幹細胞(培養液)の国内美容市場に対する実態レポート
株式会社ジャパンベストヒール代表:西島直子による「幹細胞美容市場に関する実態レポート」を、美容のPR・マーケティングサービスを展開する株式会社ビューズがリリース配信いたします。
日本では現在、 幹細胞培養液を配合した化粧品(幹細胞コスメ)や美容サービスが多く販売されるようになりました。 その実態について、 1.通販販売
2.店頭化粧品販売 3.エステサロン 4.美容クリニックの4つのチャネルでの調査を実施しました。 本レポートでは主に、 幹細胞化粧品の日本国内への広まり、
認知度、 販売状況についてレポートいたします。
https://naokonishijima.com/news/137/
< 目 次 >
1. 幹細胞培養液とは
2. 再生医療における幹細胞
3. 国内市場における認知度
4. 幹細胞コスメの市場への広がり
5. 日本化粧品メーカーの取り組み状況
6. 幹細胞コスメ商品に対する消費者の声
7. 今後の展望と海外の動向
8. おわりに
1. 幹細胞培養液とは
私たち人間の体内には約60 兆個もの細胞が存在しており、 細部それぞれその場所に合わせて決まった役割を持っている。 「幹細胞」とは、
「細胞の元となる細胞を生み出す」ことができるもので、 皮膚、 赤血球、 血小板など体を作る細胞を作り出す「分化能」、
全く同じ能力を持った細胞に分裂する「自己複製能」という2 つの能力がある。 私たちヒトを形成する細胞の数は成長とともに増え、
0歳から20歳までで細胞が約3兆個から約60兆個、 幹細胞が約60億個から約10億個になり、 40歳にかけて細胞が約52 兆個、 幹細胞が約3
億個と年齢とともに幹細胞が減少する。 年齢とともに減少してしまう幹細胞をおぎない、
エイジング効果の働きがあるとされている幹細胞コスメに含まれる「幹細胞培養液」とは、
エイズや肝炎を含むウイルスや細菌に感染していない健康な成人女性ドナーの脂肪や歯髄、 臍帯血などを採取し、
その中から取り出した幹細胞を培養して抽出したものである。
幹細胞の培養はGMP(薬事法に基づいて厚生労働大臣が定めた医薬品等の品質管理基準)に準拠したクリーンルームで無菌状態下で行われ、 管理されたのち、
医薬品レベルの安全検査が実施されている。 幹細胞が分泌する多様な生理的活性をもつペプチドを精製した成分で、
日本ではクリニックやサロンで美肌再生治療や化粧品としての活用のほか、 発毛治療にも使われている。
「幹細胞培養液」には大きく分けて3 種類(動物由来、 植物由来、 ヒト由来)のものがある。
● 動物由来幹細胞
ヒトの皮膚幹細胞と構造が似ている羊の毛根や胎盤から摂取された幹細胞を用いて作られているものが多く、 プラセンタ原液やプラセンタサプリなどが代表例である。
体質やアレルギーなどによって安全性に欠けることもある。
● 植物由来幹細胞
傷ついた細胞を再生する力を持つ、 特定の植物の細胞を使った幹細胞で、 幹細胞を培養する過程で細胞から抽出したエキスがコスメに使われている。
抗酸化力と保湿力が高く、 肌老化の原因とも言われる活性酸素を除去し、 若々しい肌へ導く効果がある。 植物とヒトの幹細胞の構造は異なるため、
同様の効果は期待できない。
● ヒト由来幹細胞
医療や美容業界で多く使用されているのは、 ヒトの皮下脂肪から採取した脂肪幹細胞で、 その培養液がコスメに使われている。
ヒト幹細胞培養液に含まれる成長因子が細胞に働きかけ活性化することで高いエイジングケアができることが特徴。
医療現場では、 脂肪由来のヒト幹細胞を使った再生医療が進んでいて、 軟骨の再生や肝硬変などの治療にも使われている。 近年では脂肪幹細胞以外にも、
歯髄幹細胞由来や臍帯血幹細胞由来などがある。
〈 脂肪幹細胞 〉
ヒト幹細胞培養液の中でも一番メジャーになっているのが、 脂肪幹細胞で、 さまざまなタンパク質、 酵素、 成長因子を出し、
それらの働きによって組織を再生する力を持つことが期待でき、 エイジングケアの実現にも注目されている。
〈 歯髄幹細胞 〉
