数がコロナ下でDXに取り組んでいる実態が明らかに 一方、身体介護など「ケアサポート」面でのロボット活用は1割未満と進まず
【介護事業所におけるDX実態調査】半数がコロナ下でDXに取り組んでいる実態が明らかに 一方、身体介護など「ケアサポート」面でのロボット活用は1割未満と進まず
~介護業界の二大課題「人材不足」「定着化」でのDXニーズは6割超も、知識不足が最大の障壁~
医療・福祉分野での人材紹介・派遣サービス大手のトライトグループ(本社:大阪府大阪市、 東京本部:東京都千代田区、 代表取締役CEO:笹井 英孝)は、 この度、
10代から60代以上の介護従事者男女303名を対象に、 「介護事業所におけるDX実態調査」を実施しました。
* 背景
国内では、 少子高齢化による介護需要の増加に伴い、 2035年には介護職員が68万人不足*1すると見込まれています。 介護サービスを持続的に提供するためには、
DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の効率化が急務です。 政府は、
2021年4月より介護の新データベース「科学的介護情報システム(LIFE)」の運営を開始し、 介護事業所の高齢者へのリハビリやケアの情報をデータ化し、
収集したデータを元にリハビリの効果などを分析することで、 介護プランの作成に役立てることを目指しています。 当社でも介護業界のDXを進めるために、
2021年4月に介護従事者向けに業界のAI・DXに関する最新情報を発信する「AIケアラボ」をスタートしました。 今回、
DXが円滑に進むために必要な施策を把握することを目的に、 介護事業所におけるDXの実態や抱える課題を明らかにする本調査の実施に至りました。
※本調査に関するより詳しい内容・報告書は、 AIケアラボにて公開していきます。
AIケアラボURL:
https://ai-carelab.tryt-group.co.jp/
* 主な調査結果
1)約半数(45.2%)がコロナ下でDXに取り組んでいる実態
2)DXが特に進んでいる分野Best3「介護記録業務(51.8%)」「介護報酬請求業務(41.1%)」「身体介護業務(34.5%)」
3)DX推進のために活用しているツールは「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」「コミュニケーションツール(26.2%)」のほか、
浴室内の見守りや転倒防止など身体介護業務を支援する「センサー(26.2%)」が上位。 一方で、 身体介護を行う介護ロボットの活用は1割未満(6.5%)。
4)今後DXに取り組みたい分野は「介護記録業務(33.3%)」、 リハビリ、 レクリエーション、 メンタル面のケアなどの「その他、
施設利用者の支援業務(22.4%)」「身体介護業務(22.1%)」が上位
5)介護業界が抱える二大課題である「人材不足」「定着化」にDX活用を望む声は約6割(61.1%)
6)DXの課題トップは「知識・ノウハウが無い(43.2%)」、 次いで「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」
* 総括
≪トライトグループ 執行役員経営企画本部長 三浦 麗理(みうら れいり)≫
団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度末に必要な介護人材数は約245万人となり、
年間6万人程度の介護人材を確保する必要があると厚生労働省は推計しています*2。 需要増大が見込まれる介護サービスを持続可能にするためには、
介護職員の働き方改革と利用者向けサービスの質の向上を両立できる新たな「介護」を実現する必要があります。
医療分野では既に1990年代以降、 意思決定に影響すると言われている3つの要因(「根拠(その治療が有効で安全とする理由)」、
「価値観(自分が解決したいことや望むこと)」、 「資源(利用できる費用・時間・労力)」)の中の、 特に根拠を思慮深く活用した医療、
「エビデンス(根拠)に基づく医療*3」(EBM=Evidence-based Medicine)が実践されています。 介護分野においても、
科学的手法に基づく分析を進めて、 エビデンスを蓄積し活用していく「科学的介護」の普及・実践が求められ、 2021年度の介護報酬改定*4において、
「科学的介護推進体制加算」が創設されたことにより、
介護保険の新たなデータベース「LIFE」への情報提供とフィードバックの活用が推進されることが期待されています。
今回の介護職員303名へのインターネット調査では、 45%がコロナ下でDX(デジタル技術で、
人々の生活をより良いものへと変革しようという動き)に取り組んでいると回答しています。
中でも介護職員1人当たり職務時間に占める割合が7.3%*5となっている記録業務に関しては、 既に52%が取り組んでおり、
