次世代の脊椎疾患治療ソリューション「ClarifEye」の稼働開始

代表取締役社長:ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク、 以下 フィリップス)は、 「2030年までに25億の人々の生活を向上させる」を達成目標に掲げ、

健康な生活、 予防、 診断、 治療、 ホームケアにいたるヘルスケア・プロセスのすべてにイニシアティブを持ち、

すべての人々のより良い健康と満ち足りた生活の実現をめざしています。

このたびAR(拡張現実) テクノロジーを実装したフィリップスの脊椎手術用ナビゲーションシステム「ClarifEye(クラリファイ)」を用いた初めての症例が、

国際医療福祉大学三田病院にて行われました。 アメリカを含めた環太平洋地域で初めての稼働となります。 日本では2022年4月に販売を開始し、

既存のハイブリッド手術室におけるX線血管造影装置「Allura Clarity(アルーラ クラリティ)」に搭載する形で導入され、

脊椎の狭窄症や側弯症に対する治療に活用されています。

国際医療福祉大学三田病院 整形外科 石井賢先生からは

「脊椎手術をハイブリッド手術室で行う利点は、 低線量3D-CT撮影が可能であること、 十分なスペースと大画面モニターを利用できることなどあるが、

そこに今回の新たなナビゲーションシステムが加わったことで、 より安全な手術環境が備わった。 既存のシステムと比較するとレファレンスフレームならではの誤差がなく、

リアルタイムで椎骨の位置を確認できることが素晴らしい。 「ClarifEye」は患者にとっても医療従事者にとっても、 真の低侵襲性を実現する新技術だと思う。 」

とのコメントをいただきました。

今後は国際医療福祉大学三田病院とフィリップスで臨床研究に取り組み、 「ClarifEye」の有用性に関して調査を進めていきます。

ハイブリッド手術室と今後増加が見込まれる脊椎脊髄手術

ひとつの部屋で血管撮影装置と手術台が組み合わさったハイブリッド手術室は、

2013年にTAVI(経カテーテル大動脈弁植込術)が保険適用されたことをきっかけに広まり、 現在は全国で約300台稼働しています。 近年では、

稼働率の向上を目指して循環器以外の手術での使用が増え、 中でも脊椎手術への活用が注目を集めています。

人口高齢化の先進国として、 日本では脊椎手術の件数が年々増えてきています。 脊椎の疾患で最も多くみられる腰椎脊柱管狭窄症は高齢者の約10%を占め、

推定患者数は約580万人に上るとされています。 重度の症状がみられる場合は外科的手術が行われ、 圧迫部位の切除、

スクリューなどの固定具を用いた骨の固定術が行われます。 従来は大きな切開から骨を直視下で確認しながら固定具を留置することが一般的でしたが、

出血や軟部組織への損傷を最小限とし術後の痛みを低減するために、 小さな切開から行う低侵襲手術が増えています。 この場合、

周辺の血管や神経を傷つけず高度な精度で手技を行うために、 術中のX線撮影の重要性が高まっています。

様々な術中撮影装置がある中で、 ハイブリッド手術室は短時間で高画質な3D画像(Cone-Beam CT撮影画像)が入手でき、

詳細な解剖やスクリュー位置を術中に容易に確認できます。 また、 装置の柔軟性やワークフローに合わせた使い勝手も高い評価を得ています。

脊椎手術ではそこからさらなる精度の向上と患者被ばく低減のため、 手術用ナビゲーションシステムとの併用も導入が進み始めています。

ナビゲーションシステムに患者の脊椎3D情報を事前に取り込むことで、 術中にX線を使用することなく、

表示されたガイダンスに沿ってのスクリューの留置が可能となります。 しかし、 撮影装置とナビゲーション装置がそれぞれ必要であることや、

侵襲的なレファレンスフレームが必要であることなど既存のものでは使い勝手や精度にはまだまだ課題が見られ、 市場では新たなソリューションが求められてきました。

脊椎手術用AR搭載ナビゲーションシステム「ClarifEye」

「ClarifEye」はフィリップスのハイブリッド手術室のX線血管造影装置「Allura

Clarity(アルーラクラリティ)」もしくは「Azurion(アズリオン)」に搭載することで、

低線量で高画質の2D/3Dの術中画像とAR(拡張現実)を用いたナビゲーション情報を確認できる業界初のソリューションです。 術前の解剖の確認、 手術プランの構築、

手技中のガイダンス、 そして術後の手技精度の確認をひとつの機械で行うことができ、

術中はフィリップス製の皮膚マーカー「ClarifEyeマーカー」を使用することで、 椎体ごとの誤差や患者への負担が少ない形で患者位置を把握し、

手技精度を担保します。 またハイブリッド手術室特有の大画面モニターには術野のライブ映像とCT画像に合わせたスクリューのガイダンスを表示でき、

X線を用いることなくスクリューを留置することができます。

今年から販売を開始した日本を始め、 「ClarifEye」は世界各国で広まりを見せています。 ヨーロッパや中東では昨年より導入が始まっており、

University Medical Center Schleswig-Holstein (ドイツ、 キール)やKarolinska University

Hospital(スウェーデン、 ストックホルム)、 Regional Hospital of Lugano(スイス、 ルガーノ)などで、 外傷(トラウマ)、

側弯症に対し「ClarifEye」を活用した低侵襲・直視下での脊椎手術が行われています。 臨床現場データでは、 術中撮影が手技精度とアウトカムの向上に寄与し、

従来法と比べて再手術率の低減につながることが実証されており、 学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されたデータでは、

