定の脳部位の刺激が顔に対する魅力印象を高めることを発見
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)の
張優希研究員が、2024年11月2~3日に開催された第29回日本顔学会大会(補足資料1)においてオーディエンス賞を受賞
しました。ポーラ化成工業の本学会での受賞は、昨年に続き2年連続です。
「顔の魅力」の理解は香粧品研究において重要な課題です。本研究は、顔を見た際に脳内でどのような知覚・認知経路をたどり魅力を感じるのかに着目したことで、今までにない「顔の魅力」を向上させるソリューションの開発につながると期待されます。
■受賞した研究発表「前部前頭前皮質の活性化が顔の魅力印象に及ぼす影響 -経頭蓋磁気刺激を用いた検討-」 (口頭発表)張優希, 大石貴矢, 水越興治
ポーラ化成工業 フロンティアリサーチセンター【発表内容概要】ポーラ化成工業の過去の研究から、顔を見て魅力を感じた時に、前部前頭前皮質(anterior
prefrontal cortex,
aPFC)という脳部位が活性化することが分かっています(補足資料2)。しかし、aPFCを活性化させたときに顔の魅力の感じ方が変化するかは明らかとなっていませんでした。
そこで、aPFCを磁気で活性化し、顔に対する魅力印象の評価が高まるかどうか調べました。その結果、シミやシワに代表される色や形態の肌悩みが目立たない顔モデル群では、aPFCを活性化することで魅力値が高まることが明らかとなりました(図1)。つまり、aPFCを活性化することで、他の方の魅力をより感じられるようになると考えられます(図2)。なお、肌悩みはスキンケアやメークで改善・カバーできることから、誰もがaPFC活性化によってより魅力的に見られるようになると考えられます。
図1. aPFCを刺激した際の顔の魅力値の変化。特定の顔モデル群に対する、aPFC活性化の効果を示す。
aPFCは視覚以外にも触覚や聴覚、嗅覚、味覚などでも活性化されることが知られています。今後、aPFCを活性化するような顔や肌特徴、および五感の要素を明らかにすることで、誰もがより魅力的になることのできる方法の提案につながると期待されます。
図2. 発表内容のまとめと今後の展望■受賞者張 優希 (ポーラ化成工業 フロンティアリサーチセンター 研究員)【受賞者紹介】
2021年から基盤研究を担うフロンティアリサーチセンターにて皮膚科学研究に従事。現在は、感性分野を中心とする研究に従事。特技はカラオケ。【コメント】
さらに研究を進め、顔の魅力への理解と向上手段の提案、ひいては日常生活の魅力の向上の提案に繋げていきたいです。今後の研究発表にも是非ご期待ください。
ポーラ化成工業では、グループの理念「感受性のスイッチを全開にする」を体現するべく、化粧品の枠を越えて革新的な技術の研究を進めるとともに、美やコミュニケーションの発展に貢献していきたいと考えています。
【補足資料1】 第29回日本顔学会大会について
第29回日本顔学会大会は『まなざしの前(さき)にあるもの、まなざしの奥にあるもの』をテーマとして、一般講演(口頭・ポスター発表)、特別講演、実演・作品展示、シンポジウムにより、2
日間にわたって構成されました。
オーディエンス賞は、日本顔学会大会(フォーラム顔学)で発表された多くの研究成果の中から、その考案が顔学に多大なインパクトを与えたものを参加者からの投票によって選定し、これに貢献された発表者の方々の功績を顕彰するものです。
日本顔学会大会Webサイトでの受賞者発表:
https://www.jface.jp/jp/award【補足資料2】 aPFCが視覚における顔の魅力認知に関わる
ポーラ化成工業ではこれまでに、視覚での魅力認知に関わる脳部位を明らかにするために脳機能計測を行ってきました。この試みでは、日常生活で私たちの脳で実際に起きている反応を忠実に引き起こすため、被験者に提示する画像に8K映像技術で撮影した画像を採用しました※1。8K画像は、従来実験に用いられてきたFull
HD画像に比べ解像度が圧倒的に高く、今までの画像上では表現されていなかった、顔・肌の特徴が含まれていると考えられます。
8K画像を被験者に見せ、魅力を評価している時の脳活動を計測した結果、aPFCが顔の魅力認知に関連していることを突き止めることに成功しています(図3)。
図3. 8K画像により明らかになった魅力に関連する脳部位【補足資料3】 経頭蓋磁気刺激によるaPFCの活性化
aPFCの活性化が顔の魅力の感じ方に与える影響を検証するため、頭の外側から、磁気刺激を与える「経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic
Stimulation,
TMS)」という方法でaPFCをピンポイントに活性化し、検証を行いました。この手法では、被験者のMRI画像を事前に取り込み、刺激機器の位置情報を取得することで、特定の脳部位を正確かつ非侵襲的に刺激できます。
「aPFCを刺激しaPFCが活性化している状態」と「aPFCを刺激せずaPFCが活性化していない状態」で、被験者にさまざまな顔画像を提示し、それらの魅力を評価してもらいました。
図4. 脳刺激環境の概略※ 本試験は倫理委員会の承認を得て、専門家の指導の下、実施しています。 当リリースの詳細について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000124.000092303.html
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