ドナー及び、 採取経路が確立されており、 高品質で極めて安全性が高い成長因子持っていることが特徴。 乳歯由来の若い幹細胞を培養し、 細胞の活性や抗炎症作用、
血管新生、 体内の幹細胞を誘導するなどが期待できる。
〈 臍帯血幹細胞 〉
受精卵から赤ちゃんになるまでの10 ヶ月間、 お母さんのお腹の中で胎児が酸素や栄養を得る唯一のルートが臍帯である。
臍帯血幹細胞に含まれる豊富なタンパク質が複合的に作用し、 コラーゲンとエラスチンの分泌を促進し、 肌を再生し、 弾力のある肌にすることができる。
2. 再生医療における幹細胞
しっぽが切れたトカゲが元どおりになるように、 人間にも本来「再生する力」が備わっている。 再生医療とは、 病気やケガで失われた機能を薬で治療するのではなく、
再生する力を使う医療のことをさす。 再生医療のなかでも幹細胞をつかうものは幹細胞治療と呼ばれ、 世界的に様々な研究機関、 製薬企業、
ベンチャー企業等で積極的に研究や開発が進められている。 その中には既に医薬品として臨床の現場で使われている製品もいくつか存在する。 全世界で500
を超える企業が細胞治療市場で活動しているが、 そのうちの50%以上がアメリカの企業である。 日本も再生医療研究では、 iPS 細胞を筆頭に、
特許の申請数ではアメリカに次いで2位と、 世界をリードしている状況である。 しかし、 実用化という点では、 国の予算不足から世界に大きく遅れをとってきた。
この状況を打破するため、 2014 年には実用化のための再生医療等の新薬承認制度が設けられ、 また、
臨床研究や安全な治療が受けられることを目指した制度も設けられた。 このような法整備は世界の中でも画期的であり、
再生医療を安心安全に患者に届けられる環境が整ったことで、 国内の実用化に向けた取り組みは益々盛んになっていくことであろう。
参考:釧路孝仁会記念病院 再生医療室
http://www.kojinkai.or.jp/regenerative_medicine/stem_cell/stem_cell_4/
3. 国内市場に置ける認知度
ビューティーワールドなどのプロ向けのコスメ化粧品展示会では多くのメーカーが幹細胞コスメを出展しており、 多数のクリニックやサロンでの導入が急増し、
クリニックやエステを通じて消費者の認知度も高まってきている印象である。
クリニックやエステサロンを通じて、 幹細胞培養液を使用したコスメは消費者に届いているものの、 幹細胞コスメ百科が2018
年におこなった幹細胞コスメの認知度・使用経験の有無の調査結果では、 18 歳以上の女性1,485 名への認知度は約15%、 45歳以上でも認知度は10%
未満と低い。
認知度の低い要因は、 国内大手化粧品メーカーが幹細胞コスメを販売していないこと、 幹細胞コスメの流通先はインターネットや一部店頭が中心で、
ドラッグストアなどでの取り扱いは少ない、 クリニックやエステ、 口コミやSNS で知ることが多い傾向にある。
40 代以上の情報の入手先の大半はテレビや店頭が多いため、 市場認知度も低いと考えられる。
幹細胞コスメが市場に登場したのは2007 年頃で、 日本で最初に発売されたのは2012 年のアンチエイジング社のヒト幹細胞培養液。
再生医療の研究が進む米国や韓国がヒト幹細胞培養液の研究開発に先行しており、 2015
年頃からプロ向け展示会に多数メーカーが出展したことでクリニックやサロンに普及しはじめた背景がある。
*参考:幹細胞コスメ百科 :幹細胞コスメの認知度・使用経験の有無を調査
https://www.mccartdesigns.com/?p=1578
4. 幹細胞コスメの市場への広がり
国内の美容業界に於いて注目され始めたのは2015 年頃であるが、 今では幹細胞コスメとして市販されているだけでなく、
クリニックでの注射・点滴など幅広く使用されている。
幹細胞コスメが市場に登場したのは2007 年頃であるが、 ブームの火付け役となったのは2009 年にLANCOME
から発売されたAbsoluePreciousCells(リンゴ植物性幹細胞を使用) だと言われている。 ちなみに日本で最初に発売されたのは2012 年、
