ガザ・ライツ・バック――ガザは書くことで反撃する〉昨年12月空爆の標的となって死亡したパレスチナの詩人・リフアト・アルアライール編『物語ることの反撃』が12月3日発売!

https://prtimes.jp/

ブラウザで見る [] []

河出書房新社 プレスリリース:2024年12月05日 報道関係者各位

〈ガザ・ライツ・バック――ガザは書くことで反撃する〉昨年12月空爆の標的となって死亡したパレスチナの詩人・リフアト・アルアライール編『物語ることの反撃』が12月3日発売!

奪われる家に爆弾を仕掛ける父、木を恐れる子どもたち、密輸トンネルに閉じ込められた男――、ジェノサイドに対する抵抗の証言、人と記憶とをつなぐ物語集

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役

小野寺優)は、昨年空爆により死亡したパレスチナを代表する詩人の一人であり、作家、活動家としても知られるリフアト・アルアライールが編者を務め、ガザの学生、若手作家たちが直面する過酷な現実を伝える作品集『物語ることの反撃

パレスチナ・ガザ作品集』を2024年12月3日に刊行いたしました。■リフアト・アルアライールと『物語ることの反撃』

パレスチナの占領は、まず比喩的に、つまりは言葉や物語や詩において行われました。だから、私たちは書くことによって抵抗するべきなのです。あらゆる努力とペンを使い、私たちの大義を広く伝え、私たち自身と世界じゅうの人びとに教えるべきなのです。

――リフアト・アルアライール(本書「作者たち」より)

リフアト・アルアライールは、ガザに暮らす労働者の家庭に14人兄弟の2番目として生まれ、ガザ・イスラーム大学卒業後、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで比較文学の修士号、マレーシアプトラ大学で博士号を取得。その後は、母校ガザ・イスラーム大学へ戻り、英文学の教授として教鞭をとるかたわら、詩作、執筆に加え、創作プロジェクトの創設等、精力的な活動を行いました。

2023年12月、イスラエル軍によるリフアトを標的とした空爆により44歳で死亡。残された妻と6人の子どものうち、愛娘シャイマーは、リフアトの初孫となる赤子アブドゥル=ラフマーンとともに2024年4月に同様の攻撃を受け命を落としました。

本書『物語ることの反撃』は、2013年に英語で編まれ、翌年刊行された『Gaza Writes Back』(Just World

Books刊)の全訳。極限の状況下で編み遺された、ジェノサイドに対する抵抗の証言、人と記憶とをつなぐ物語集です。

日本版では、編者リフアト・アルアライールを追悼し、間もなくアメリカで出版される「メモリアル・エディション」より、ウェブサイトを共同運営する盟友が寄せた「アリー・アブーニャマによる序文」、収録作家による最新の言葉を追加収録しました。

本書に作品が収録されたリフアト以外の14名の作家のうち、6名とは連絡が取れないことから、依然ガザの過酷な状況に身を置いているのか、最悪の場合、リフアト同様命を落としている可能性も否定できません。

『物語ることの反撃』表紙■「キャスレッド作戦」と23の反撃の物語

2023年10月7日から現在まで続く「2023年パレスチナ・イスラエル戦争」以前にも、ガザの人々はイスラエルによる国境封鎖、度重なる軍事攻撃により厳しい生活を強いられてきました。

本書収録作品と特に関わるのは、2008年12月から翌2009年1月まで23日間にわたったイスラエル軍による侵攻「キャストレッド作戦」です。

当時からガザ・イスラーム大学で英文学、創作を教えていたリフアト・アルアライールは、大学の授業を通じて学生たちとの共同作業、執筆を開始。さらに応募作品を募り、23日間続いた「キャストレッド作戦」への抵抗として23編を収録した短編小説集『物語ることの反撃』が完成しました。

