場満足度は62.6%と半分以上が満足し、昨年の59.2%と比べ増加

病院を中心に職場満足度は改善傾向、新型コロナウイルス5類移行がきっかけの可能性あり~教育機会や成長に関する満足度が向上する一方、人員配置や業務サポートは変化が見られず~

株式会社エス・エム・エス(本社:東京都港区、代表取締役社長:後藤夏樹、東証プライム、以下「当社」)は、看護師・助産師・保健師向け人材紹介「ナース人材バンク」(URL:

https://www.nursejinzaibank.com/

)や、看護師・看護学生向けコミュニティ「ナース専科」(URL:

https://nurse-senka.jp/

)を提供しており、この度、全国の看護師19,878人に看護師の採用と定着をテーマに「看護師の働き方に関する意識調査」を実施しました。なお、本調査は2021年から開始し、今回で3回目となります。

【主な調査結果】

1.職場に満足を感じている看護師は62.6%

「満足」が12.2%、「まあ満足」が50.4%、「やや不満」が26.2%、「不満」が11.2%となった。「満足」、「まあ満足」の合計は62.6%となり、前回(59.2%)、前々回(61.0%)と比較すると、全体的な満足度は上がった。今回は前回および前々回の満足度を超える施設形態が多かった。

2.就業先への満足度の変化は、良い方向に変化したという回答が30.7%

就業先の満足度変化について、最多は「変わらない(42.6%)」となったものの、「良くなった」という回答は「悪くなった」という回答(26.7%)を上回っている。

3.現職で満足を感じている点のトップは「同僚との関係(83.2%)」、「患者・利用者との関係(79.3%)」、不満を感じている点は「適切な人員配置(69.0%)」

前回、前々回と満足を感じる点の上位項目に大きな違いはなく、普遍的なものであることが確認できた。不満を感じる点についても大きな変化はなく、次点で「管理職のマネジメント(62.6%)」、「企業・施設の方針(62.0%)」が上位となった。

4.入職時のサポートについては3人に2人(67.4%)が十分であると感じているものの、業務マニュアルの整備に課題。前回同様、属人的なサポートが主となっている可能性を示唆

入職時のサポートについては「手厚いサポートがあった(11.5%)」、「必要なサポートはあった(55.9%)」となり、3人に2人が十分であると回答した。入職時に十分なサポートがあったと感じている層において、有効だと思ったサポートの上位は「同僚からのサポート(52.2%)」、「一通りの業務ができるまでプリセプターがついてくれた(40.5%)」となった。概ね前回調査と同様ではあるものの、「プリセプターがついてくれた」は前回の36.9%から3%近い伸びがあった。一方、入職時のサポートが不十分だと感じている層が特に不十分だと感じているのは「業務マニュアルが整備されている(56.5%)」であり、前回同様、同僚やプリセプターの属人的なサポートが主となっている可能性を示唆している。

5.前職の退職理由は、「上司との関係に不満がある」が29.2%

退職理由についても前回調査とほぼ変わらないものの、わずかながら上司との関係性への不満が高まった。

6.働く上で最も大切にしたい価値観は「仕事とプライベートを両立させられることを重視したい(43.2%)」が最多

次いで「社会的・経済的な安定を求めたい(18.6%)」「自分のペースやスタイルで仕事を進めることを重視したい(17.7%)」が上位となった。

7.職場選びの重要ポイントは、「勤務時間・体制」が59.2%

次いで「職場へのアクセス(54.5%)」、「給与(44.8%)」が上位となった。

8.転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が55.2%、「常勤(夜勤あり/2交代制)」は30.7%、次いで「非常勤(扶養範囲外)(16.8%)」

扶養の範囲外の非常勤勤務が「短期派遣・単発(6ヶ月未満)(11.7%)」、「非常勤(扶養範囲内)(10.1%)」を上回っており、ある程度の収入を見込みたいという意思が読み取れる。

9.今後のキャリアプランについては「明確なキャリアプランはない(52.1%)」が最多、「キャリアプランについて考えたことはない」も15.3%

具体的なキャリアプランについての回答は「ジェネラリストとして勤務したい(17.9%)」「特定領域のスペシャリストとして勤務したい(12.7%)」が「管理職としてマネジメント経験を積みたい(8.0%)」を大きく上回る結果となった。

