「天然セラミド」の肌への有効性を確認 (角層セラミドの産生促進効果)
(角層セラミドの産生促進効果) 2020年11月27日「第13回セラミド研究会学術集会」にて発表 ロゼット株式会社は、
“天然セラミド”が肌のバリア機能を担う保湿成分「セラミド」を合成する酵素の発現を促し、 角層内のセラミド産生を促進させる効果があることを確認しました。
本研究成果は、 2020年11月27日に開催された「第13回セラミド研究会学術集会」にて発表しました。 * 研究背景
皮膚の最外層にある角層は、 皮膚の水分蒸発を防いで肌の潤いを守るとともに、 皮膚への異物の侵入を阻止するバリア機能を担う重要な役割を持っています。
角層の細胞間脂質の構成成分であるセラミドは、 アトピー性皮膚炎などのいくつかの乾燥性皮膚疾患で減少し、 バリア異常の原因となります。 また、
健康な人の肌でも界面活性剤による肌荒れや加齢とともにセラミドが減少することが知られており、
バリア機能の低下やそれに伴う肌の乾燥・肌荒れを引き起こすことが知られています。
“天然セラミド”配合のスキンケア製品は、 これまでにアトピー性皮膚炎患者を対象とした使用試験により安全性が確認されており、 また、
肌状態や保湿力の改善効果も報告されています。 今回の研究では、 “天然セラミド”の肌への有効性のメカニズムを解明するため、
セラミド合成に与える影響について確認しました。
* 研究結果
研究の結果、 三次元皮膚モデルを用いた試験において、 天然セラミドが“セラミド合成に関与する複数の酵素のタンパク質発現促進効果を示す”こと、
また角層の総セラミド量とセラミド1、 5、 6、 8の量を増やすことを確認しました。
ヒトの皮膚では図1の経路でセラミドが合成されます。 天然セラミドは、
バリア機能への関与が高いアシルセラミドの合成に関わるグルコシルセラミド経路のGCS(グルコシルセラミド合成酵素)、
GBA(β-グルコセレブロシダーゼ)だけでなく、 スフィンゴミエリン経路のSMS1(スフィンゴミエリン合成酵素)、
また長鎖脂肪酸の合成に関わるELOVL4(脂肪酸伸長酵素)、 CerS3(セラミド合成酵素)のタンパク質発現促進効果があることが確認されました(図2)。
また角層の総セラミド量とアシルセラミドを含むセラミド分子種1、 5、 6、 8という多種のセラミドの量を増やす効果が確認され、
皮膚に存在するセラミドをバランス良く増やし、 バリア機能の改善に関与している可能性が示唆されました。
ヒトの皮膚でセラミドは、 複数のセラミド合成関連酵素によって合成・代謝されます。 初めに基底層から顆粒層にかけてセラミドが合成されます。
セラミドはグルコシルセラミドやスフィンゴミエリンに変換され、 層板顆粒に貯蔵され、 再びセラミドに分解されて角層の細胞間脂質として働きます。
1.天然セラミドはセラミド合成に関与する酵素のタンパク産生を促進する
3次元皮膚モデルに天然セラミドを添加し、 4日間培養した。 タンパク質を抽出し、 ウエスタンブロッティング法を用いてタンパク発現量を確認した。
天然セラミドの添加によって、 セラミド合成に関わるELOVL4、 CerS3、 GCS、 GBA、 SMS1のタンパク質発現量が増加した。
2.天然セラミドによってアシルセラミドを含む角層セラミド量が増加する
3次元皮膚モデルに天然セラミドを添加し、 10日間培養した。 角層を回収して脂質とタンパク質を抽出し、 薄層クロマトグラフィーを用いてセラミド含量を測定し、
角層タンパク当たりの量を比較した。 天然セラミドの添加によって、 角層総セラミド量と、 セラミド1、 5、 6、 8量が増加した。
* まとめ
今回の研究結果から、 天然セラミドがグルコシルセラミド経路のGCS、 GBA酵素の発現を促進するだけでなく、 スフィンゴミエリナーゼ経路のSMS1や、
アシルセラミドの合成に関わるCerS3、 ELOVL4などの多くの酵素の発現促進を介し、 アシルセラミドを含む角層セラミド量を増やすことが明らかになり、
皮膚への塗布によって水分保持やバリア機能を改善する物質となる可能性が示唆されました。 この知見を活かし、
今後もロゼットでは天然セラミドの肌への有効性を追究する研究を進め、 製品の開発に役立てて参ります。
* 用語解説
【天然セラミド】
セラミドに糖がついた糖セラミドを主成分とするセラミドです。 天然由来なので単一の成分ではなく、 11種類以上の糖セラミドやその他肌に必要な脂質が含まれています。
ヒトの肌には12種類以上のセラミドが存在し、 セラミドの総量はもちろんその組成バランスが肌の健康のためには重要です。 天然セラミドは多種のセラミドを含み、
またバランス良く肌のセラミドを増やしてくれるセラミドです。
【ヒトの肌のセラミドの種類】
これまでは皮膚角質層のセラミドには9種類の構造の異なるセラミドがあるとされており、 セラミド1やセラミド3などの数字で表現されていました。
研究が進んだ現在では、 セラミド構造の規則性から、 3種類の脂肪酸と4種類の長鎖塩基の組み合わせで計12種類の構造に大きく分類されています(図5)。
セラミドの分類を表現する方法として、 3種類の脂肪酸の頭文字(N・A・EO)と、 4種類の長鎖塩基の頭文字(DS・S・P・H)とを組み合わせて、 NDS、
AS、 EOPというように表現されるようになりました。 また構造の違いによる機能性の違いなども報告されてきています。
【アシルセラミド】
12種類の構造を持つセラミドの中でも、 炭素鎖長が極端に長い脂肪酸を持つEODS、 EOS、 EOP、 EOHをアシルセラミドと言います(図5)。
このアシルセラミドは、 バリア機能に重要なラメラ構造の安定化に大きく寄与し、
また角質細胞と細胞間脂質のラメラ構造が結合する部分において接着剤のような働きをすることで、
細胞間脂質の保湿バリア機能の維持に大きくかかわっていることが示唆されています。 これまでにも皮膚病患者の研究から、
アシルセラミドが極端に欠乏した場合「魚鱗癬」という皮膚病になることが知られていました。 また、
アトピー性皮膚炎の患者さんでもアシルセラミドの割合が少なくなっていることがわかっています。 このような事実からも、
アシルセラミドは皮膚の保湿バリア機能において重要な働きをしていると考えられます。
* 2月1日は、 ロゼット「セラミド」の日
– 乾燥が本格化する時期に乾燥肌・敏感肌ケアを喚起 –
一般社団法人日本記念日協会により認定。 気象庁が発表する最低湿度を記録する日が例年2月と3月に集中することから、 2月1日を乾燥シーズンの到来の日として、
乾燥が原因による肌荒れで悩む方へ向け、 乾燥肌・敏感肌ケアの促進を行うため、 2019年にロゼット「セラミド」の日を制定いたしました。
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