大気汚染物質がシワ形成を加速させるシワの原因「好中球」が肌に集まりやすくなる可能性を発見
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、 社長:釘丸和也)は、
大気汚染物質により肌に好中球が集まりやすくなる可能性があることを見い出しました。 好中球はシワ形成に関与することから、 大気汚染物質を防ぎ、
好中球の働きを抑えることがシワ形成の予防・改善には重要だと考えられます。 この知見は、 ポーラの製品をはじめ、
ポーラ・オルビスグループの商品に活用される予定です。 * 大気汚染はシワに悪影響を及ぼす
大気汚染は年々大きく改善されているもののいまだ完全には解決されておらず、 人体などに対する影響が危惧されています。 大気汚染物質の一種のPM2.5は、
年間を通して大気中に含まれています(補足資料1)。
大気汚染はシワにも悪影響を及ぼすことが知られています。 ポーラ化成の行った試験においても、 大気汚染物質の濃度が過去に高かった地域に住む女性の方が、
そうではなかった地域に住む女性よりも、 目尻のシワが目立つ傾向があることが確認されました(図1、 補足資料2)。
* 大気汚染により好中球が肌に集まりやすくなり、 シワ形成が進む
そこで、 大気汚染によりシワの形成が進む原因を探ることとしました。 ポーラ化成はこれまでに、 シワ形成部位に好中球が集まり、
好中球エラスターゼを分泌することが原因の一つであると解明しています。 そこで、
大気汚染物質により好中球が肌に集まりやすくなるためにシワ形成が進むのではないかと考え、 検証しました。
実験では、 表皮細胞から構成された皮膚モデルの角層表面に大気汚染物質を塗布してしばらく培養した後、 その培養液を真皮線維芽細胞に加えました。 その結果、
線維芽細胞で好中球を呼びよせる炎症性因子の遺伝子発現が高まりました(補足資料3)。 つまり、 大気汚染物質により影響を受けた表皮細胞が何らかの因子を放出し、
それが皮膚内に拡散して線維芽細胞に好中球を呼び寄せる反応を引き起こしたものと考えられます(図2)。 * 紫外線と大気汚染の両方への対策を
好中球は紫外線によっても肌に集まりやすくなるため、 シワの予防や改善を効果的に行うには、 紫外線と大気汚染の両方への対策が重要といえます。
好中球の働きを抑える化粧品とともに、 紫外線や大気汚染物質をカットできる化粧品を合わせて使うことにより、 より効果的なエイジングケア効果が期待できます。
【補足資料1】 大気中のPM2.5濃度について
日本の各測定地点で計測された大気中のPM2.5濃度について、 過去6年間の各月の平均値を図3に示しました。 PM2.5は、
一般的に知られるように春は濃度が高いですが、 年間を通して大気中に含まれていました。
【補足資料2】 過去の大気汚染濃度の異なる2地域での目尻シワグレード評価試験について
大気汚染濃度が過去に高かった地域に長年住んでいる方の肌には、 過去の大気汚染の影響が現れているのではないかと考え、 シワの程度の地域差を調べる試験を行いました。
2016年の年間平均大気汚染濃度が約73μg/m3であった地域Aと約34μg/m3であった地域Bを選び、
それぞれの地域に20年以上住んでいる50代の女性を対象にシワの程度を調べました。
日本香粧品学会「抗シワ製品評価ガイドライン」に決められた方法で目尻部位のシワグレード評価を行ったところ、 地域Aに長年居住された女性の方が、
シワが目立つことが確認され(図4)、 大気汚染がシワ形成の一因となっている可能性が示されました。
【補足資料3】 大気汚染物質は紫外線の有無にかかわらず、 好中球を肌に集めやすくする
表皮細胞から構成された皮膚モデルの角層表面に、 大気汚染物質を塗布し一定時間培養した後に、 その培養液を真皮線維芽細胞に加えました。
皮膚モデルに紫外線(UVB)を照射しない場合も照射した場合でも、
真皮線維芽細胞における好中球を呼びよせる炎症性因子(IL8)の発現が大気汚染物質により高まることが確認されました(図5)。 このことは、
大気汚染物質が好中球を真皮に集めやすくし、 シワの形成を進めうること、 その影響は紫外線の有無にかかわらず現れることを示しています。
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