スマートフォンに蓄積されたデータをもとに幸福度を推定する「Well-being推定AI」を開発

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、お客さまの同意に基づきスマートフォンに蓄積された生活習慣情報や位置情報などの利用許諾が得られたデータから、個人の幸福度を推定・見える化することができる「Well-being推定AI」を開発しました。「Well-being推定AI」は、2024年5月以降、ドコモが提供する自治体向けヘルスケアサービス「健康マイレージ」の機能として提供を開始予定です。

■背景

「Well-being」とは、身体的や精神的に健康な状態にあるだけでなく、社会的観点においても良好で満たされている状態にあることを示す複合的な健康指標です。政府は、「骨太方針2023」の中で、「政府の各種の基本計画等におけるKPIへのWell-being指標の導入を加速すること」や、「地方自治体におけるWell-being指標の活用を促進すること」を発表しており、Well-beingに関する取り組みが加速度的に進められています。また、国連により3月20日(水)は国際幸福デーとして定められており、幸福は世界中の人々の共通の目標であり、公共政策に反映されるべきものとして位置付けられています。

Well-beingを計測するためには、「Subjective Well-being

Inventory(以下、SUBI)」(※1)と呼ばれる40問のアンケートを用いることが主流ですが、継続的にWell-beingを把握するためには、日常的な検査・回答・採点を必要とするため利用者の負担が大きく、公共政策等で活用するには課題が残されていました。

■「Well-being推定AI」

ドコモは、スマートフォンから取得できる端末利用情報や位置情報、運動等に関する生活習慣情報をお客さまの同意に基づき活用することで、スマートフォンを普段使いするだけで、住民が意識せずとも身体的・精神的・社会的の3観点からWell-beingの推定を可能とすることをめざしました。これまでドコモが培ったビッグデータ解析技術および機械学習などのAI技術をもとに、生活習慣情報等とSUBIの回答との関係性を学習させ、「Well-being推定AI」の開発を実現しました。

推定結果を「健康マイレージ」アプリ上で毎週提供することで、住民のWell-beingに対する意識向上と、自身の生活習慣の振り返りや自主的なセルフケアが期待できます。また、自治体に対しては、Well-being推定結果に基づき、住民のWell-beingの変化を見える化し、地域活性化に向けたイベントの企画や、生活利便性の向上に利用する、といった使途が想定できます。

■「Well-being推定AI」の利用イメージ

■「Well-being推定AI」の技術概要

なお、「Well-being推定AI」は、ヘルスケアに関連したさまざまな健康状態や生活習慣などを推定するAIを集約した、ドコモが提供する「ヘルステック(HealthTech)基盤」に実装されます。また、「Well-being推定AI」を「ヘルステック基盤」のAPIと連携し利用することも可能です。「ヘルステック基盤」の詳細は別紙をご確認ください。

今後もドコモは、普段の生活の中で自然と人々が健康になれる世の中の実現をめざし、AI技術をスマートフォンアプリなどと連携させ、医療・ヘルスケア領域における社会課題の解決に貢献していきます。

※1 WHOが開発した、心の健康状態や人間関係、身体の健康感など精神生活を総合的に評価できる質問紙。

参考

「健康マイレージ」について

1.概要

「健康マイレージ」は、スマートフォンを活用した自治体向けヘルスケアサービスであり、現在のご利用者は60万人以上で、累計137の自治体(2024年2月末現在)にご利用いただいています。健康マイレージに含まれる

各種機能により意識変動を起こし、行動変容につなげていくことが可能です。フレイル推定AIや今後提供予定の各種推定AIにより、スマホを持ち歩くだけでご利用者さまの生活習慣を把握し、スコアリングやナッジ理論(※1)を活かしたアドバイスにより、意識変容へ導きます。

意識変容から行動変容へのステップでは、ウオーキングマップ機能によって、位置情報を利用し、地域のお散歩

コースを巡ることができ、写真投稿機能で他の利用者が投稿した写真を閲覧することやその画像を撮った

位置情報を確認できるため、その場所へ行こうという意欲の向上を促します。さらにランキング機能もあり、利用者に合ったレベルのランキングが設定されることでライバルと競うことで歩数の増加が見込めます。意識変容から行動変容までを一つのサービスで包括的にサポートすることができ、自治体の医療費・介護費削減に貢献することができます。

2.健康マイレージ上での「Well-being推定AI」のUIイメージ

※1 行動経済学で用いられる理論の1つであり、きっかけを与え自然な形で誘導する理論。

参考

「ヘルステック基盤」について

1.概要

「ヘルステック(HealthTech)基盤」は、ドコモが2022年9月26日(月)から提供を開始したAPI基盤であり、ヘルスケアに関連したさまざまなAIを集約・搭載し、健康状態や生活習慣などの推定AIを事業者向けに展開しています。ヘルステック基盤とAPI連携することで、免疫力推定AIやフレイル推定AIなどを幅広い業界にてご利用いただけます。ドコモは今後、さまざまな推定AIの開発・実装を行い、普段の生活の中で自然と人々が

健康になれる世の中を実現していきます。

2.ヘルステック基盤イメージ

3.提供形態