kayama University Medical Research Updates(OU-MRU)Vol.104発行
University Medical Research Updates(OU-MRU)Vol.104発行
岡山大学の強みのひとつである医療系およびその関係分野のイノベーション成果を、 より世界の多くの一般の方々に目にして頂くために、
国際情報発信Webレター「Okayama University Medical Research Updates」Vol.104を発行しました!
2022(令和4)年 9月 18日
国立大学法人岡山大学
◆新型コロナウイルス感染症の後遺症(Long COVID)の原因とされる宿主内持続感染は起きるのか~全身性感染と不十分な免疫応答は持続感染のリスク要因に~
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、 学長:槇野博史)は、 2022年9月16日、 岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、
革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、 医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界の一般のみなさんなどに届けるWebレター
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.104を発行しました。
本号では、
本学異分野基礎科学研究所の墨智成准教授と豊橋技術科学大学IT活用教育センターの原田耕治准教授の全身性感染を考慮した宿主内免疫応答の数理モデルを開発し、
そのシミュレーション実験により、 新型コロナ後遺症の原因 (Long COVID) の一つと考えられているウイルスの宿主内持続感染が起こることを示しました。
そして、 感染が全身性であることが宿主内持続感染を可能にする一つの要因であることを指摘した成果を紹介しています。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白質が結合するACE2受容体は、 上気道や下気道の上皮細胞だけでなく、
血管内皮や中枢神経を含め様々な臓器・器官の細胞表面に発現するため、 インフルエンザのような限局感染とは異なり全身性感染の症例が多数報告されています。
新型コロナウイルス感染者の長期的臨床観察により、 患者が入院したかどうかにかかわらず、 免疫応答の最前線で活躍する自然免疫の一つである樹状細胞の数が、
発症から約7ヶ月後においても、 著しく減少したままであることが報告されています。 一方、
本研究の数理モデルによるシミュレーションにおいても同様の現象が観察されており、 ウイルスの宿主内持続感染がその背景にあると考えられます。 また、
高齢者で一般に認められる不十分あるいは不完全な免疫応答が、 重症化の典型的なリスク要因となるのと同時に、
それが宿主内持続感染の可能性を高める原因となり得ることを見出しました。
今後本研究を発展させてゆくことにより、 ワクチン接種における記憶免疫細胞による宿主内持続感染回避の可能性や、
感染後のブースター接種による後遺症の早期回復あるいは悪化の可能性など、 理解が急速に進んでいくことが期待されます。
図. 感染後の宿主内ウイルス量 [V] の時間変化。 「平均的症状」は数理モデルを臨床データに適合して得られたベースラインモデルによる結果。
「重症化」は加齢によるリスク因子 (抗原提示細胞による活性の数10%程度の低下およびI型インターフェロン自己抗体によるシグナル伝達の遮断)
を考慮した“弱められた”免疫応答に基づく結果。 逆に「完治」は 抗原提示活性および形質細胞による抗体産生率を数倍に増加させた“強められた”免疫応答に基づく結果。
「重症化」だけでなく「平均的症状」の場合でも、 [V] はゼロではなく有限の値へと向かい、 ウイルスは宿主から完全には除去されない。 一方、
「完治」では宿主内ウイルスが事実上完全に除去される
* Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)Vol.104
The determinants of persistent and severe COVID-19 revealed.
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/ebulletin-RUs/pdf/vol104.pdf
本号で紹介した研究成果を担当した異分野基礎科学研究所の墨智成准教授と豊橋技術科学大学の原田耕治准教授(右)
本号で紹介した研究成果を担当した異分野基礎科学研究所の墨智成准教授と豊橋技術科学大学の原田耕治准教授(右)
◆Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)
2012年より岡山大学では、 研究成果や知的財産、 技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University
e-Bulletin」を年3~4回発行して来ました。 またAAAS(American Association for the Advancement of
Science)が提供する、 世界最大規模のオンラインニュースサービス「EurekAlert!」を利用し、
世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、
岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
OU-MRUは、 e-Bulletinの姉妹誌として、
岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
岡山大学は、 2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、
「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、 質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学を構築し、
「岡山から世界に新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」となるため、 強みある医療系分野やその関係する分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。
今後も本学から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、 医療現場やヘルスケアに活かせる革新的技術、
健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
なお、 本号で取り上げた異分野基礎科学研究所の墨智成准教授らとの共同研究等も随時、 受け付けています。 ご興味ご関心のある際は、
お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。
◆OU-MRUバックナンバー(Vol.96~Vol.103)
・Vol.96:Automated cell image analysis (資源植物科学研究所 長岐清孝准教授)
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id10772.html
・Vol.97:Artificial intelligence helps to determine cancer invasion
(学術研究院医歯薬学域(医)河原祥朗教授)
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id10859.html
・Vol.98:Okayama University launches clinical trials of a jawbone regeneration
therapy using human BMP-2 transgenic protein derived from Escherichia coli
(学術研究院医歯薬学域(歯)窪木拓男教授)
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id10950.html
・Vol.99:A rapid flow process that can convert droplets into multilayer polymeric
microcapsules (学術研究院自然科学学域(工)渡邉貴一研究准教授)
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id10983.html
・Vol.100:Understanding insect leg regeneration (学術研究院医歯薬学域(医)板東哲哉講師)
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11026.html
・Vol.101:Oral tumor progression mechanism identified (学術研究院医歯薬学域(歯)河合穂高助教)
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11039.html
・Vol.102:Controlled cell death by irradiation with light (学術研究院医歯薬学域(薬)須藤雄気教授)
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11087.html
・Vol.103:High-quality growth (学術研究院自然科学学域(工)鈴木弘朗助教)
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11455.html
◆参 考
・岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)
http://www.riis.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
https://www.okayama-u.ac.jp/eng/research/ou-mru.html
・岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」
https://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/
・EurekAlert!
岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)が所在する岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)
岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)が所在する岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)
◆本件お問い合わせ先
<本研究報告に関するお問い合わせ先>
岡山大学異分野基礎科学研究所 准教授 墨 智成
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL: 086-251-7837
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~sumi/index.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):
岡山大学Image Movie (YouTube):
「岡大TV」(YouTube):
https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2022年9月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000846.000072793.html
岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、 国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html国立大学法人岡山大学は、
国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。
また、
政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています
国立大学法人岡山大学は、 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。 また、 政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません