女性作家による本格ノンフィクション3作品が3連続受賞。
今月までの1年間に連続して大きな賞を受賞しました。
弊社は1994年に集英社の月刊誌「PLAYBOY日本版」の受託編集を主たる業務として設立、 1999年より単行本の自社発行を開始し、 これまで22年間、
ノンフィクション中心の出版社として歩んできました。
2016年に女性活躍推進法がスタートして約5年、 まだまだ課題は山積していますが、 出版界にも変化を感じます。
昨年7月、 創設84年の直木賞で史上初の“候補者全員女性”というニュースが話題になりました。
最近では、 設立86年を迎える日本ペンクラブで、 女性初の会長に桐野夏生さんが就任されました。
弊社では、 この1年間に女性作家のノンフィクション作品3作全てで大きな賞を受賞しました。 この22年間を振り返っても、 女性作家の活躍が目立つ1年でした。
日本初のサブスクリプション型ノンフィクションメディア「スローニュース」代表取締役社長の瀬尾傑さんはこのようにおっしゃっています。
<日本は政治もメディアも「女性活躍」は掛け声ばかり。 でもノンフィクションは一足早く女性の時代です。 閉塞感漂っていたジャンルに、 話題作、
傑作がつぎつぎに生まれています。 われわれ編集者も書き手も男性社会を反映していたことを謙虚に受け止めなければいけません。 女性たちに、 若い、
新しい読者を巻き込み、 ノンフィクションの裾野をどんどん広げてほしいです>
「女性作家」がニュースにならない社会を目指しながら、 今後も良質なノンフィクション作品をお届けできるよう努めてまいります。
* 本屋大賞 ノンフィクション本大賞『エンド・オブ・ライフ』 2020年11月受賞
ベストセラー『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』の著者が、
こだわり続けてきた「理想の死の迎え方」に真っ正面から向き合った。
難病の自身の母と、 彼女を自宅で献身的に看護する父の話を交え、 7年間にわたり寄り添うように見てきた終末医療の現場を静かな筆致で綴る。
2020年2月5日刊行、 320ページ、 定価1,870円(税込)【4刷】
【著者】佐々涼子(ささ りょうこ)
1968年生まれ。 神奈川県出身。 早稲田大学法学部卒。 日本語教師を経てフリーライターに。 2012年、 『エンジェルフライト
国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。 2014年に上梓した『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている
再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、 紀伊國屋書店キノベス!第1位、 ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、
新風賞特別賞など数々の栄誉に輝いた。
★プロローグ&2章分を公開中:
★作品情報ページ:
【Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞】
ノンフィクション本のおもしろさや豊かさをもっと体験して欲しいと、 本屋大賞とヤフー株式会社が提携し、
これまでもっとも要望の高かったノンフィクションを対象にした賞として2018年より実施。 全国の書店員による投票で決定。
* 山本美香記念国際ジャーナリスト賞『人間の土地へ』 2021年5月受賞
世界で最も困難な山、 K2に日本人女性として初登頂した著者と、 今世紀最大の人道危機、 シリア内戦に翻弄された沙漠の青年。 徴兵された青年は、
同胞に銃は向けられない、 と政府軍を脱走する。 辿り着いた難民キャンプは安全だったが、 生きる意味を見い出せず、 戦火のシリアに舞い戻る。
人間は何を求めて生きるのか? 平和な沙漠の民が内戦の大きな渦に巻き込まれていく様を、 家族の一員として内側の視点から描くドキュメント。
2020年9月25日刊行、 256ページ、 定価2,200円(税込)【3刷】
【著者】小松由佳(こまつ ゆか)
フォトグラファー。 1982年、 秋田県生まれ。 高校時代から登山に魅せられ、 国内外の山に登る。 2006年、 世界第2位の高峰K2(8611m)に、
日本人女性として初めて登頂。 植村直己冒険賞受賞、 秋田県民栄誉章受章。 自然と共に生きる人間の暮らしに惹かれ、 旅するなかで知り合ったシリア人男性と結婚。
シリア難民をテーマに撮影を続ける。
★プロローグ&1章を公開中:
★作品情報ページ:
【山本美香記念国際ジャーナリスト賞】
2012年8月20日、 中東シリアのアレッポにて取材中、 銃弾に斃れた山本美香のジャーナリスト精神を引き継ぎ、
果敢かつ誠実な国際報道につとめた個人に対して贈られる。
* 日本エッセイスト・クラブ賞『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』2021年6月受賞
「ハングリーであれ、 愚直であれ」──この言葉は禅の教えだった!
スティーブ・ジョブズの「生涯の師」で、 iPhoneやiPodなどの革新的製品の設計思想にヒントを与えた日本人僧侶・乙川弘文。
「日本曹洞宗の明日を担う」とまで期待された若き僧侶は、 なぜ故郷を捨て、 アメリカに渡ったのか?
在米ジャーナリストの著者が足かけ8年にわたる執念の取材の末に突き止めた真実。
2020年4月23日刊行、 336ページ、 2,090円(税込)【4刷】
【著者】柳田由紀子(やなぎだ ゆきこ)
1963年、 東京生まれ。 1985年、 早稲田大学第一文学部演劇専攻卒業後、 新潮社入社。 月刊「03」「SINRA」「芸術新潮」の編集に携わる。
1998年、 スタンフォード大学他でジャーナリズムを学ぶ。 2001年、 渡米。 現在、 アメリカ人の夫とロサンゼルス郊外に暮らす。
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★作品情報ページ:
【日本エッセイスト・クラブ賞】
日本エッセイスト・クラブ(1951年設立)が1952年に制定。 文芸作品等創作を除く一切の評論、 随筆等の中より各関係方面の推薦を受け、
日本エッセイスト・クラブに設けられた選考委員により選考。
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