45%が記録ツールを活用していることが分かりました。 一方で、 「人材不足」や「人材定着」の解決に対して61%がDXの活用を望んでいるものの、
全体的に「知識・ノウハウが無い(43%)」、 「予算がない(40%)」、
「費用対効果が低い・分かりにくい(32%)などの理由から記録業務や介護報酬請求業務以外の介護現場におけるDXが進んでいない状況が伺えます。
今後は、 科学的介護を実践するために必要なITスキルやDXに関する知識・ノウハウを身に付けることが介護職員のキャリアアップに繋がっていきます。 当社では先月、
業界初の介護・福祉分野に特化したAI・DXの情報サイト「AIケアラボ」を開設しましたが、
これからも介護職員のリスキル(新しい技術を身に付ける)をサポートしてまいりたいと思います。
*1 経済産業省 「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」報告書(2018年4月9日))
https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180409004/20180409004-2.pdf
*2 第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について 別紙1(2018年5月21日)
*3 厚生労働省eJIM もう一歩進んだ「情報の見極め方」3. 「根拠に基づく医療」(EBM)を理解しよう
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/hint2/c03.html
*4 公益社団法人全国老人福祉施設協議会 第2回 介護現場革新会議 全国老施協における生産性向上(業務効率化)に向けた取り組み(2019年2月14日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000479598.pdf
*5厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf
* 調査結果詳細
1)約半数(45.2%)がコロナ下でDXに取り組んでいる実態
コロナ下でのDXへの取り組み状況について、 「積極的に取り組んでいる」が18.5%、 「一部取り組んでいる」が26.7%と、
約半数(45.2%)がDXを進めている実態が明らかとなりました。
2)DXが特に進んでいる分野Best3「介護記録業務(51.8%)」「介護報酬請求業務(41.1%)」「身体介護業務(34.5%)」
DXの取り組み分野としては、 利用者の情報や、 利用者へ提供した介護サービスの記録などの「介護記録業務(51.8%)」が最多で、
次いでレセプトや介護給付費請求などの「介護報酬請求業務(41.1%)」、 食事、 入浴、 排泄介助など体に直接触れて行う「身体介護業務(34.5%)」でした。
事業所の種類別で見ると、 訪問介護では、 掃除、 洗濯、 調理など日常生活の援助の「生活援助業務(40.0%)」が上位、
デイサービスやデイケアなどの通所介護では、 リハビリ、 レクリエーション、 メンタル面のケアなどの「施設利用者の支援業務(37.9%)」が上位となり、
事業所の種類によって傾向が異なりました。 提供するサービスに合わせて、 優先度の高い業務からDXに取り組む様子が伺えます。
(グラフ内の各業務分類の詳細については、 グラフ画像の下部分をご覧ください。 )
3)DX推進のために活用しているツールは「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」「コミュニケーションツール(26.2%)」のほか、
浴室内の見守りや転倒防止など身体介護業務を支援する「センサー(26.2%)」が上位。 一方で、 身体介護を行う介護ロボットの活用は1割未満(6.5%)。
DX推進のために活用しているツールは、 「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」のほか、
オンライン上での従業員同士による意思疎通や情報共有、
コミュニケーション内容のオンライン管理などの「コミュニケーションツール(26.2%)」の利用が多い結果となりました。 身体介護業務においては、
「センサー(26.2%)」の活用は進んでいる一方で、 「介護ロボット」の活用は1割未満(6.5%)と、
ツールによって現場での活用のしやすさに差が出ている実態が推測できます。
規模別で分析すると、 特に81人以上の規模の大きい事業所では、
利用者のデータを元にした介護サービスの計画書の自動作成などの「ケアプラン作成ツール」や「センサー」などの活用が顕著で、 DXが進む傾向が明らかとなりました。
(グラフ内の各ツールの詳細については、 グラフ画像の下部分をご覧ください。 )