10.期間限定勤務や短期雇用については3人に1人(37.1%)が経験、もしくは興味ありと回答

20代、30代は経験、もしくは興味がある層が40代以降と比較して多い傾向となった。

11.転職先候補は年代により差あり。20代は病院(82.1%)、50代は介護施設(62.1%)が最多

30代は一般企業や美容クリニックなどへの転職意向も高いことがわかった。

12.訪問看護ステーションへの就業については、関心がある層は「在宅医療に社会的な意義を感じるため(45.7%)」が最多、関心がない層は「一人で訪問することの怖さやプレッシャーを感じるため(53.9%)」が最多

訪問看護ステーションへの就業に関心がある層については、「利用者(患者)さんとじっくり向き合えるケアがしたいため(41.5%)」も多く、利用者とのコミュニケーションへの関心も高いことがわかった。また、関心が低い層については、次点が「オンコール対応が大変そうなため(44.7%)」であり、精神的にも肉体的にも不安がある様子が垣間見えた。

【コメント抜粋】

1.勤務先の満足な点

・大学病院でハイレベルなケアにあたれる上に、人間関係が良く、給料もまずまず。子どもが産まれても時短制度も整っており、キャリアを深めようと思えば支援してもらえる。選択肢が多い。(東京都/40代)

・就業規則が明確で遵守されている。マニュアルや頼れる先輩の存在。教育を受ける機会が与えられている。家庭環境への配慮があり長期の休みが取りやすい。(鹿児島県/50代)

・感染管理認定看護師として、当初は病棟勤務であったが、コロナ禍をきっかけに専従業務に移行でき、感染対策に集中して取り組めている。上司の理解もあり、特定行為研修も受けようと計画できている。(北海道/40代)

2.勤務先の不満足な点

・有給休暇を消化できない。残業時間が多い。職場の不満を改善する気がない。(大阪府/20代)

・サービス残業があり、売上悪化によりボーナスが満額いただけていない。人間関係が悪い。(愛知県/20代)

・休日が少ない。日常的に人手不足で未経験可になっているが教育体制が整っておらず、スタッフが常に忙しく役割を掛け持ちしている。師長は常に電話対応などで手が離せない。ベテラン看護師たちが新卒看護師に理不尽に厳しい。(徳島県/50代)

3.職場への満足度が高まったと感じる理由

・働き方改革が進んで業務改善があり、残業が減ったこと。時短でも残業申請ができるようになったこと。(愛知県/40代)

・時間内に仕事が終わらず(外来なので診療が終わるまで昼休みに入れない)休憩時間が削れても手当が出るようになった。手術機械の滅菌業務等に関しても、洗浄評価や外注依頼を可能にしてくれた。(北海道/50代)

・昔に比べて人間関係や教育体制が改善された。看護師待遇改善手当がついた。前残業削減のための取り組みにより15分遅く家を出られるようになった。(大阪府/20代)

・診療報酬の改定をきっかけに本来あるべき姿への改善に尽力し、スタッフの意識が変化してきた。また、従事者の年齢が若年層に移行してきたため。(大阪府/50代)

・コロナ対応がなくなったことや、人事異動により職場の雰囲気が大きく変わったこと。(鹿児島県/60代)

【総括】

調査の結果、現在の就業先に対しては、6割以上が満足しているという結果となり満足度が増加しました。前回は前々回と比べて多くの施設形態で満足度が低い状態でしたが、今回は前回および前々回調査時の満足度を超える施設形態が多いという結果になりました。就業先への満足度の変化は、良い方向に変化したという回答が3割を超え、悪くなったという回答を上回っています。

満足・不満足を感じる点については昨年と大きな変化は見られず、満足を感じる点の上位は「同僚との関係」、「患者・利用者との関係」、「休日・休暇の希望考慮」、不満足を感じる点の上位は「適切な人員配置」、「管理職のマネジメント」となっています。変化が少ない一方で前回と比較可能な項目で差分の大きいものは、「新入職者への教育機会」、「現職員への教育機会」、「仕事を通した自己成長」などの教育機会や成長に関する項目であり、教育関連の改善が見られました。

入職時のサポートについては3人に2人が十分であると感じているものの、業務マニュアルの整備に課題を感じていました。前回同様、属人的なサポートが主となっている可能性が示唆されています。満足度が高まった人のコメントでは、働き方改革やコミュニケーション改善に取り組んでいる職場の存在についての記載も散見され、組織としての努力が実を結んでいることもうかがえます。

看護師が働く上での満足度については人間関係や休日・休暇といった普遍的な要素が重要である一方で、診療報酬改定や新型コロナウイルスの5類移行も満足度に影響を与えたというコメントもあり、世相を反映したものとなりました。新型コロナウイルス禍で中止、あるいはオンライン形式での提供となっていた研修等が、5類移行により対面で再開しはじめたことで、同僚や同期と直接的なつながりを持てたことなどが満足度向上の一因となっている可能性も考えられます。

