ペプチグロース、FGF2代替ペプチドの開発完了と販売開始

PGペプチド開発の背景

再生医療・細胞治療等製品の製造に使用される、成長因子・サイトカイン等は、製造ロット間の品質のバラつきの可能性、動物由来成分混入による安全性上の懸念、安定性上の懸念、市販価格が高く大量に使用する場合のコストの問題等の課題を抱えています。

当社は、それらの課題を解決し再生医療・細胞治療の更なる普及・拡大に貢献することをミッションに、2020年4月に三菱商事株式会社とペプチドリーム株式会社の合弁企業として設立されました。設立以降、ペプチドリーム株式会社との共同開発契約に基づき、数十種類の成長因子・サイトカイン等をターゲットにそれらと同様の機能を持ち、完全化学合成可能な特殊ペプチド(PGペプチド)の開発を進めています。

FGF2代替ペプチド (FGFR1cアゴニスト) [製品コード:PG-011] についてFGF2代替ペプチドの作用メカニズム

FGF2代替ペプチド(PG-011)は、FGFR1c受容体に結合する環状ペプチドで構成されるペプチドです。FGFR1cに対する結合を介して、その活性化を誘導し、各種細胞に対する活性を示します(図1)。

図1 FGF2とPG-011の作用メカニズム概念図

ヒトFGFR1cのリン酸化活性および骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(MSC)に対する細胞増殖活性の確認

PG-011は、FGF2と同様にFGFR1cに対するリン酸化活性を持つことを確認しました(図2)。さらにPG-011のヒトMSCに対する細胞増殖活性を、リコンビナントFGF2と比較を行いました。その結果、PG-011はモル濃度での比較で、FGF2とほぼ同等のヒトMSCに対する増殖活性を示し、質量濃度(ng/mL)ベースでの比較では、約3分の1の濃度で同等のヒトMSCに対する増殖活性を示しました(図3)。

図2 FGFR1cのリン酸化活性(自社データ)

図3 ヒトMSCの増殖試験結果(自社データ)ヒトiPS細胞の未分化維持能

公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)のご協力のもと、PG-011のヒトiPS細胞に対する未分化維持能について評価を実施しました。FGF2を100

ng/mL(約5.9 nM)、またはPG-011を同じモル濃度(約30

ng/mL)を含む培地で3種のiPS細胞株を7日間培養し、3回継代作業を行った後に、細胞の形態観察ならびに未分化マーカーの測定を行いました(図4)。

図4 iPS細胞の未分化維持能評価結果

(iPS財団よりご提供)

その結果、3回の継代操作後、PG-011およびFGF2を使用した条件下で、iPS細胞はほぼ同様の形態を示すことが確認されました。さらに、未分化マーカー(SSEA4およびTRA-1-60)の測定結果においても、PG-011を用いて培養したiPS細胞は、FGF2を用いた場合と同様の陽性率を示しました。また、培養期間中の細胞増殖率についても、PG-011とFGF2の両条件で同等であることが確認されました。これらの結果から、PG-011はFGF2と同等のiPS細胞の未分化維持能を有することが示唆されました。

PG-011はFGF2と比較して優れた安定性を有する

FGF2は極めて安定性が低く、培養条件下で容易に変性し、活性を失うことが知られています。そのため、高濃度での使用や頻繁な培地交換が必要となり、製造コストや作業負担の面で大きな課題となっています。ここでは、PG-011とFGF2の安定性を比較するため、37℃の培地中でFGF2またはPG-011を1日および4日間インキュベートした後、ヒトMSCの増殖活性を指標に残存活性の評価を行いました。その結果、FGF2は37℃でインキュベートすることで著しい活性低下を示した一方、PG-011は4日間のインキュベート後も活性を完全に維持し、FGF2と比較して優れた安定性を有していることが確認されました(図5)。この結果より、PG-011を用いることで、培地の交換頻度の削減や、使用濃度の低減が期待できることが示されました。

図5 PG-011の安定性評価結果(自社データ)PG-011のウシ由来筋衛星細胞に対する増殖活性

FGF2は培養肉製造における主要な細胞増殖因子の一つです。PG-011の培養肉業界での利用可能性を検証するため、ウシ由来筋衛星細胞に対する細胞増殖活性を評価しました(図6)。その結果、PG-011はわずか0.2

ng/mLの低濃度条件でも高効率にウシ筋衛星細胞の増殖を促進することが示されました。この結果から、PG-011はヒト細胞に限らず、幅広い細胞種に対して交差性を示す可能性があり、培養肉製造における利用が期待されます。

図6 ウシ由来筋衛星細胞の増殖試験結果(自社データ)

FGF2代替ペプチド「PG-011」は、FGF2と同等の細胞増殖活性ならびにiPS細胞の未分化維持能を持ちながら、優れた安定性により、使用コストや作業負担の軽減が期待されます。また、ヒト細胞だけでなくウシ筋衛星細胞に対しても優れた細胞増殖活性を示しており、培養肉製造にも有望な選択肢となる可能性があります。本製品は、再生医療分野ならびに培養肉分野において、様々な細胞の増殖因子および分化誘導因子としての利用を想定しています。

製品の概要製品コード : PG-011製品名 : FGF2代替ペプチド (FGFR1cアゴニスト)製品形態 : 凍結乾燥品保管条件 : -20℃以下純度 :

95%以上(HPLC)分子量 : 5127.81 (Acetate)内容量 : 10µg, 50µg(バイアル一本当たりの内容量)※

本製品はアニマルコンポーネントフリ―(ACF)証明書の提供が可能です。※ 本製品は試験研究用です。GMP準拠品についても提供が可能です。※

今後、仕様を変更するす能性があります。本製品の販売/ご購入について

上記内容量以上の数量について、バルク品の納入も可能ですので、ご相談下さい。また、再生医療・細胞治療等製品の製造にご使用頂く事を目的に、GMP準拠品についても提供が可能です。詳細は、下記販売代理店、もしくは弊社までお問い合わせください。

関東化学株式会社 :

https://www.kanto.co.jp/キシダ化学株式会社 :

https://www.kishida.co.jp/フナコシ株式会社 :

https://www.funakoshi.co.jp/当社におけるPGペプチドの開発状況について

当社では数十種類の成長因子・サイトカイン等をターゲットに代替ペプチドを開発しております。これまでに合計11品目の製品販売を開始しました。開発は順調に進んでおり、2024年下旬から2025年中旬にかけてPDGF-AA、KGF、IL-15などを対象とした成長因子代替ペプチドを、複数品目上市する予定です。詳細は随時WEBサイトにてアップデートして参ります。ご興味をお持ちいただけましたら、以下問い合わせ先までご連絡ください

《本リリースに関するお問い合わせ先》ペプチグロース株式会社Website :

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[email protected] 当リリースの詳細について

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