パントエア菌LPSで、花粉季節の抗アレルギー薬使用量が減少

~目鼻アレルギー症状の緩和に期待~

自然免疫応用技研株式会社(本社:香川県高松市、代表取締役社長:河内

千恵)は、パントエア菌リポポリサッカライド(LPS)が目鼻アレルギー症状の緩和効果を持つかどうかを調べるため、2023年1月から4月まで(スギ花粉飛散期も含む)香川県内で軽度アレルギー体質の63人を対象に臨床試験(ダブルブラインド試験*1)を行いました。その結果、パントエア菌LPSを配合したサプリメントを8週間摂取した人は、抗アレルギー薬の使用量が減少したことが確認されました。この結果は学術誌「International

Journal of Translational Medicine」に掲載されました。

図1:研究成果の概要

<研究の背景>

最近では、気管支喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎、じんましん、食物アレルギーなど、IgE抗体*2が関与するI型アレルギーの患者数が増加しています。花粉症については、日本環境省が発行する「花粉症環境保健マニュアル2022」によれば、1998年の有病率は19.6%でしたが、2008年には29.8%、2019年には42.5%と、10年ごとに約10%ずつ増加していると報告されています。さらに、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会が発行する「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」では、今後も花粉症有病率が増加する可能性があると指摘されています。

1989年にStrachanが提唱した衛生仮説では、衛生状態の向上と相互感染の減少がアレルギー発症の増加原因となっている可能性が示唆されました[1]。2002年には、Braun-Fahrlanderらの欧州での疫学調査により、グラム陰性細菌成分であるLPSの自然暴露が多い農村部に住む子供は、衛生的な都市部に住む子供より花粉症や喘息の発症頻度が低いことが明らかになり、衛生仮説が支持されました[2]。

自然免疫応用技研は、免疫系の要であるマクロファージを調節するLPSの有用性に着目し、2006年からパントエア菌LPSをヘルスケア産業に提供するビジネスを開始しました。当社は、パントエア菌LPSを配合したサプリメントの使用により、花粉症やアトピー性皮膚炎の改善といった体感的な効果が多く報告されており、科学的な検証のために今回のダブルブラインド試験を実施しました。

<研究の概要>

本試験は、軽度の目鼻アレルギーを持つ20歳以上65歳未満の63人を対象に、2023年1月中旬から4月下旬まで香川県内で行われました。被験者はランダムに2つのグループに分けられ、一方のグループはパントエア菌LPSを配合したサプリメントを、もう一方のグループはパントエア菌LPSを配合していないサプリメント(プラセボ)を8週間摂取しました。被験者の目鼻アレルギー症状は「日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票」で評価されました。試験期間中の3月上旬にはスギ花粉、下旬にはヒノキ花粉の飛散が顕著であり、被験者の抗アレルギー薬の使用は制限されませんでした。

<研究成果の概要>

目鼻アレルギー症状のスコアには両グループ間で有意な差は見られませんでしたが、抗アレルギー薬の服用についての解析も行いました。その結果、パントエア菌LPSを摂取したグループは、プラセボを摂取したグループと比べて抗アレルギー薬の使用日数(図2:A)、薬物スコア*3(図2:B)、および補正鼻アレルギー症状スコア*4(図2:C)が統計的に有意に低いことが示されました。また、血液検査で、パントエア菌LPSを摂取したグループは非特異的IgE、ハウスダストやスギ花粉に対する特異的IgE、および好酸球数が低くなる傾向がありました。これはパントエア菌LPSが目鼻アレルギーを和らげる効果があることを示しています。

これらの結果は学術誌「International Journal of Translational Medicine」に論文として掲載されました。

図2:抗アレルギー薬の使用

<論文情報>■タイトル:Pantoea agglomerans Lipopolysaccharide Controls Nasal Discomfort-A

Placebo-Controlled, Randomized, Double-Blind, Parallel-Group Comparison Trial

■著者:Chie Kohchie, Miyuki Uehiro, Taisuke Fukaya, Norikazu Watanabe, Hiroyuki

Inagawa, Gen-Ichiro Soma■掲載誌: International Journal of Translational Medicine

■DOI: 10.3390/ijtm4010006

【引用文献】[1] Strachan, D.P. Hay fever, hygiene, and household size. BMJ. 1989, 299,

1259-1260[2] Braun-Fahrlander, C.; Riedler, J.; Herz, U.; Eder, W.; Waser, M.;

Grize, L.; Maisch, S.; Carr, D.; Gerlach, F.; Bufe, A.; Lauener, R.P.; Schierl,

R.; Renz, H.; Nowak, D.; von Mutius, E.; Allergy; Endotoxin Study, T.

Environmental exposure to endotoxin and its relation to asthma in school-age

children. N Engl J Med. 2002, 347, 869-877【専門用語解説】*1-

ダブルブラインド試験:被験者や医師が試験品の摂取状況(試験品/プラセボ)を知らない状態で行われる臨床試験のこと。*2-

IgE抗体:I型アレルギーの原因となるタイプの免疫グロブリン抗体。*3-

薬物スコア:鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版に基づき、使用する鼻アレルギー治療薬の強さに応じてスコアが設定されています。*4-

補正鼻アレルギー症状スコア:鼻アレルギー症状のスコアに薬物スコアを加えたもの。

【連絡先】〒761-0301 香川県高松市林町2217-6 DynaxTビル2F自然免疫応用技研株式会社Tel: 087-867-7712

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