資生堂、理化学研究所と共同で、肌・身体・心の関係性に基づく新規肌予測モデルを開発 ~一人ひとりの自分らしい美への道標となる独自アルゴリズム構築へ応用~

資生堂は、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)との共同研究※1で、肌の状態に関係する身体や心の状態を網羅的かつ定量的に明らかにし、革新的な肌予測モデルを開発することに成功しました。また、この新たな肌予測モデルと、当社がこれまで100年以上にわたり蓄積してきた研究知見を融合し、独自の美のアルゴリズムを構築しました。将来的には2000以上の肌・身体・心の関係性を含むアルゴリズムへと進化させていく予定です。

これにより、生活者一人ひとりの「なりたい肌」「ありたい姿」を実現するために、化粧品によるケアに加えて、身体や心の状態に着目した生活習慣の提案など、肌・身体・心が調和した状態へ導く新たなアプローチの開発を加速させることが期待できます。さらに、このアルゴリズムは、社会の変化やそれとともに変わりゆく生活者のライフスタイルを反映しながら、社内外におけるさまざまな最新の研究成果を取り入れて進化し続けます。

本研究成果の一部は、「第33回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)※2バルセロナ大会(2023/9/4-7)」で発表しました。

※1 共同研究期間:2020年4月1日~2022年12月31日

※2 IFSCC:The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists

《研究の背景》

資生堂は、2030年のビジョンとして、生涯を通じて一人ひとりの健康美を実現する「Personal Beauty Wellness

Company」を掲げ、美の力を通じて「人々が幸福を実感できる」サステナブルな社会の実現を目指しています。ビジョン実現のために、当社は、肌・身体・心のつながりを解明し、現状の肌状態の改善や将来の肌予測だけでなく、化粧品にとどまらないアプローチで肌の不調を未然に防ぐことにも貢献し、「体内から健康美肌を実現する」Beauty

Wellnessイノベーションの創出を加速しています。

研究開発においては、当社が長年強みの研究領域である感性研究において追究してきた「心の状態を可視化」する技術を採り入れた研究を推進するとともに、データサイエンスの手法を採り入れた解析を外部と連携して強化しています。後者については、肌・身体・心を科学する研究の推進や社会実装を目的として、国立大学法人弘前大学と共同研究講座を開設したほか※3、研究で得られる大量のデータに対してスピーディーに精度高い解析を進めるべく、株式会社DeNAライフサイエンスとデータ解析に関する包括連携協定を締結するなど※4の取り組みを行っています。今回、これらに関連する取り組みの成果の一つとして、肌・身体・心の関係性を解明し、その知見を含む美の独自のアルゴリズムを構築しました。

※3 資生堂、弘前大学 大学院 医学研究科に共同研究講座 「ビューティーウェルネス学研究講座」を開設(2022)

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003464&rt_pr=trp01

※4 資生堂とDeNAライフサイエンスがデータ解析に関する包括連携協定を締結 (2022)

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003529&rt_pr=trp01

《肌・身体・心の関係性を解明し数式として可視化することに成功》

今回、肌・身体・心の関係性を明らかにすることを目的に、個人の健康度をさまざまな指標から可視化する「健康関数(R)」開発などの研究実績をもつ、理研

生命機能科学研究センターの水野敬上級研究員らのチームと共同研究※1を行いました。20~40代の健康な日本人女性を対象に研究を実施し、シミ・くすみ、しわ、うるおいなどの肌の状態を計測したほか、体格・体組成、血中成分、生活習慣および心理指標に関する計測も行いました。

肌の状態に、身体や心のどのような要素が関連しているのかを明らかにするために、計測した肌指標を身体指標や心の指標で説明する数式(新規肌予測モデル)の作成を試みたところ、複数の数式を得ることに成功しました。たとえば、肌の角層水分量に関しては、下記のような数式が得られ、角層水分量の多さ/少なさには、身体の酸化ストレス状態、体格、血中電解質(ミネラル)、握力などとの間に関係がみられることが明らかになりました(数式1、図2)。肌の状態に関係する身体や心の状態を網羅的に、かつ定量的に明らかにする試みは前例が極めて少なく、今回得られた知見は非常に新規性の高い知見となります。

《資生堂独自の美のアルゴリズムの開発と今後の活用》

資生堂は、今回理研との共同研究によって得られた、肌・身体・心の関係性についての知見を原点としながら、当社が100年以上にわたって蓄積してきた知見を融合し、肌・身体・心の関係性を含む独自の美のアルゴリズムを構築しました。

当社は、「Personal Beauty Wellness

Company」の実現に向け、「体内から健康美肌を実現する」、化粧品にとどまらないさまざまなBeauty

Wellnessイノベーションの創出を更に加速させていきますが、このベースとなるのが、今回構築したアルゴリズムとなります。

本研究成果を含むアルゴリズムにより、肌・身体・心の関係性が定量的にとらえられるようになり、生活者が自分の肌への理解を深められる測定技術や、これまで以上に精度高く、生活者一人ひとりの「なりたい肌」「ありたい姿」を実現するためのケアの開発・提案が可能になります。アルゴリズムは、社会の変化や、それとともに変わりゆく生活者のライフスタイルを反映しながら、今後新たに社内外で明らかになっていく最新の知見を取り入れつつ、将来的には2000以上の肌・身体・心の関係性を含むアルゴリズムへと進化していきます。

《R&D戦略について》

本研究は、R&D戦略3本柱の1つである「Future Beauty

INNOVATION」のもと、肌・身体・心の関係性を明らかにすることを目的として進められました。

・2022年統合レポート(ビューティーイノベーション)

https://corp.shiseido.com/report/jp/2022/value_creation/innovation/?rt_pr=trp01

・キーワード

Future Beauty INNOVATION、肌・身体・心の関係性解明

▼ ニュースリリース

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003691&rt_pr=trp01

▼ 資生堂 企業情報

https://corp.shiseido.com/?rt_pr=trp01