今回は、看護師の就業先への満足度や定着の要因を探るために働き方の価値観についても調査しました。働く上で最も大切にしたい価値観は「仕事とプライベートを両立させられることを重視したい」が最多で4割を超える回答となり、次いで「社会的・経済的な安定を求めたい」「自分のペースやスタイルで仕事を進めることを重視したい」となっています。職場選びの際に重視している点については働き方の志向が表れており、「勤務時間・体制」が最多で約6割となりました。

転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が最多で半数以上、次いで「常勤(夜勤あり/2交代制)」、「非常勤(扶養範囲外)」という順となり、ある程度の収入を見込みたいという意思も読み取れます。今後のキャリアプランに関しては、「明確なキャリアプランはない」と回答した人が半数を超えているものの、具体的なキャリアプランとしては、「ジェネラリストとして勤務したい」「特定領域のスペシャリストとして勤務したい」が「管理職としてマネジメント経験を積みたい」を大きく上回る結果となりました。

以上のことから、看護師の働き方の志向としては、自身のワークライフバランスが最重要であり、次点がスキルアップやキャリアアップであることがわかりました。また、近年注目されつつある期間限定の雇用については、3人に1人の看護師が経験、もしくは興味ありと回答しており、働き方の多様性について認知が広がっていることがうかがえます。

前回同様、転職市場の動向を見るために転職先の候補を調査したところ、年代により候補先に差がありました。20代は病院、50代は介護施設が最多となりました。また、20代、30代の特徴として、転職先の候補に美容クリニックや一般企業が多くあげられています。ライフスタイルの変化などが起こりやすい若い年代だからこそ、勤務時間を含めた働き方について考えたいという意向がうかがえました。

また、地域包括ケアシステムを支える在宅医療の要となる訪問看護ステーションへの就業について調査したところ、関心がある層は「在宅医療に社会的な意義を感じるため」、「利用者(患者)さんとじっくり向き合えるケアがしたいため」が上位であり、社会的意義や利用者と向き合える環境に魅力を感じている層は多いことがわかりました。関心が低い層は「一人で訪問することの怖さやプレッシャーを感じるため」、「オンコール対応が大変そうなため」が上位となり、精神的にも肉体的にも不安があることもわかり、地域包括ケアの推進には看護師の不安解消が必要であることも確認できました。

【調査結果詳細】

1.職場に満足を感じている看護師は62.6%

Q.(現在勤務している方への調査)現在の就業先に対する満足度で最も近いものをお選びください(n=17,066)

「満足」が12.2%、「まあ満足」が50.4%、「やや不満」が26.2%、「不満」が11.2%となった。「満足」、「まあ満足」の合計は62.6%となり、前回(59.2%)、前々回(61.0%)と比較すると、全体的な満足感は上がった。

今回は前回および前々回の満足度を超える施設形態が多かった。

2.就業先への満足度の変化は、良い方向に変化したという回答が30.7%

Q.(現在勤務している方への調査)1年前と比較した就業先への満足度の変化について最も近いものを教えてください(n=17,066)

就業先の満足度変化について、最多は「変わらない(42.6%)」となったものの、「良くなった」という回答は「悪くなった」という回答(26.7%)を上回っている。

3.現職で満足を感じている点のトップは「同僚との関係(83.2%)」、「患者・利用者との関係(79.3%)」、不満を感じている点は「適切な人員配置(69.0%)」

Q.(現在勤務している方への調査)現職における以下の項目について「満足」「不満足」で教えてください(n=17,066)

前回、前々回と満足を感じる点の上位項目に大きな違いはなく、普遍的なものであることが確認できた。不満を感じる点についても大きな変化はなく、次点で「管理職のマネジメント(62.6%)」、「企業・施設の方針(62.0%)」が上位となった。

4.入職時のサポートについては3人に2人(67.4%)が十分であると感じているものの、業務マニュアルの整備に課題。前回同様、属人的なサポートが主となっている可能性を示唆

Q.(現在勤務している方への調査)現職に入職した時のサポートは十分であったか、教えてください(n=17,066)

入職時のサポートについては「手厚いサポートがあった(11.5%)」、「必要なサポートはあった(55.9%)」となり、3人に2人が十分であると回答した。

Q.(入職時のサポートが十分であったと回答した方への調査)具体的にどのようなサポートが有効だったか、教えてください。当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=11,499)

入職時に十分なサポートがあったと感じている層において、有効だと思ったサポートの上位は「同僚からのサポート(52.2%)」、「一通りの業務ができるまでプリセプターがついてくれた(40.5%)」となった。概ね前回調査と同様ではあるものの、「プリセプターがついてくれた」は前回の36.9%から、3%近い伸びがあった。