アンチエイジング社のヒト幹細胞培養液である。 幹細胞は本来、 再生医療で活用されているもので、 幹細胞コスメの原料であるヒト幹細胞培養液の研究開発は、
再生医療の研究が進む米国や韓国が先行している。 国内の美容業界に於いて注目され始めたのは2015 年ごろであるが、
今では幹細胞コスメとして市販されているだけでなく、 クリニックでの注射・点滴など幅広く使用されている。 幹細胞コスメは発売当初は2~3 万と高額であったが、
昨今は手頃な価格帯の商品も多数並び、 気軽にトライアルできるようになった。 クリニックでのメニューは費用がかかるものの、
効率的にエイジングケアができることから、 取り扱いを始めるクリニックも年々増加している。
幹細胞コスメの市場は、 アメリカでは1 兆円を超える、 韓国でも1,000 億を超えていると言われ、 今後も幹細胞コスメ市場は成長を続けるであろう。
5. 日本化粧品メーカーの取り組み状況
日本の化粧品売上トップ5 社は資生堂、 花王、 コーセー、 ポーラ・オールビス、 マンダムである。 この5社で唯一、 資生堂のクレ・ド・ポー ボーテ
からヒト由来の幹細胞コスメが2015 年に販売されていたが、 現在は販売されていない。 幹細胞コスメは、 培養液の組成こそが効果の肝で、 細胞の再生力、 効果、
そして長期保管方法について成果としてあげることが必要になる。 国内のトップ5社の動きは慎重で、
幹細胞が作用するエビデンスを用意するために日々研究が進められている。 一方で、 医薬品をはじめ、 基礎化粧品や食の事業などを手掛けるロート製薬は、
幹細胞を用いた医療品分野でトップランナーになることを目指している。 再生医療研究室から生まれた、
脂肪幹細胞由来の幹細胞培養上清液が含まれた美容クリーム『ステムサイエンスMDクリーム』を販売されており、 サロン、 百貨店、 オンラインショップで現在も販売中。
「再生医療」という最先端の技術に取り組む研究情報をWEB サイトで情報発信している。
ポーラ化成工業株式会社は、 理化学研究所と共同研究契約を締結し、 皮膚再生研究を強化してシワやタルミなどのエイジングの肌悩みを改善する新たな技術開発に取り組む、
コーセーは元京都大学iPS 細胞研究所:特任教授の加治和彦先生を研究顧問としてお迎えし、 加治博士の研究コラムとして情報発信。
マンダムは、 大阪大学と再生医療で使用する幹細胞関連技術などを化粧品へ応用するための技術開発に共同で取り組むなど、 各社取り組みをしている。
6. 幹細胞コスメ商品に対する消費者の声
幹細胞コスメを購入する方法としてはドラッグストアなどの店頭を利用する方法と通販サイトを利用する方法、 エステやクリニックなどのサロンで購入する方法の3
パターンがある。 店頭販売のものよりも通販サイトで販売されている商品の方が高く、 その中でも特に定期購入可能な商品は、 全体的に高価な傾向にある。 ちなみに、
定期購入可能な商品の大半が初回の割引サービスを実施しているがそれと比較しても店頭より高価である。
購入者の口コミを調査したところ、 手頃な値段で長く続けられるといった利便性についてのほか、 使って1ヶ月で目に見えて肌質が改善した、
というような効果の実感についての声が目立つ。 特にヒト由来の商品については本来高価なものが手頃な価格で手に入れることができた、
というようにコストパフォーマンス面での満足度も高評価に繋がっている。 一方で、 ベタつきが気になる、 という質感への不満の声も多く見られた。
一部の商品については、 ベタつかなくて使い心地が良かった、 と質感について評価がされているが、 中には保湿力がなくて朝には乾燥するといった声も見られた。
利用者は幹細胞コスメへの期待として、 質感や保湿力といった幹細胞以外の効果も求めていることがわかる。
通販サイトでは美容液タイプのヒト由来の幹細胞コスメが多く販売されている。 口コミは総じて高評価で、 多くの利用者が肌質改善の効果を実感していることから、
幹細胞コスメを使っている人にとっては満足できるものだと見てとれる。