「ClarifEye」を用いた手技は3Dナビゲーションを用いない椎弓根スクリュー挿入と比較し精度の向上が見られました(94% vs 89.6%) [1]。

また「ClarifEye」を用いた臨床研究のデータでは、 低侵襲の椎弓根スクリュー挿入で98%の精度が見られました[2]。 そして、 モバイル

Cone-beam CTと比較して、 画質の評価に使われる信号雑音比は3.7倍、 X線量は83%削減されました[3]。

「国際医療福祉大学三田病院の石井先生はじめ、 多くの医療従事者の方々にご協力を頂きこの革新的なソリューションを日本に上市することができたことを嬉しく思います。

フィリップスの脊椎に特化したソリューション「Spine Suite(スパインスイート)」に含まれる「

ClarifEye」は治療の安全性や質の向上に貢献できる大きな可能性を秘めています。 一人でも多くの患者様の治療に貢献できることを期待しています。

」(株式会社フィリップス・ジャパン IGTビジネス・マーケティング&セールスリーダーの大島一範)

ハイブリッド手術室の新しい活用方法として脊椎手術が注目を集めていますが、 高画質や被ばく低減だけでなく、

術者からはより良い使い勝手を提供できるソリューションが求められていました。 フィリップスは新しいナビゲーションシステム「ClarifEye」を展開することで、

次世代の手術環境の構築を目指しています。

薬事認証事項

販売名:インテグリス アルーラ フラットディテクター

医療機器認証番号:21500BZY00208000

管理医療機器/特定保守管理医療機器/設置管理医療機器

販売名:血管造影 X 線診断装置 Azurion

医療機器認証番号:228ACBZX00012000

管理医療機器/特定保守管理医療機器/設置管理医療機器

販売名:ClarifEye ニードル

医療機器認証番号:303ACBZX00043000

管理医療機器

参考文献

[1] Elmi-Terander at el, Augmented reality navigation with intraoperative 3D

imaging vs fluoroscopy-assisted free-hand surgery for spine fixation surgery, a

matched-control study, Nature Sci. rep. 2020 Jan 20;10(1):707.

[2] Scarone, P., Mollica, C., Jenniskens, I., & Chatterjea, A. (2022). P120.

Augmented reality navigation for percutaneous thoracolumbar pedicle screws: a

prospective clinical study. The Spine Journal, 22(9), S184-S185.

[3] Rami Nachabe, at. el, Radiation dose and image quality comparison during

spine surgery with two different, intraoperative 3D imaging navigation systems,

J Appl Clin Med Phys. 2019 Feb;20(2):136-145.

フィリップスについて

フィリップス・ジャパン(旧フィリップス エレクトロニクス ジャパン)は、 超高齢社会を迎える日本の健康と医療の問題に貢献したいと、

2019年4月1日よりフィリップス・レスピロニクス合同会社と統合し、 ヘルスケア分野の変革に取り組んでいるヘルステックカンパニーです。 今後、

病院で使用されるフィリップスの先進医療機器やパーソナルヘルスと呼ばれるオーラルヘルスケア(電動歯ブラシ)、 AED、 在宅呼吸器などがクラウド上で繋がることで、

人々の健康な生活、 予防、 診断、 治療、 ホームケアという「一連のヘルスケア・プロセス」において、 革新的な医療ソリューションを提供していきます。

医療従事者の皆様、 患者様だけでなく、 すべての人々の健康な生活への貢献を目指します。 (

https://www.philips.co.jp

ロイヤル フィリップスについて

ロイヤル フィリップス(NYSE:PHG, AEX:PHI)は、 人々の健康の向上にテクノロジーで貢献するヘルステック分野のリーディングカンパニーです。

健康な生活、 予防、 診断、 治療、 ホームケアという一連のヘルスケア・プロセスを通じて、 先進的なテクノロジーと、 医療従事者および消費者のインサイトを基に、

人々の健康を改善し良好な結果をもたらすための包括的なソリューションを提供しています。 主な事業領域は、 画像診断、 画像誘導治療、 生体情報モニター、

ヘルスインフォマティックスのみならず、 パーソナルヘルスや在宅医療まで、 さまざまな領域に渡ります。 フィリップス

ヘルステック事業の2021年の売上高は172億ユーロ、 オランダを拠点に全世界に78,000人の従業員を擁し、 世界100ヵ国以上でビジネスを展開しています。

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