スマホシリーズの著者がコロナ禍に生み出した「パパ活」ミステリー。『彼女のスマホがつながらない』
パパ活女子×週刊誌リアルタイム殺人事件
北川景子主演で映画化された「スマホを落としただけなのに」が大きな話題を呼んだ、 ヒットメーカーの最新作は『彼女のスマホがつながらない』。
週刊誌「女性セブン」で昨年2月から8か月にわたり連載された〈リアルタイム連載小説〉だ。
本書で著者は、 事件の解決までを、 現実とほぼ同時進行で描くという画期的なアプローチを取った。 物語には、 連載時に起こった事件や当時話題になったニュース、
市井の人々の様子が反映されている。
«毎週、 担当編集のTさんから編集部のネタをもらい、 さらにゲラの直しの締め切りもギリギリまで待ってもらいました。 そんな綱渡りのような連載でしたが、
ラジオ局のディレクターとして多くの生放送を経験していた私にとっては、 その方法は非常に理に適ったものでした。 ラジオの生放送はどんなに事前に周到に用意をしても、
その時々に起こった最新のニュースや出来事を取り入れていかないと、 即時性という最大の武器を失い面白くありません。 それは小説もきっと同じで、
日々起こる出来事や芸能ニュースをこのまま取り入れていけば面白い小説になるはずだし、 さらに物語のクライマックスを東京オリンピックと絡めることで、
世の中の大きな流れと連動させようと思っていました。 »
(本書「あとがき」より)
ところが、 新型コロナウイルスの感染拡大によって、 当初予定していたプロットは変更を余儀なくされた。 まさに〈リアルタイム連載小説〉ならではの予期せぬ事態だ。
ただ、 ストーリーの核となるのは、 事前に考えていたとおり、 読者が興味をもつであろう週刊誌ができるまでの「舞台裏」と、
現代の女子大生の10人に1人が経験者ともいわれる「パパ活」の二本柱だった。
【STORY】
生活苦に悩む大学生の咲希は、 美人でやり手の里香に誘われてパパ活に足を踏み入れる。
一方、 女性週刊誌で働きながらもファッション誌への憧れを棄てきれない入社5年目の編集者・友映は、 女子大生連続殺人事件の犯人を追う。
お嬢様女子大生がパパ活に翻弄される平成30年6月~。
週刊誌編集者の日常を中心に展開される令和2年2月~。
恐ろしくもきらびやかな「パパ活」の世界で起きる不可解な事件に加え、 時系列ですすむ物語には「コロナウイルス」「芸能スキャンダル」の影響が・・・。
ふたつの時空を行き来しながら展開する未曽有のミステリー。
本書の冒頭には、 “スマホシリーズ”のファンなら思わずニヤリとしてしまう描写も。
«「友映お早う。 何かいいネタあった」
三年先輩の山本ちなみが隣のデスクに腰かける。
「原作者と中田秀夫監督の対談が今日の『エイト』に載っていますが、 明日公開の『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』って、
原作では最初『Wi-Fiつないだだけなのに』っていうタイトルだったって知ってました?」
「へー、 そうだったんだ。 私も試写を見たけれど、 確かにそんな内容だったよね」
「でもそれじゃあ年配の読者にわからないから、 『スマホも落としていないのに』っていうタイトルに変更したらしいですよ。
最終的には前作の『スマホを落としただけなのに』に、 サブタイトルを付けるっていうことに収まったんだそうです。 ちなみさん、
これって何かのネタに使えますかね?」»
(本文より)
1粒で3度おいしい! 至高のエンタメ小説です。
『彼女のスマホがつながらない』
著/志駕 晃
定価:本体1400円+税
発売日2020/12/17
判型/頁:4-6/304頁
ISBN978-4-09-396550-7
小学館より発売中(12/17発売)
本書の紹介ページはこちらです↓↓↓
https://www.shogakukan.co.jp/books/09396550
【著者プロフィール】
志駕晃(しが・あきら)
1963年生まれ。 大学卒業後、 ラジオディレクターとして『オールナイトニッポン』など番組制作に携わる。
’17年に会社員を続ける傍ら執筆した『スマホを落としただけなのに』(宝島社)で第15回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉を受賞し、 デビュー。
同作はシリーズ化し、 2作目も映画化された。
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