cell Res Ther. 2022 Jun
3;13(1):226)では、UC-MSCsの投与と適度な運動負荷が、モデル動物の握力や持久力を改善し、運動機能の向上をもたらすことを確認しました。これらの成果は、UC-MSCsがサルコペニアの治療において有望であることを示唆しております。
【ブラジルでの臨床研究の意義】
ブラジルは日本人も含む多様な人種が暮らす国であり、高齢化も進行していることからサルコペニアを含む加齢性疾患が社会的課題となっています。そのため、研究対象地域として迅速に幅広いデータが収集可能です。リオ・グランデ・ド・スール連邦大学は、サルコペニアに関する豊富な臨床データを保有しています。同大学の医学部教授である森口エミリオ秀幸先生は、世界保健機構(WHO)の老年医学慢性疾患予防センター長を務めるとともに、老年医学分野のブラジル代表として活躍する、サルコペニア研究の第一人者です。そのため、本臨床研究では、ブラジルの豊富な長期フォローアップデータを活用し、サルコペニアのバイオマーカー探索を効果的に推進できます。
森口エミリオ秀幸先生は、以下のように述べています。
「急速な高齢化に加え、COVID-19の影響で高齢者の身体活動が減少し、サルコペニア(筋肉の衰えによるQOL低下)の進行リスクが指摘されています。これにより、QOL低下や医療・介護負担の増加が懸念されています。今回、サルコペニアの診断に活用可能であり、さらにヒューマンライフコードが開発する臍帯由来間葉系細胞のサルコペニアに対する有効性の検証にも役立つ、新たなバイオマーカーの特定を目指します。日本人として、またブラジルの医師として、この革新的な共同研究に携われることを誇りに思います。サルコペニアの診断と治療の新たな道を切り開くため、本プロジェクトを力強く推進していきます。」
【今後の展望】
本研究で得られた知見を基に、当社はUC-MSCsを活用したサルコペニアの新たな治療法の開発を推進してまいります。また、2025年1月14日に発表したNew
York Blood
Centerとの連携により、日米間で製造プロセスの標準化を進める取り組みは、UC-MSCsを活用した治療法をグローバルに実用化させるための重要な基盤となります。当社は、日本、ブラジル、アメリカを含む国際連携を強化し、従来の医療では救えない希少難治性疾患の患者さんに新たな治療選択肢を提供するとともに、高齢化社会の課題解決に寄与する革新的な医療を追求してまいります。
■リオ・グランデド・スール連邦大学について(
http://www.ufrgs.br/english/home)
リオ・グランデ・ド・スール連邦大学(Federal University of Rio Grande do Sul,
UFRGS)は、1934年に設立されたブラジルの公立大学で、国内外で高く評価される教育・研究機関の一つです。同大学は、多様な学術分野において優れた研究実績を持ち、特に医学分野では老化や加齢関連疾患の研究において世界的なリーダーシップを発揮しています。また、多様な文化的・人種的背景を持つブラジルの特性を活かし、幅広いデータ収集と先進的な研究を展開しています。
■ヒューマンライフコードについて(
ヒューマンライフコード株式会社は、国産かつ備蓄可能な臍帯(へその緒)(“コード”)からの細胞製品を製造・開発し、現在でも確立した治療のない難病患者さんの生きる希望へつなげ(“コード”)、その先には健康寿命延伸につながる病気の重症化予防を目的とする未来の医療へとつなげる(“コード”)ことで、誰もが心豊かな生活を実現できる社会(“ヒューマンライフ”)を創り出すことをビジョンとしています。
2019年「第1回東京ベンチャー企業選手権大会」最優秀賞&東京都知事賞受賞。東京都主催「スタートアップ・エコシステム東京コンソーシアム」が運営する「ディープ・エコシステム」の支援対象企業に選定。2023年内閣府主催「第5回日本オープンイノベーション大賞」厚生労働大臣賞受賞。2023年経済産業省によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup」選定企業。2024年東京商工会議所主催「勇気ある経営大賞」スタートアップ部門大賞受賞。
当リリースの詳細について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000061963.html
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