7. 今後の展望と海外の動向
幹細胞コスメの原料であるヒト幹細胞培養液の研究開発は、 再生医療の研究が進む米国や韓国が先行している。 もちろん日本やヨーロッパでも進んでいるが、
各国によってそれぞれ規制があるため、 医療で使用する場合の目的や化粧品として商品化する場合はそれぞれチェック項目をクリアしたものが流通する。
ヒト由来の幹細胞培養液は GMP に準拠した製造加工しか生産が認められておらず、 高い安全性が求められるため、 大量生産が難しく、 価格も高くなりがちである 。
ヒト幹細胞培養液を化粧品化するためには、 培養する幹細胞を摂取するドナーが必要になる。
ドナーからヒト幹細胞を製造するための了承を得たあと、 幹細胞を無償で提供いただくという臓器提供と同じレベルの手続きとなる。 ドナーは健康な20~30
代の女性で、 幹細胞摂取時に感染症の有無や遺伝性疾患などの検査がおこなわれ、 問題がないことを確認したのちに脂肪細胞を取り除き、
さらに感染症の潜伏期間のリスク予防のために6 ヶ月間の凍結保存をし、 6 ヶ月後に改めてドナーの感染症チェックをおこない、 安全が確認されたあとに解凍し、
培養される。
このように、 ドナーから化粧品化するまでにも様々な行程があり、 時間もかかることから大量生産が難しく、 一般市場へ流通するメーカーでは対応出来ない。
広告費用面などの負担などもかかるため、 大量生産しやすい植物幹細胞や動物幹細胞が主要となっていると考えられる。
幹細胞培養液を使ったコスメは通信販売で広がることが考えられたが、 薬事法などの表記で幹細胞が厳しく審査されたことで広告出稿量が増えず、
一般市場への流通が低くなっている傾向や、 ドラックストアーなどの店頭で販売する際に値段が高いと言われて売れないため、
今後もクリニックやエステサロンを通じて販売されることが続く見込みだ。
8. おわりに
このレポートは、 幹細胞コスメの正しい知識と利用を啓蒙するために、 株式会社ジャパンベストヒールによって発表されたものである。
これまでのスキンケアは、 肌の表面を潤したり、 年齢と共に減少する肌成分を「補う」ことを目的としたものが中心で、
化粧品の力だけで根本から改善するものはなかった。 美容クリニックに行かなくとも、 そのような効果が出せる成分はないかと行き着いたものが、
再生医療でも注目されている幹細胞である。 補うのではなく、 『再生』を促す。 これからのスキンケアは、 細胞の代謝を促すことで肌の再生力を高め、
ターンオーバーを正常化し、 艶肌へと導くものへと進化していくと思われる。
遺伝子の解明とともに老化のメカニズムが科学的に明らかになり始め、 美容やエイジングへの関心も益々高まっている。 今後、
美容業界は「コスメシューティカル」が主流になると言われている。 コスメシューティカルとは、 科学的根拠に基づき、 効果が検証された、
次世代の機能性スキンケア製品のことをさす。
再生医療の成分として注目されている「ヒト幹細胞培養液」が肌本来の再生力を呼び醒ますことで化粧品に使われはじめたように、
最先端のバイオサイエンスがもたらす成分によってエイジングケアは大きく進化していくであろう。 幹細胞という素晴らしい素材、
そして細胞レベルで肌を変える次世代のスキンケアがあるということを、 肌に悩みを抱えいる方々に知っていただきたい。 そして、 より多くの、
美を追求する方々に使っていただくために、 正しい知識と情報を発信していく活動に取り組んでいく所存だ。
株式会社ジャパンベストヒール 西島直子
<情報提供>
社名:株式会社ジャパンベストヒール(japanbestheal.)
住所:東京都港区赤坂3丁目14-7バルビゾン44ビル7階
事業:エステサロン運営、 化粧品の販売
MAIL:[email protected]
<配信者>
社名:株式会社ビューズ(beaus)
住所:東京都港区北青山2-7-26 Landwork青山ビル2階
事業:PR代行
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