房再建手術に関心のある人への意識調査を10年ー2022年度『乳房再建に関するアンケート調査』結果報告書を公開ー

【E-BeC】乳房再建手術に関心のある人への意識調査を10年ー2022年度『乳房再建に関するアンケート調査』結果報告書を公開ー

乳房再建をする、しないの選択をどのような思いで決めるのか。乳房再建に関心のある乳がん経験者など300人の意識を調査。乳房再建を検討する当事者の意思決定プロセスに影響を与える様々な課題が浮き彫りに。

NPO法人 エンパワリング ブレストキャンサー(所在地:東京都目黒区、理事長:真水

美佳、以下E-BeC)は2022年度『乳房再建に関するアンケート調査』結果報告書を公開しました。この報告書は「乳房再建手術」に対する社会的認知や理解の向上を図ることを目的に、「乳房再建手術」の経験者を含む乳がん患者さんたちの意識を把握するため2013年から毎年実施しているもので、今回で10回目となります。今年は新たな試みとして当事者が再建に対してどのような思いを抱えているのかについての記述式回答を、再建の各段階(再建済み群、再建の途中段階群、再建予備群、再建逡巡群、未再建群)にわけて抽出しました。ダウンロード請求はこちらから。URL:

https://www.e-bec.com/questionnaire

調査結果の概要(抜粋)

* インプラントによる再建の減少、穿通枝皮弁の増加

乳房再建手術の術式は、「インプラント」が36.2%と最も高く、昨年と傾向は変わらないものの、その割合は2020年(45.0%)と比較すると低いままでした。次に多い「穿通枝皮弁(せんつうしひべん)」は22.2%と、2020年の倍になっています。これは、インプラントのリコール問題(2019年)の影響が引き続き生じているものと推測されます。脂肪注入による再建は、患者の期待や関心が大きいものの、合計して10%程度にとどまっています。

なお、「一次再建」は「インプラント」(39.4%)が高いのに対して、「二次再建」は「穿通枝皮弁」(44.4%)が高いという傾向があります。

2022年度『乳房再建に関するアンケート調査』結果報告書 []

2022年度『乳房再建に関するアンケート調査』結果報告書

* 再建のハードル

乳房再建を考えるにあたってのハードルとしては、「再びからだに傷をつけたくない」が増加し、5割を超えています。つぎに「合併症」、「費用」の順となっていますが、いずれも前年度よりも増加しています。また、「入院で長期間仕事が休めない」と答えた人は4割にのぼります。

再建手術のハードルについての複数回答を、一次再建、二次再建別に比較すると、「再びからだを傷つけたくない」、「費用」、「周囲の反対」で大きな差がみられます。「一次再建」では「再びからだを傷つけたくない」と「費用」をあげる人が多く、「二次再建」では「周囲の反対」の割合が高くなっています。また、記述式回答として「子育て中の母親にとっては再建手術のための入院はハードルが高い」という意見も見られました。

2022年度乳房再建に関するアンケート調査 []

2022年度乳房再建に関するアンケート調査

* 再建手術で「満足している」人は、2020年から横ばい状況

乳房再建手術を受けた人の満足度を時系列にみると、「満足+ほぼ満足している」人の率は78.6%。「満足している」率は33.3%で、2021年(29.7%)より若干高くなっています。「ほぼ満足している」率は45.3%で、2021年度(52.9%)より大きく減少しています。

2022年度乳房再建に関するアンケート調査 []

2022年度乳房再建に関するアンケート調査

【調査方法】

ここに報告する調査結果は、E-BeCが2022年中に開催した「第17回~第21回オンラインセミナー」と1月~12月(月1回)に行われた「Zoomで乳房再建ミーティング」の参加者を対象に実施したアンケート調査の回答をまとめたものです。アンケート協力者は300名で、このうち乳がん経験者は294名でした。また、今回の調査では新たにアンケートに回答した人を居住地域「首都圏」と「地方」に分けて分析しました。「首都圏」と「地方」の分類は以下の通りです。

「首都圏」:東京都、神奈川県、大阪府

「地方」:上記以外の都道府県

【サンプル特性の留意点】

・「乳房再建手術」に関心がある人々が対象

・地域によるサンプルの偏り

・新型コロナウィルス感染症の影響

NPO法人E-BeC 理事長 真水 美佳 コメント

今回も調査を通じて多くの方々の「乳房再建手術」に対する意識を知ることができました。

E-BeCがこの『乳房再建に関するアンケート調査』を始めて今年で10年になります。

その間、乳房再建手術はシリコンインプラントの保険適用をはじめ、多くの変遷を経て現在に至ります。

乳房再建手術の認知はこの10年で確実に進んだと思いますが、乳房再建手術に関する情報や病院選びの選択肢、相談できる環境などにおいてはまだ地域格差があるように感じます。

この調査結果が、「乳房再建手術」を実施する医療機関並びに医療従事者、また乳がんや乳房再建手術に関連する商品・サービスを取り扱う企業の活動に寄与するものとなり、「乳房再建手術」のより良い環境づくりやさらなる理解の拡大、ひいては乳がん患者さんのQOL(生活の質)の向上に結びついていくことになれば、私どもとしてもこれに勝る喜びはありません。

特定非営利活動法人 エンパワリング ブレストキャンサー/E-BeC

エンパワリング

ブレストキャンサー(E-BeC)は、乳がんと宣告され混乱の渦中にいる方や手術によって乳房を失い喪失感にとらわれている方に、乳房を取り戻す「乳房再建手術」について正しく知ってもらい、希望と自信をもって生きていくきっかけを提供することを目指して活動している患者支援団体です。

ウェブサイトや出版物による、乳がんおよび乳房再建に関する科学的根拠に基づいた情報提供活動、地域や自治体、医療機関、企業等での講演会やシンポジウム、アンケート調査、イベント等の開催を通じた啓発活動により、乳がん患者さんの悩みや不安、孤立感を解消するとともに、大切な人を支える周りの方にも乳房再建という選択肢に対する理解の拡大を目指します。

E-BeCの活動に関する詳細はhttps://www.e-bec.com

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