内初 ビール製造時の副産物から化粧品包材を開発
ビール製造時の副産物から化粧品包材を開発 ― ファンケルとキリンが協働で、地球温暖化の防止に貢献 ― 株式会社ファンケル(本社:神奈川県横浜市/代表取締役社長
CEO 島田和幸 以下ファンケルと表記)は、 キリンホールディングス株式会社(本社:東京都中野区/代表取締役社長 磯崎功典 以下キリンと表記)との間で、
2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同開発を進めています。
今回、 環境保護に関する取り組みの一環として、 キリンのパッケージイノベーション研究所(所長 岡久正俊)と共同で、
「キリン一番搾り生ビール(以下一番搾りと表記)」の製造工程で発生する副産物であるビール仕込粕から抽出したヘミセルロース※1を用いた植物由来の化粧品包材を開発しましたのでお知らせします。
なお、 ビール仕込粕から抽出したヘミセルロースを化粧品包材に採用するのは、 国内の化粧品業界で初めての取り組み*となります(*ファンケル調べ)。
<開発背景>
ファンケルでは環境に配慮し、パウダーファンデーションなどのコンパクトケースを繰り返し使用する製品には、レフィル※2を販売して付け替えができるようにしています。現在、このレフィルにはブリスター包装※3を採用し、その材質には石油由来のPET素材を使用しています。しかしさらなる環境配慮を踏まえ、植物由来のブリスター包装素材の必要性を検討してきました。
セルロース※4は、植物由来であることから焼却処分をしても大気中の二酸化炭素にあまり影響を与えず、地球温暖化の対策に有効と言われています。しかし、成形加工がしにくいため、セルロースのみでブリスター包装の材料となるシートに製造することが難しいという課題がありました。そこで、ファンケルとキリンと共に、ヘミセルロースを原料とするバイオプラスチックの研究開発・製造を行っている株式会社事業革新パートナーズ(本社:神奈川県川崎市/代表取締役社長
茄子川仁 以下事業革新パートナーズと表記)の協力を得て開発を行いました。
<開発工程と結果>
事業革新パートナーズとの研究において、一番搾り製造時の副産物であるビール仕込粕から抽出したヘミセルロースをセルロースに混合した結果、流動性が高く加工性が向上したシートの製造条件を見いだすことができました。
このシートを用いて、ブリスター包装の製品化を検討しました。原料由来のシートの色やにおいの抑制などに課題はありましたが、各社の知見を活用し、国内で初めてビール仕込粕から植物由来のレフィル用ブリスター包装の製品化に成功しました(上写真1)。
ビール仕込粕からブリスター包装までの製品化工程は、下の図1に示します。
また、ブリスター包装の形状は、ユニバーサルデザインに配慮し、開けやすくてファンデーションなどのレフィルを取り出しやすい形状にしました(ファンケルにおいて特許出願中)。
<今後の展開>
今回開発した「一番搾り」のビール仕込粕から抽出したヘミセルロースを活用した製造シートは、今後もファンケルグループにおいてさまざまな製品の包材に応用することを検討していきます。
また、ファンケルとキリンの両グループは、これまでのノウハウを融合してそれぞれの製品特性を生かした視点で、容器の設計や材質の開発など環境負荷の低減に向けた研究や技術開発を進めてまいります。
【用語解説】
※1 ヘミセルロース : 植物細胞壁に含まれるセルロースを除く、水に対して不溶性の多糖類の総称。
※2 レフィル : メイク品などの容器を捨てずに内容物を使い終わった際の詰め替え用のこと。
※3 ブリスター包装 : 加熱して柔らかくしたシートを金型に合わせ、変形させる製造方法で生産された包装のこと。
※4 セルロース : 植物細胞の細胞壁、および、植物繊維の主成分で、地球上で最も多く存在する炭水化物。
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