<アデランス、かずさDNA研究所、伊藤病院との共同研究>毛髪によるバセドウ病の早期発見に向けて 微量の毛髪から甲状腺ホルモンを検出することに成功

日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会で発表~ 毛髪・美容・健康のウェルネス事業をグローバル展開する株式会社アデランス(本社:東京都品川区、代表取締役社長 津村

佳宏)は、公益財団法人かずさDNA研究所(千葉県木更津市、理事長 大石 道夫)生体分子解析グループ、伊藤病院(東京都渋谷区、院長 伊藤

公一)との共同研究で、微量の毛髪から甲状腺ホルモンを検出することに成功し、毛髪を使った甲状腺機能亢進症の早期発見の可能性を見出しました。本研究成果は2023年5月13日(土)~5月14日(日)に開催された第50回

日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会において、アデランスが共催するイブニングセミナー(5月13日(土)16:40~17:30)で発表しました。

当社では2020年より、毛髪成分の健康検査への活用を目的に、毛髪成分を正確に測定するための方法を探る研究を、世界初のDNA専門研究機関として開所したかずさDNA研究所と共同で行っています。伊藤病院は甲状腺疾患の専門病院であり、診断精度や症例実績が高く、トップランナーとして世界をリードしています。3者は2021年からバセドウ病の毛髪検査の臨床試験を開始しました。

■ 研究の背景

甲状腺ホルモンは、のどぼとけの下にある甲状腺という臓器から分泌されて、血液を通じて心臓や肝臓、腎臓、脳など全身に運ばれ、身体の新陳代謝を調整する働きをしています。そのため、甲状腺が活発化し、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる(甲状腺機能亢進症)と、動悸、頻脈、倦怠感、抜け毛などといった症状が現れ、日常生活や社会生活の質を低下させることが知られています。甲状腺機能亢進症の代表的な疾患にバセドウ病があります。バセドウ病の発生頻度は高く、厚生労働省の調査では2017年のバセドウ病を含む甲状腺中毒症の総罹患数は13.2万人と報告されています。

バセドウ病は、症状の多様さから罹患を自覚することが難しく、早期の診断・治療が進んでいないことが問題となっており、特に男性1人に対して女性5~6人程度の割合で罹患することから、女性にとって無視できない影響を与えています。女性の社会進出を推進する日本社会においては、バセドウ病の早期発見・治療のための仕組みづくりはとても重要な意義を持つと考えられています。

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■ 検査検体としての毛髪

毛髪は、毛根の毛球部で角化した毛母細胞が押し出されることで月に約1cm伸長し、この過程で血中分子を毛細血管から毛母細胞中へ取り込みます。これらの分子の一部は毛髪に長期的に蓄積することも明らかになってきており、その特徴から、毛髪は過去の身体の状況に遡って分析ができる「メモリー組織」であるといえます。毛髪は、健康検査検体として主に使われている血液や尿と比べて、経時的な分析が可能ということ以外にも有用な点が多いです。例えば、日内変動の影響を受けづらいことや、根元から切るだけで採取が簡単、などといったことが挙げられます。このことから、毛髪は身体変化を機微に読み取るための貴重な検体として期待されています。

■ 毛髪を利用した甲状腺機能亢進症早期発見の可能性

私たちは、毛髪に含まれる数多くの成分を検出する技術を活用した研究を進めており、本研究では甲状腺疾患の血液での検査対象である甲状腺ホルモンに着目し、毛髪を用いた甲状腺ホルモンの検出法の開発に取り組みました。

これまで他のグループから報告されている研究では毛髪から甲状腺ホルモンの検出は実現してはいるものの、測定に用いる毛髪量が非常に多く患者の負担が大きいという点で毛髪は検査検体としては現実的ではないと考えられていました。

そのため、バセドウ病などの甲状腺疾患の毛髪に関する研究はされておらず、毛髪中成分のバイオマーカーとしての可能性は不明瞭でした。

そこで本研究では、少量の毛髪での甲状腺ホルモンの測定方法を確立し、更に、バイオマーカーとしての可能性を見出すことを目指して研究を進めました。

先ずは、少量の毛髪で甲状腺ホルモンの測定を可能にするため、毛髪成分の抽出の条件や測定の条件を幾つも試行しました。結果として、既報論文の1/20程度の毛髪量で甲状腺ホルモンを検出することに成功しました。次に、バイオマーカーとしての可能性を検討する実験では、甲状腺機能に異常のない被験者(ヘルシーコントロール検体)とバセドウ病患者の2群から毛髪を採取し、測定・分析を行いました。その結果、2群間の毛髪中甲状腺ホルモンの量に明確な差が認められ、ヘルシーコントロールとバセドウ病患者を判別することができました。このことにより、毛髪中甲状腺ホルモンは甲状腺機能亢進症の早期発見のバイオマーカーとして活用できる可能性が示唆されました。

■ 展望

毛髪は血液や尿とは異なり、医療機関に来院する必要がなく、サロンや自宅で簡単に採取ができます。そのため、従来にない非侵襲的かつ簡易的なスクリーニング体制の構築が可能であり、簡単に検査が受けられるような仕組みづくりが実現できると考えます。当社では、この仕組みを実現することで、いち早く甲状腺機能の異常に気付くきっかけとなり、罹患に気づかず過ごしている方の生活の質を向上させることを目標に、今後も研究に取り組んでまいります。

* 学会概要

学会名称:第50回 日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会

会 期:2023年5月13日(土)~5月14日(日)

会 場:都市センターホテル(東京都千代田区)

会 長:伊藤病院 外科 北川 亘先生

演 題:毛髪による甲状腺疾患の超早期発見技術の開発

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演 者:公益財団法人かずさDNA研究所

生体分子解析グループ グループ長

池田 和貴先生

伊藤病院

北川 亘先生(左)とかずさDNA研究所 池田 和貴先生(右) []

伊藤病院 北川 亘先生(左)とかずさDNA研究所 池田 和貴先生(右)

アデランスはトータルヘアソリューションにおけるリーディング企業の使命として、経営理念の一つである「最高の商品」の開発および毛髪関連業界の発展を目指し、機能性人工毛髪や医療用ウィッグの研究開発、育毛・ヘアスカルプケア関連研究、抗がん剤脱毛抑制研究など、産学連携でも毛髪関連の研究を積極的に取り組んでおります。

その産学共同研究の成果を国内外の学会を通じて発信し、また、世界の研究者に研究成果を発表いただくことは、毛髪界の更なる進展となり、ひいては多くの方の髪の悩みの解消に寄与し、当社の

CSR(企業の社会的責任)であると考えております。

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株式会社アデランスは、おかげ様で2023年をもって創業55周年を迎えます。新時代を表す「NEXT ADERANS」として掲げ、創業当初からの理念「世界のブランド

アデランス」を目指し、毛髪・美容・健康・医療・衛生のグローバルウェルネスカンパニーとして夢と感動を提供し続けていきます。