般若心経手帳』~人生という旅の最良の友に~日本人に最も愛されている経典「般若心経」を平山郁夫の仏教画や中村元の現代語訳とともに辿る手帳形式の書籍。
東京書籍株式会社から2010年8月に発売されました『般若心経手帳』。この度(2024年2月)、待望の重版となりました。
* 解説
仏教界の泰斗、中村先生の現代語訳と、中村先生の弟子で気鋭の学者、堀内伸二先生が執筆したわかりやすい解説に、日本画壇最高峰の平山郁夫先生の仏教画が奇跡の融合遂げました。
平山先生の生涯のテーマであった玄奘三蔵、そして「旅」を基本テーマに据え、般若心経の教え、仏教の教えをわかりやすく紐解いていく、重厚感のあるありがたい書籍に仕上がっています。
* まえがき
日本において、最も多くの書物が著されている仏教聖典は、おそらく『般若心経』でしょう。しかも教説の解説だけにとどまらず、写真やCDを伴うものなど、もはや形態の面においてはおよそ考えられるものは出尽くしたのでは、と思われるほどです。
その中で、あえて本書が編まれたのには、理由があります。それは、「般若心経を常にそばにおいて人生という旅のともに」をコンセプトに、ポケットに入れていつでも手にできるよう手帳形式としたい、ということでした。
また本書には以下の特徴があります。第一点は、日本画の最高峰・平山郁夫画伯の画を用いること。二点目は、『般若心経』のサンスクリット現代語訳は、学的に最も権威のある中村元訳に拠ること。そして最後は、随意な解釈ではなく、経説を正しく理解できるよう、解りやすい解説を一句一句のすべてに施すこと、です。
十五年間おそばにお仕えし、中村元先生の謦咳(けいがい)に触れさせていただく機縁に恵まれ、学的業績はもとより、その偉大さを支えていた先生の生き方を最期まで目の当たりにしてきた者としては、先生の和訳が「人生という旅のとも」となるべき本書に入ることは、あまりにも当然のことでした。
また、平山画伯はシルクロードの各地を訪ねられ、『般若心経』を『大般若経』とともにインドから長安に持ち帰った玄奘三蔵を描いた「仏教伝来」で画壇に登場されて以来、仏伝とシルクロードを主題にした多くの作品を残されました。画伯のご生涯は、釈尊と玄奘三蔵
に導かれての「絵道」とも言うべきもので、その作品は、私たちを魅了してやみません。
仏教は、現に生きている人を導き救うために、悟りという、ほんとうの現実を確かに見ぬいた事実のある覚者(ブッダ)
によって説かれた教えです。それは決して寺院にだけあるものではなく、日々の生活に生き生きと生きているべきもののはずです。その教えが伝わる
よう、解説に当たっては、できるだけ凡夫の私情を交えず、筋道がしっかり追え、教説がおのずと心に入ってくるよう努めました。しかもできるだけ短いすっきりした言葉で。
一流の和訳とすばらしい画を目にされながら、本書が少しでも役立ち人生の糧となることができたならば、編著者として、これほどありがたいことはありません。
堀内伸二
* 著者情報
画
平山郁夫(ひらやま いくお)
日本画壇の最高峰として、仏教と東西文化の交流、シルクロードをテーマに旺盛な創作活動を展開。東京藝術大学学長のほか、財団法人日本美術院理事長、ユネスコ親善大使など、国内外での要職を歴任。1998年文化勲章受章。「文化財赤十字構想」の理念に基づき、世界の文化遺産、文化財を保存・修復する運動にも取り組む。著書、画集多数。2009年逝去。
訳
中村元(なかむら はじめ)
インド哲学・仏教学の世界的権威。東京大学名誉教授。スタンフォード大学・ハーバード大学客員教授、学士院会員などを歴任するとともに、「東洋思想の研究およびその成果の普及」を目的とした財団法人東方研究会を設立。初代東方学院長。1977年文化勲章、1999年逝去。主な著書に『広説佛教語大辞典』(小社)など。
編著
堀内伸二(ほりうち しんじ)
東京大学大学院人文科学研究科インド哲学インド文学博士課程修了。日本印度学仏教学会理事。中村元東方研究所理事等歴任、現在日印文化交流ネットワーク事務局長等。中村元博士の命により中村元著『広説佛教語大辞典』全4巻、『現代語訳大乗仏典』全7巻(小社)などの編纂を行う。著者に『白隠禅師生誕320年
白隠・禅と書画』(アサツー・ディ・ケイ)など。編著書『仏教の事典』(朝倉書店)は第68回毎日出版文化賞受賞。
<概要>
『般若心経手帳』
■平山郁夫/画 中村元/訳 堀内伸二/編著
■定価1,540円(本体1,400円+税10%)
■新書版・144頁
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