中里 実(東京大学名誉教授・政府税制調査会会長)による40年にわたる租税研究の集大成、シリーズ三部作の刊行が始まる!

実(東京大学名誉教授・政府税制調査会会長)による40年にわたる租税研究の集大成、シリーズ三部作の刊行が始まる! 株式会社税務経理協会(東京都新宿区

代表取締役社長 大坪克行)では、 2021年4月24日に中里実(東京大学名誉教授・政府税制調査会会長)著『租税法の潮流〔第一巻〕課税問題の変遷』を刊行致します。

「租税法の潮流」シリーズは、 40年にわたる著者の研究生活のなかで発表してきた小論や講演録のうち、 税実務とかかわりの深いものを選んでまとめた論文集です。

租税に興味を持ち、 あるいは今後の税制の行方に思いを馳せる実務家の方々に興味を持っていただけるようなものを整理・分類しています。

第一巻「課税問題の変遷」は、 ここ30年間にほぼ毎年行われてきた日本租税研究協会での講演録をまとめたものです。

講演のテーマにはその時点で重要と思われるものが選択されており、 年代順となっている本書を辿れば、 議論の変遷を追うことが可能です。

デリバティブ取引や関連会社間の役務提供など、 新しく行われるようになった経済取引についてどう課税すべきかを扱った第1章「経済取引」、

課税の対象となる経済取引を第一義的に規律する私法について、 確定決算主義や国際租税などの租税法の解釈をめぐる議論とともにひもといた第2章「法の解釈」、

連結納税制度やタックスシェルターへの対応などの税制改革に関する議論を扱った第3章「税制改革」、

移転価格課税や国境をまたぐ金融取引などの議論の変遷を知る第4章「国際課税」、

アメリカなど日本の税制を論ずる際に参考になる諸外国の税制を扱った第5章「外国税制」、

そして財政危機を抱え高齢化を迎える日本における租税政策の在り方について論じた第6章「租税政策」と、 複層的な視点で行われてきた租税に関する議論が、

ここにあります。

本書で扱うのは、 これまでに起きた実際の事象に関して行われた過去の議論です。 しかし、 どれもその時代の話題をさらった重要なテーマばかりであり、

その記憶が鮮明にある方もいらっしゃるでしょう。 その点で、 読者の方々の中に積み重ねてきた議論と照らし合わせて、 ぜひ、

今後のあるべき税制を語る際の参考にしていただければと思います。

本シリーズは、 さらに第二巻「金融取引の課税」、 第三巻「租税法の激流」の刊行も予定しています。 ご期待ください。

【書誌情報】

租税法の潮流〔第一巻〕課税問題の変遷

著者 中里 実

定価 4,950円(本体4,500円+税10%)

A5判並製 516頁

ISBN 978-4-419-06775-5

【執筆者プロフィール】

中里 実(なかざと みのる)

昭和53年、 東京大学法学部卒業。 同年、 東京大学法学部助手(指導教官、 金子宏教授)。 その後、 一橋大学助手・講師・助教授、 東京大学助教授を経て、

平成9年1月より令和2年3月まで、 東京大学大学院法学政治学研究科教授。 令和2年4月より西村高等法務研究所理事、 令和2年6月より、 東京大学名誉教授。

現在に至る。

【目次】

第1章 経済取引

一 金融派生商品の課税について

二 クレディット・デリバティブの課税上の取扱い

三 パートナーシップ課税について

四 償却資産に対する固定資産税

五 関連企業間の役務提供と寄附金課税

第2章 法の解釈

一 確定決算主義をめぐる議論について

二 税務と法務の関係

三 租税法における裁判所の法創造機能

四 課税処分における契約の尊重

五 特殊な金融取引についての課税上の問題点──債務と財産の同時存在及び元物に対する権利と果実収受権の分離

第3章 税制改革

一 持株会社と連結納税制度

二 持株会社と租税法上の問題点

三 節税商品の最近の動向

四 節税商品の最近の動向(2)

五 タックスシェルターの最近の動向

第4章 国際課税

一 【報告】移転価格

二 無体財産権に対するtransfer pricingについての経済分析

三 移転価格におけるリスク

四 【報告】金融取引に関わる国際課税上の諸問題

五 移転価格課税と他の課税との二重課税──外国子会社配当益金不算入制度導入の影響

第5章 外国税制

一 【報告】日・米租税制度の比較──外国税額控除

二 ウズベキスタンの租税制度──石使節団現地出張報告

三 キルギスの租税制度

四 アメリカ租税法の研究動向と日本における最近の課税問題

五 経済発展に資する租税制度──新制度派経済学の観点から

第6章 租税政策

一 税制改革の効率性

二 わが国租税政策の現状と課題

三 税収不足と国家の退却

四 福祉国家の変容と個人の行動の変化

五 BEPSプロジェクトはどこまで実現されるか

五の二 日本の国際課税──BEPSプロジェクトはどこまで実現されるか・再論

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