千早茜『しろがねの葉』直木賞受賞で大増刷出来!! 小説の舞台・石見銀山は喜び沸騰、書店には『ハリー・ポッター』以来の注文が殺到!
小説の舞台・石見銀山は喜び沸騰、書店には『ハリー・ポッター』以来の注文が殺到! 千早茜さんの『しろがねの葉』が第168回直木賞を受賞。
戦国末~江戸初期の石見銀山に生きた女の生涯を描き、 骨太な構造と濃密な文章表現が高く評価されました。 千早さんの選考会当日の動き、
そして喜びに沸く小説の舞台・島根県の様子をお知らせします。
受賞の瞬間の千早さん (c)新潮社
受賞の瞬間の千早さん (c)新潮社
■〈銀山ファッション〉で挑んだ選考会当日
直木賞の待ち会は選考開始と同じ16:00から版元の新潮社が持つ作家カンヅメ施設「新潮社クラブ」で行われました。千早さんは持参した茶器で淹れた中国茶を担当編集者らに振る舞い、『しろがねの葉』の主人公ウメにちなんだ梅干入りおにぎりやマカロンをつまみながら、まったりとその時を待ちます。18:19に受賞の電話を受け取ると、「ウメが咲きました。」のツイートを投稿(
https://twitter.com/chihacenti/status/1616011053371899904
)。すると先輩作家の村山由佳さんが涙ぐんだ状態で電話をくださり、ついで島本理生さん、谷崎由依さん、彩瀬まるさん、吉村萬壱さんらからもお祝いメッセージが届きました。
すぐに会見が行われる丸の内・東京會舘へ移動。
千早さんは間歩(まぶ:銀山の坑道)をイメージした漆黒のワンピースに銀(しろがね)色のショートブーツを合わせたファッションで山中に眠る銀を表現。
他の受賞者とともに臨んだフォトセッションでは早速「直木賞受賞作」と書かれたオビを巻いた『しろがねの葉』をお披露目しました。
会見では「まだ目の前の景色を脳内で処理できていない」とはにかみつつも終始落ち着いた様子で語り、「今後も市井に生きる人の喜怒哀楽を描いていきたい」と抱負を述べました。
また待ち会の様子を聞かれて「新潮社の持っている新潮社クラブという古民家で中国茶を飲みながら待った」と返答したところ、
「新潮社の経営する古民家カフェで十六茶を飲みながら待った」と空耳報道される珍事も起こりました。
■女の目から銀山を描く
選評を担当した直木賞選考委員の宮部みゆきさんは「男性の職場である銀山でウメという少女を働かせる、その発想がまず非凡」、ニコニコ生放送で本作を解説した書評家の豊崎由美さんも「少女の目を通して銀山を描くことで男たちの過酷さ、女たちの過酷さの両方を書いた。ウメを主人公にしたことがお手柄」と高く評価。これまでとは全く違う石見銀山の姿を、歴史小説初挑戦の千早さんが見事に描きあげたことは、地元でも驚きと発見をもって受け止められています。
■夫婦抱き合って泣いた……受賞に沸く島根県
候補作に決定して以来、島根県内では受賞を待望する声が日ごとに高まり、選考会前日にはNHK松江が6分にわたるニュースを放送(アーカイブ
https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20230118/4030014989.html
)、さらに受賞翌日には9分近く報じ(アーカイブ
https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20230120/4030015011.html
)、銀山のお膝元・大森町の保存に尽くしてきた男性が夫婦で抱き合い、泣いて喜んだことなどで、地元の興奮と熱気を伝えました。また1月27日の山陰中央日報はまるまる1面を使って「間歩ファッション」に身を包んだ千早さんの全身写真とインタビューを掲載。千早さんに石見銀山再訪を呼び掛けました。
■書店は『ハリー・ポッター』以来の注文に追われる
もともと県内の書店では候補入りした昨年末から品薄が続いており、今回の受賞で本が一気に蒸発。書店は問合せと予約の対応に追われました。石見銀山を擁する大田市の書店に勤めるshi-mayu*さん(@mayu_slooth)はTwitterで〈異動した社員さんにしろがねの葉の客注今これだけ入ってて、でもまだ増えるよねってメールしたら「文芸書の客注でその数字はハリーポッターでしか見たことない」って言われて震えてます。〉〈1日での問合せ対応数でいうと、鬼滅の最終巻発売頃に近い熱狂っぷりが現在職場で起きています。なんなら当時よりすごいかもしれない……〉と白熱の現場レポート。
1月30日に待望の重版ぶんが入荷するとお客さんが次々来店し「100冊を超える山が溶けるようにみるみる小さくなっていく」状態に。書店ではさらなる入荷を心待ちにしているとのことです。
■「血と土の匂いがしてくる、千早さんにしか書けない世界」 * 選考委員 宮部みゆきさん
デビュー作から持っていた豊かな幻想性と土着の血と土の匂いがしてくるような筆力を存分に振るった千早さんにしか書けない世界。千早さんの特色が120%発揮された作品。候補作の中で一番ページ数が少ないのは、内容を煮詰めて煮詰めて、余計なことを書いていないから。すごくおいしいし、酔っ払うけど、どんな原材料でできているか分からないジャムを食べているような感覚になった。書かれている石見弁・島根弁についてもほとんど間違いがない。通りいっぺんの取材ではなく、かみ砕いて自分の血肉になるまで調べて書いたからこそ、こういう作品になったのだろう。 *
作家 島本理生さん
生きることを選ぶ。それがどれほど強靭な選択か、この小説で知った。
■サイン会のお知らせ
本書の受賞を記念し、以下の2か所でサイン会を開催いたします。
《『しろがねの葉』(新潮社) 第168回直木賞受賞記念 千早茜さん サイン会》
【日時】 2023年2月14日(火)18:30~
【場所】 八重洲ブックセンター八重洲本店 8階ギャラリー
【対象書籍】『しろがねの葉』新潮社刊 税込1,870円 + 著者の既刊3冊まで
【詳細】
https://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/23798/
※好評につき定員に達しました。
【日時】 2023年2月20日(月)19:00~
【場所】 紀伊國屋書店新宿本店 2階BOOK SALON
【対象書籍】『しろがねの葉』新潮社刊 税込1,870円
【詳細】
https://store.kinokuniya.co.jp/event/1674804487/
千早茜『しろがねの葉』新潮社刊
千早茜『しろがねの葉』新潮社刊
■書籍内容紹介文
男たちは命を賭して穴を穿つ。山に。私の躰に。
戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!
■著者紹介
1979年生まれ。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は2009年に第37回泉鏡花文学賞も受賞した。2013年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞を、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞を、2023年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した。他の小説作品に『男ともだち』『西洋菓子店プティ・フール』『クローゼット』『神様の暇つぶし』『さんかく』『ひきなみ』やクリープハイプの尾崎世界観との共著『犬も食わない』等。食にまつわるエッセイも好評で「わるい食べもの」シリーズ、新井見枝香との共著『胃が合うふたり』がある。Twitterアカウント
@chihacenti
■書籍データ
【タイトル】しろがねの葉
【著者名】千早 茜
【造本】四六判 ハードカバー
【本体定価】1870円(税込)
【ISBN】978-4-10-334194-9
【URL】
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