奪われる家に爆弾を仕掛ける父木を恐れる子どもたち密輸トンネルに閉じ込められた男瓦礫の下からの独白息子と娘を授かり、「平和」と「生命」と名づけた女性――

様々な視点を通じ(時に寓話やイスラエル人の視点も取り入れ)、ガザでの不条理な日々とその閉塞感、爆撃や砲撃の恐怖、喪失と物語ることの大切さが描かれた各収録作品は、忘却に抗うため、そして想像力によってあたらしい現実を立ち上げるため、リフアト・アルアライールから私たちに届けられた、反撃の物語です。

人間には耐えられない状況を彼らが依然、耐え忍んでいるのだとしたら、

それを強いているのは、この紛れもないジェノサイドを止めることができないでいる私たちだ。

それでもなお彼らは、ガザの中から、外から、ガザについて書き続けている。

タンクの壁を叩き続けている。世界から必ずや応答があると信じて。

――岡真理(本書「解説」より)■本書目次わたしが死なねばならないとしても (リフアト・アルアライール)

アリー・アブーニァマによる序文

編者による序文

用語解説Lは生命(ライフ)のL (ハナーン・ハバシー)

戦争のある一日 (ムハンマド・スリーマーン)

助かって (ラワーン・ヤーギー)

カナリア (ヌール・アル= スースィ)

土地の物語 (サーラ・アリー)

ガザで歯が痛い (サミーハ・エルワーン)

僕は果たして出られるのか? (ヌール・アル=スースィ)

ある壁 (ラワーン・ヤーギー)

不眠症への願い (ヌール・エル・ボルノ)

包み (ムハンマド・スリーマーン)

ひと粒の雨のこと (リフアト・アルアライール)

撃つときはちゃんと殺して (ジーハーン・アルファッラ)

オマル・X (ユーセフ・アルジャマール)

我々は帰還する (ムハンマド・スリーマーン)

下から (ラワーン・ヤーギー)

十五分だけ (ワファー・アブー・アル= コンボズ)

家 (リフアト・アルアライール)

ネバーランド (タスニーム・ハンムーダ)

あっというまに失って (イルハーム・ヒッリース)

ぼくのパンなんだ (タスニーム・ハンムーダ)

かつて、夜明けに (シャフド・アワダッラー)

老人と石 (リフアト・アルアライール)

傷痕 (アーヤ・ラバフ)

作者たち

謝辞

訳者あとがき

解説 (岡真理)■著者紹介

【編者】

リフアト・アルアライールRefaat Alareer

1979年、ガザ生まれ。パレスチナを代表する詩人のひとり。作家、活動家。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで比較文学の修士号を、マレーシアプトラ大学で英文学の博士号を取得。ガザ・イスラーム大学で世界文学と文芸創作を教え、若い世代の抵抗手段として、執筆の力を醸成することに尽力した。編著に本書のほか、Gaza

Unsilencedがある。2023年12月6日、イスラエル軍の空爆によって殺害された。【訳者】

藤井光(ふじい・ひかる)

1980年、大阪生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学文学部・人文社会系研究科現代文芸論研究室准教授。おもな訳書に、D・ジョンソン『煙の樹』、A・ドーア『すべての見えない光』、N・ドルナソ『サブリナ』、C・ホワイトヘッド『ニッケル・ボーイズ』などがある。

【監修・解説】岡真理(おか・まり)

1960年、東京生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。エジプト・カイロ大学留学。早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。著書に『ガザとは何か』などがある。

■書誌情報

書名:物語ることの反撃 パレスチナ・ガザ作品集編者:リフアト・アルアライール

訳者:藤井光

監修・解説:岡真理仕様:46判/上製/本文268頁発売予定日:2024年12月3日税込定価:2,992円(本体2,720円)

ISBN:978-4-309-20911-1装丁:川名潤

装画:Annem Zaidi

書誌URL:

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209111/ 当リリースの詳細について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000843.000012754.html

※このメールは自動送信されていますので、返信はご遠慮ください。