殺処分問題に挑む獣医師は、なぜペット防災カレンダーを作ったのか?
その思いでNPOを起業した獣医師がいる。 動物の精神科医としても知られる奥田順之だ。 その奥田が今取り組むのは、 ペット防災カレンダー。 災害時、
ペットを連れた同行避難は受け入れ体制は整っていない。 この課題を解決するには、 行政の対応をただ待つのではなく、 飼い主自身が備えること、 そして、
ペット関連事業者らが同行避難を支援することが不可欠だ。 ペット防災カレンダーはそのためのツール。 一人一人が社会の課題の担い手となる参加の入口である。
獣医師であり社会起業家の奥田に、 一人一人が社会問題への参加する、 ソーシャルデザインについて聞いた。 ペット防災カレンダーとは?
ペット防災カレンダーは、 かわいいだけではなく、 『命を守る』カレンダーとして、 ペット防災の知識を詰め込んで開発されたカレンダー。 2022年版は現在作成中。
11月にお届けします。 飼い主の気づきを促し、 被災への備えを進めるためのカレンダーです。
申し込みはこちらから(
【ペット防災カレンダー開発にかける思い。 奥田順之氏インタビュー】
●ペット防災カレンダーにかける想い
―なぜ、 ペット防災とカレンダーを組み合わせようと思ったのですか?
ペット防災カレンダーは、 ペット防災の知識が詰め込まれたカレンダーです。
ペット防災の意識啓発は、 2016年ごろから取り組んできていて、 「減災教室ペット編」という飼い主向けワークシートを作成するなどしてきました。
実施した飼い主さんには効果的であった一方、 こうしたワークシートは、 渡さないと、 やってもらえないですし、 やったとしても見返すことがありません。
2018年に開発した減災教室ペット編
2018年に開発した減災教室ペット編
啓発効果を高めるためには、 持続的に啓発を行えるツールが必要でした。 そこで目をつけたのがカレンダーです。
カレンダーは、 1年中壁に飾っておくことができます。 カレンダーに間違い探しなどが載っているとついついやってしまう人もいるでしょう。 それと同じように、
カレンダーにペット防災の知識が載っていれば、 自然と知識を身に着けることができます。
もちろん犬猫のイラストや写真を入れて可愛らしくすることで、 多くの方が喜んでうけとり飾っていただきました。
2021年版
2021年版
ー社会問題への参加の入口とはどういうことでしょうか?
カレンダーって、 もらうだけじゃなくて渡せるツールだと言うことが肝心です。
「減災教室ペット編」のようなワークシートでは、 友人に渡すというのは、 なかなかハードルが高いとおもいます。 一方で、 カレンダーにしてしまえば、
プレゼントすることは容易です。 受け取る方も可愛い動物カレンダーなら喜んで受け取ってくれます。
「カレンダーを渡す」という行為は、 ペット防災の課題を解決するための、 重要な啓発活動になります。 ペット防災カレンダーは、
一人一人が啓発活動の担い手となるための入口というわけです。
2021年版では、 協力いただける個人の皆様に10冊まで無料でお配りするキャンペーンを実施し、 約150名の方にご協力いただきました。 犬の散歩中に、
お散歩バックに入れて配ってくださった方もいらっしゃいます。 多くの方が、 ペット防災の啓発の担い手になっていただけたと感じています。
この10冊無料配布キャンペーンは、 今年も10月ごろから受付を開始したいと思います。
―企業の参加・協力という意味ではどうでしょうか?
2021年版の配布でも、 動物病院やトリミングサロンも啓発の拠点として参加していただきました。 ペット業界では、
年末に名入れカレンダーを飼い主さんに配ることが慣例になっています。 このカレンダーをペット防災カレンダーにスイッチしていただくだけで、
飼い主さんたちに役立つ情報、 「命を守るための情報」をお伝えすることができるのです。
現在受付中の2022年版からは、 より企業の皆様が参加しやすいように、 企業名を入れた、 名入れカレンダーを作成できるようになりました。
年末のノベルティとしてカレンダーを作っていた企業であれば、 もともと支出していた費用をペット防災に充てることができるわけですから、
参加のハードルをぐっと下げることができるのではないかと考えています。
また、 SDGsのターゲット11「住み続けられるまちづくりを」に参加する事にもなります。
ー「参加型」を意識されたのには何か理由があるんでしょうか。
ペット防災に限った話ではなく、 殺処分問題についてもそうですが、 「ペット防災を広める取り組みをしたいが、 何をすればいいのかわからない」、
「自分はペット業界で働いておらず、 できることがほとんどない」というように考えている方がたくさんいらっしゃいます。
手伝いたくても手伝えない、 そんなのはもったいないな、 と思ったんです。
それに、 今は手を挙げれば誰でもチャレンジできる時代。 チャレンジのきっかけさえ作れば、 誰でも動き出すことができると思うんです。 そして、
ペット防災カレンダーを配るという小さなチャレンジが、 自分自身でペット防災の勉強会を開くとか、 動物のための避難所を作るとか、
自社でペット防災にかかわる商品開発をするとか、 もっと大きなチャレンジにつながっていくのではないかと思います。 そして、
そのチャレンジの集積が社会を変えていきます。
誰もが参加しやすい環境を作ることこそが、 社会の変化につながる。 それが、 参加型を意識した一つの理由です。
ーそうなんですね。 一人一人の小さなチャレンジが社会を変えていくと
これまで様々な起業家支援プログラムなどに参加してきましたが、 一人で目の前のことを解決する姿勢ではなかなか難しい。
色んな人の力がなければ社会が動いていかないんだということを先輩起業家たちの教えから知りました。 色んな人から力を借りるためには、 社会の構造、
何がボトルネックになっているかを自分がわかっていないと力を借りることができない。 社会の構造をちゃんと把握する。 で、
どこをちょっとだけ変えるとすごく変わるかを考える。
ペット防災カレンダーは、 社会問題への参加を促すきっかけをつくるもの。 自ら担い手としてチャレンジする一歩目を誘うツールです。 変えたところは、
年末のカレンダーの誌面にペット防災の知識を入れただけです。 そういう、 大きなうねりを生み出す小さな変化を見つけて、
世に送り出していくことが社会起業家の一つの役割なんじゃないかと思いますね。
2021年版
2021年版
ーなるほど。 社会変革という意味で、 SDGsの観点から見るといかがでしょうか。
先にも述べましたが、 SDGsのなかで直接的には、 11の「住み続けられるまちづくりを」が挙げられます。 さらに、
参加型で社会に影響を与えていくという意味では、 17の「パートナーシップで目標を達成しよう」が当たります。
ペット防災カレンダーの目指すべき未来は、 災害が起こった時に、 安全に避難できること、 被害を防ぐこと、 命を守ることです。 そして、
それを可能にするためには、 先程も述べた、 パートナーシップ、 さまざまな立場の人の協力がないとできません。 カレンダーを配る、
とてもシンプルな行動で新しい気づきが生まれ、 社会が変わっていく。 そんな未来の実現を目指しています。
ーまさに、 「参加で社会は変わる」ですね。 カレンダーはどこで手に入るんですか?
ペット防災カレンダーは、 現在予約受付中です。 今年から名入れカレンダーの製作が可能になりました。 多くの事業者の方、 団体の方にご協力いただいて、
ペット防災への気づきを広めていきたいと考えています。
詳細と申し込みはこちらのリンクからお願いします。
/bousai-blog/2053
http://human-animal.jp/bousai-blog/2053
●ペット防災カレンダーとは?
ペット防災カレンダーは、 かわいいだけではなく、 『命を守る』カレンダーとして、 ペット防災の知識を詰め込んで開発されたカレンダー。 2022年版は現在作成中。
11月にお届けします。 飼い主の気づきを促し、 被災への備えを進めるためのカレンダーです。
※画像は2021年のペット防災カレンダーになります。
※2022年版デザイン・内容は現在開発中です。 ご了承ください。
■カレンダー概要
商品名 ペット防災カレンダー2022 種別 壁掛けカレンダー(1月はじまり) サイズ 見開きA3(横297ミリ×縦420ミリ) ページ数
16ページ(表紙・裏表紙含む) 誌面 見開きで2か月ごとのカレンダー/ペット防災情報 名入れ 対応可能 受付 2021年5月~9月末日 納期
2021年11月下旬
ご予約・料金の詳細についてはこちら
http://human-animal.jp/bousai-blog/2053
奥田順之プロフィール
2012年NPO法人人と動物の共生センター設立。 適正飼育の普及のため、 犬のしつけ教室ONELife/ぎふ動物行動クリニックを運営。
2017年獣医行動診療科認定医取得。 ペット産業の適正化を目指し、 ペット関連企業や業界団体らと積極的に対話を行い、 発刊物の監修や調査提言を行う。
ペット防災活動として、 減災教室ペット編の開発、 ペット防災カレンダーの開発を手掛ける。 全国動物避難所マッププロジェクト発起人で、
同サイトを2021年10月オープン予定。 著書に「動物の精神科医が教える犬の咬みグセ解決塾」「ペット産業CSR白書-生体販売の社会的責任-」。
認定NPO法人人と動物の共生センターとは
2012年に奥田が起業した岐阜県岐阜市に拠点を持つNPO法人。 獣医師や家庭犬トレーナーなどの専門家を中心として、 保護活動ではなく、
保護しなければならない犬猫を減らすための蛇口を締める活動を展開。 しつけ教室・行動クリニックの運営、 飼い主やペット関連事業者に対する教育啓発、
高齢者が万が一入院や病気によって飼育困難に陥った際のセーフティネットの仕組みづくり、 ペット産業の社会的責任の推進など、 社会の仕組みづくり、
新たなサービスづくりを行っている。
ホームページ:http://human-animal.jp
賛助会員募集:
https://congrant.com/project/tomoiki/626
お問い合わせ
特定非営利活動法人人と動物の共生センター
代表 奥田順之
住 所:岐阜県岐阜市岩地2-4-3
電 話:058-214-3442
ホームページ:http://human-animal.jp
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