4)今後DXに取り組みたい分野は「介護記録業務(33.3%)」が最多、 次いで、 リハビリ、 レクリエーション、 メンタル面のケアなどの「その他、
施設利用者の支援業務(22.4%)」「身体介護業務(22.1%)」
DXに取り組みたい分野は、 「介護記録業務(33.3%)」、 リハビリ、 レクリエーション、 メンタル面のケアなどの「その他、
施設利用者の支援業務(22.4%)」、 食事、 入浴、 排泄介助など体に直接触れて行う「身体介護業務(22.1%)」の順に多い結果となりました。
「介護記録業務」については、 2021年度の介護報酬改定で新設された科学的介護推進体制加算において、
要介護の高齢者への提供サービス内容などのデータを「科学的介護情報システム(LIFE)」へ提供することで介護報酬が上乗せで支払われることを受けて、
介護記録業務への取り組みを強化しようとする事業所が多いことが推察できます。 81人~100人の規模では39.4%、 101人~の規模では40.7%と約4割で、
規模の大きい事業所では、 全体と比較して、 その傾向が高いと言えます。
5)介護業界の二大課題である「人材不足」「定着化」にDX活用を望む声は約6割(61.1%)
介護業界が抱える二大課題である「人材不足」解消や「人材定着」のためにDXを活用したいと答えた人は約6割(61.1%)でした。 事業所の種類別では、
訪問介護においては約8割(77.3%)がDX活用を望む結果となり、 顕著でした。 訪問介護では、 利用者の自宅でサービスを提供することから、
従業員同士のコミュニケーションが図りづらいため人間関係が希薄化することも多く、 通所介護や入所施設と比較して、
人材不足がより深刻な課題となっていることが伺えます。
6)DXの課題トップは「知識・ノウハウが無い(43.2%)」、 次いで「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」
DXを進めるうえで課題と感じることについては、
「知識・ノウハウが無い(43.2%)」「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」が上位でした。 介護業界におけるDX推進には、
介護従事者に対して、 最新のDXに関する情報を、 正確かつ分かりやすい内容で提供していくことが求められます。
* 調査結果概要
調査期間:2021年4月30日~5月2日
調査対象: 10代から60代以上の介護従事者男女303名
調査方法:インターネット調査
【トライトグループ概要】
トライトグループとは、 株式会社トライト、 株式会社トライトキャリア、 株式会社トライトエンジニアリングからなる人材紹介・派遣サービスグループです。
2004年の創業から2020年まで17年連続の増収増益を実現してきました。 主軸サービスである人材紹介・派遣業に合わせて人材育成・キャリア支援を強化し、
医療・福祉業界を取り巻く慢性的な人材不足に関わるすべての社会課題へ寄与することを目指しています。
本社所在地:大阪府大阪市北区曽根崎2-12-7 清和梅田ビル13 階
東京本部:東京都千代田区有楽町2-7-1 イトシアオフィスタワー16 階
代表取締役CEO:笹井英孝
社員数: 2,789名(臨時雇用者を除く) ※2020年12月時点
代表取締役CEO:笹井英孝プロフィール
1991年東京大学法学部卒業。 2000年コロンビア大学経営大学院修士課程(MBA)修了。 国内大手銀行、 外資系コンサルティングファーム等を経て、
2005年医療機器メーカーであるオムロンコーリン株式会社の社長に就任。 その後、 セント・ジュード・メディカルやライフドリンクカンパニー等で経営トップを歴任。
2019年11月、 トライトグループ(旧:TSグループ)CEO及び同グループ3社(株式会社トライト、 株式会社トライトキャリア、
株式会社トライトエンジニアリング)の代表取締役に就任。
【各社概要】
和文社名:株式会社トライト
英文社名:TRYT Inc.
設立:2016年
事業内容:人材紹介・派遣サービス等の事業を行うグループ会社の競争力強化に向けた各種環境の整備と支援、 経営計画・管理ならびにそれに付帯する業務
和文社名:株式会社トライトキャリア
英文社名:TRYT Career Inc.
設立:2014年
事業内容:医療・福祉業界への人材紹介・派遣サービス等
和文社名:株式会社トライトエンジニアリング
英文社名:TRYT Engineering Inc.
設立:2004年
事業内容:建設業界への人材紹介・派遣サービス等
【本件に関する問い合わせ先】
トライトグループ 広報担当 伊藤
TEL:070-1442-8836 E-mail:[email protected]
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