Q.(入職時のサポートが不十分であったと回答した方への調査)どのようなサポートがあるとよかったでしょうか。当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=5,567)

入職時のサポートが不十分だと感じている層が、特に不十分だと感じているのは「業務マニュアルが整備されている(56.5%)」であり、前回同様、同僚やプリセプターの属人的なサポートが主となっている可能性を示唆している。

5.前職の退職理由は、「上司との関係に不満がある」が29.2%

Q.(退職経験のある方への調査)前職の退職理由について、当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=15,757)

退職理由についても前回調査とほぼ変わらないものの、わずかながら上司との関係性への不満が高まった。

6.働く上で最も大切にしたい価値観は「仕事とプライベートを両立させられることを重視したい(43.2%)」が最多

Q.働く上で最も大切にしたい価値観ついて、当てはまるものを選択してください(n=19,878)

次いで「社会的・経済的な安定を求めたい(18.6%)」「自分のペースやスタイルで仕事を進めることを重視したい(17.7%)」が上位となった。

7.職場選びの重要ポイントは、「勤務時間・体制」が59.2%

Q.(現在勤務している方への調査)現職を選んだ時に重視したポイントについて、当てはまるものを全て選んでください(複数選択可)(n=17,066)

次いで「職場へのアクセス(54.5%)」、「給与(44.8%)」が上位となった。

8.転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が55.2%、「常勤(夜勤あり/2交代制)」は30.7%、次いで「非常勤(扶養範囲外)(16.8%)」

Q.(現在、転職(就職)を希望している方への調査)転職したら、どのような働き方をしたいですか。当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=11,959)

扶養の範囲外の非常勤勤務が「短期派遣・単発(6ヶ月未満)(11.7%)」、「非常勤(扶養範囲内)(10.1%)」を上回っており、ある程度の収入を見込みたいという意思が読み取れる。

9.今後のキャリアプランについては「明確なキャリアプランはない(52.1%)」が最多、「キャリアプランについて考えたことはない」も15.3%

Q.将来のキャリアプランについて教えてください。当てはまるものをすべて選択してください。※5年後や10年後にどのように活躍する看護師になりたいか教えてください(複数選択可)(n=19,878)

「ジェネラリストとして勤務したい(17.9%)」「特定領域のスペシャリストとして勤務したい(12.7%)」が「管理職としてマネジメント経験を積みたい(8.0%)」を大きく上回る結果となった。

10.期間限定勤務や短期雇用については3人に1人(37.1%)が経験、もしくは興味ありと回答

Q.期間限定勤務や短期雇用に対する関心について最も近いものをお選びください(n=19,878)

20代、30代は経験、もしくは興味がある層が40代以降と比較して多い傾向となった。

11.転職先候補は年代により差あり。20代は病院(82.1%)、50代は介護施設(62.1%)が最多

Q.(現在、転職(就職)を希望している方への調査)転職したら、どのような施設で働きたいですか。当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=11,959)

30代は一般企業や美容クリニックなどへの転職意向も高いことがわかった。

12.訪問看護ステーションへの就業については、関心がある層は「在宅医療に社会的な意義を感じるため(45.7%)」が最多、関心がない層は「一人で訪問することの怖さやプレッシャーを感じるため(53.9%)」が最多

Q.(訪問看護ステーションに就業経験がない、かつ、関心があると回答した方への調査)訪問看護ステーションでの就業に関心がある理由を選択してください。当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=6,027)

訪問看護ステーションへの就業に関心がある層については、「利用者(患者)さんとじっくり向き合えるケアがしたいため(41.5%)」も多く、利用者とのコミュニケーションへの関心も高いことがわかった。また、関心が低い層については、次点が「オンコール対応が大変そうなため(44.7%)」であり、精神的にも肉体的にも不安がある様子が垣間見えた。

Q.(訪問看護ステーションに就業経験がない、かつ、関心がないと回答した方への調査)訪問看護ステーションでの就業に関心が低い理由を選択してください。当てはまるものをすべて選択してください(複数選択可)(n=10,889)

■調査概要

「看護師の働き方に関する意識調査」

・実施期間:2024年2月1日(木)~2024年2月29日(木)

・調査対象:「ナース人材バンク」、「ナース専科」、「ナース専科就職ナビ」、「ナース専科求人ナビ」を利用している看護師

・回答総数:19,878名

・調査方法:Webを使用したアンケート

※調査の詳細に関しては別途資料がありますので、お問い合わせください

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