フランス全国酪農経済センター) フランス市場における<オーガニック乳製品>最新消費動向発表
「2021年以降消費量減少も、オーガニックの好イメージは定着」 オーガニックまたはBIOなどの認証を持つ食品は、 今や世界中で流通し、
日常生活に身近になってきました。 酪農が盛んなフランスでも、 オーガニック牛乳の生産はここ10年、 年平均15%増と発展しています。 しかし、
オーガニック乳製品の消費動向については2021年以降、 これまでになかった変化が見られています。
そこで、 CNIELでは、 2022年9月、 農薬、 合成化学肥料、
遺伝子組み換え作物を使わずにつくられたオーガニック乳製品に対するフランス人の信頼度の測定を目的とした消費者動向調査を行い、 「CNIEL-KANTAR
2022年指標」を発表しました。 (C)CNIEL_放牧の様子
(C)CNIEL_放牧の様子
* 2021年以降フランスではオーガニック乳製品の購入がやや減少するも、イメージスコアやオンライン販売は堅調
フランス市場において、2021年と2022年前半では、2020年に比較して、コロナ禍での生活水準が若干減少しました。調査の結果、オーガニック乳製品は2020年と同数の世帯に訴求し、2021年第3四半期にオーガニック乳製品を購入した家庭の割合は72.8%を維持し、10点満点で採点される「平均イメージスコア」は、2018年の7.1点に対して、2020年は7.2点と堅調です。また、流通面では、オーガニック乳製品が、乳製品のオンライン販売
の、6.6%を占めるなど好調で、これは郊外型巨大スーパーより53%多い数値だと調査は指摘しています。 *
値段、地域性VSオーガニック、環境…オーガニック乳製品の購入を左右する要素とは
大型・中型規模のスーパーマーケットでは、2022年、調査対象世帯の66%が「価格」を購買選択の第一基準と答え、2021年に比べて7%増加、特に2022年コロナ禍において、オーガニック食品懐疑派ではこの数値が8.2%の上昇となり、オーガニック乳製品の購入量に影響を与えました。また、フランス人の60%が、「メイドインフランス」を重視する傾向が強く、オーガニック乳製品が、「地産地消」の商品に当てはまらない場合、オーガニックの価値に納得していても、購入意欲のブレーキになっている可能性も指摘されました。そして調査の結果、オーガニック乳製品の購入の理由が、2022年は、2020年に比較
し「環境の尊重」(56%、2pt減)、「無農薬の保証」(51%、5pt減)と、数値が少し後退していたのも明らかになりました。 *
<オーガニック乳製品>の付加価値とは
オーガニック乳製品は、オーガニック牛乳が原料です。乳牛に牧草や穀類など「オーガニック認証」の基準を満たした飼料を与え、アニマルウェルフェアの観点からは、乳牛の飼育環境や、搾乳方法なども考慮します。そして「オーガニック認証」を受けた工房で、保存料から着色料に至るまで化学的な添加物を排除して製造されたものが、フランス政府の「AB認証」や、EUでは「ユーロリーフ認証」を受けることができます。また、フランスでは、カマンベールやブリー、ラクレットなど「原産地名称保護=A.O.P.」チーズも多く存在していて、伝統的な製法にのっとったトレーサビリティーが高い製品が多いですが、今では、この「A.O.P.」の認
証を持ち、かつ「オーガニック認証」を経た乳製品も市場に出回り始めてています。これらを選ぶということは、自然環境を多面的に配慮したルールを尊重し、品質・信頼の両方を兼ね備えた商品を意識的に選ぶという“行動”を意味しています。 *
小売業者・消費者へのアプローチを重ねる必要性
今回の調査結果を受けて、CNIELオーガニック委員会(La Commission BIO du CNIEL)代表のイヴ・ソヴァジェは次のように述べています。
『今回の調査結果から、浮彫りになった課題を真摯に受け止め、デジタルキャンペーンや小売業者向けのオンライントレーニングと言ったアプローチを重ね、消費者が必要な情報提供をしながら意識喚起していきたいと考えています。<オーガニック乳製品>には高い価値があり、価格もそれに見合ったものであるということを再認識してもらうためです。
ひいては、酪農と環境の調和の証としての<オーガニック牛乳>生産の重要性を消費者に伝え、私たちも行動する、フランス酪農業界一体となる姿勢が、消費者の<オーガニック乳製品>にコミットしたい。という気持ちを後押ししてくれるはずです。』(C)CNIEL日本でも入手できるオーガニック乳製品
(C)CNIEL日本でも入手できるオーガニック乳製品
* 地球環境への配慮と、多様性を尊重した乳製品を楽しめる未来へ
1,200種類のチーズや300種のその他の乳製品の生産を誇る、フランスの酪農業界は、フランスの文化遺産の一部であるチーズを、健康的で安全、倫理的かつ持続可能で手頃な価格で国内外に提供しています。実際、日本でも入手できるフランス産オーガニック乳製品も、オーガニック専門店やチーズ専門店などを中心に増えてきています。
CNIELではこれからの時代の、消費者の信頼と評価は地球環境と多様性を考えたサステナブルな活動の実行や、情報の透明性によってのみ得られると考えています。CNIELはこれまで以上に、経済的、社会的、環境的な課題を乳業の持続可能性の中心に据えて取り組む行動指針「フランス・テール・ド・レ」を推進し、酪農、乳製品加工、流通、販売に携わるすべてのステークホルダーを支援していきます。日本でも、この指針に沿った普及活動を行ってまいります。今後もフランス産乳製品にまつわる最新情報発信にご注目ください。
<注>
※「AB認証」は、「Agriculture
Biologic=有機農業」を意味する。フランス政府が1981年に指針を制定し、1985年以来国家によるビオ(オーガニック)認定マークとしてこのロゴを使用。最低3年間は有機農法実施していること、オーガニック材料を95%以上含むこと、EU圏内で生産あるいは、加工されたものに限るなど、厳しい基準を設け、1年ごとの抜き打ち検査も行われる。また、EU域内で有機食品として製造・販売されるすべての包装済みEU食品につけられる「ユーロリーフ認証」も併用されている。
【CNIEL について】: CNIEL (フランス全国酪農経済センター)
は、国内の酪農家、および乳業メーカーが加盟する非営利団体であり、国内外で以下の活動を行っています。
1.酪農業界の経済動向、および乳製品が健康に与える影響に関するリサーチ
2.チーズを中心としたフランス乳業製品の良質なイメージの促進と消費拡大のための広報活動
3.2025年を目標に定め、経済的、社会的、環境的な課題を乳業の持続可能性の中心に据え、国際規格ISO26
000「社会的責任」の創設原則を尊重した社会活動「フランス・テール・ド・レ」を推進、毎年進捗を発表しています。
【キャンペーン公式 SNSアカウント】
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