早老症治療薬「ゾキンヴィ」の薬価基準収載並びに発売予定について

2024年1月に厚生労働省より製造販売承認を取得した早老症治療薬「ゾキンヴィ」が、本日4月17日、薬価基準に収載されましたのでお知らせいたします。

「ゾキンヴィ」は、早老症のうちハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー(PL)の治療薬で、米国において2020年11月に承認を得て販売され、その後、欧州連合、英国でも承認されました。当社は、2022年5月に日本における独占販売権を取得し、2023年3月に厚生労働省により希少疾病医薬品(オーファン・ドラッグ)の指定を受け、2024年1月18日に製造販売承認を取得いたしました。

そして、本日薬価基準に収載されたことを受け、2024年5月中の販売開始に向け準備を進めてまいります。

この薬価基準への収載を受けて当社代表取締役社長 山田 英は、以下のようにコメントしています。

「本日、ゾキンヴィが薬価基準に収載されたことを喜ばしく思います。先日発表いたしました、本製品の製造元であるEiger BioPharmaceuticals

Inc.の米国におけるChapter11申請により、関係者の皆様にはご心配をおかけしてしまい、申し訳ありません。使用が予想される患者数から、当面必要と想定される本製品数はすでに国内に入荷しております。日本においては有効な治療薬がないHGPS患者の方々、プロセシング不全性PL患者の方々にこの薬を一日でも早くお届けできるよう、準備を進めてまいります。

また、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)において、HGPS並びにプロセシング不全性PLに関する遺伝学的検査を実施できる体制を整えました。これにより当社は、HGPS並びにプロセシング不全性のPLに関して診断から治療までを支援してまいります。」

※「ゾキンヴィカプセル50mg」、「同カプセル75mg」については、吸湿性などの製剤特性があり、同剤の包装単位は30カプセル入りのボトルで、分包が難しく、用法・用量の都合上、14日間で1ボトルを使い切ることができないことから「投薬期間が14日を超えることに合理性がある」とされ、14日処方の例外にすることを認められました。

ゾキンヴィとは

ゾキンヴィは、HGPS及びプロセシング不全性PLの小児及び若年成人において、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質(核の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害します。ゾキンヴィは、ファースト・イン・クラス(注1)の疾患修飾剤であり、小児及び若年成人のHGPS及びプロセッシング不全性PLにおいてその薬効が検討されました。その結果、HGPSの患者において、ゾキンヴィは死亡率を72%減少し、平均生存期間を4.3年延長しました。多くの患者が10年以上にわたってゾキンヴィによる治療を継続しており、最も多く報告された副作用は消化器系(嘔吐、下痢、悪心)で、そのほとんどが軽度又は中等度(グレード1又は2)です。

当社では、日本国内においてゾキンヴィの使用が見込まれる患者数は数名程度と見込んでおります。

HGPS及びPLとは

ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー(PL)は、それぞれが大変希少な致死性の遺伝的早老症で、若い時点から死亡率が加速度的に上昇します。HGPSは、LMNA遺伝子の点突然変異により、ファルネシル化(注2)された変異タンパク質であるプロジェリンが生成されることにより発症します。プロセシング不全性のPLは、LMNAやZMPSTE24遺伝子の変異により、プロジェリンに類似したファルネシル化タンパク質が生成され、老化が促進されます。

いずれの病型ともに、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、関節拘縮、骨格形成不全、動脈硬化の促進などの早老症状が現れ、動脈硬化性疾患(心筋梗塞あるは脳卒中)により若年期に死亡するとされ、HGPSの平均年齢は14.5歳と報告されています。

アンジェスについて

・商号 :アンジェス株式会社

・本社所在地:大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号 彩都バイオインキュベータ

・代表者 :山田 英(代表取締役 社長)

・事業内容 :遺伝子医薬品の研究開発

・設立日 :1999年12月17日

・証券コード:4563(東京証券取引所グロース)

・HP :

https://www.anges.co.jp/

アンジェスは、遺伝子医薬技術を活用し、革新的な医薬品開発に取り組むバイオ製薬企業です。遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指し、遺伝子の働きを利用した新しいタイプのバイオ医薬品である遺伝子医薬の開発を行っています。

当社は、大阪大学の基礎研究を基に1999年12月に設立されて以降、研究と開発の段階を経て、足の血流が極度に悪化する慢性動脈閉塞症を対象としたHGF遺伝子治療用製品については、2019年3月、国内における条件及び期限付製造販売承認を取得し、同年9月に田辺三菱製薬より製造販売を開始しました。これは国内では初の遺伝子治療用製品となります。またプラスミドDNAを使用した製品化は世界初となります。

さらに、2023年5月には、再生医療等製品の条件及び期限付承認制度の導入後初めて、条件解除のための本承認申請を行いました。

さらに、当社子会社であるEmendoBio社では、究極の遺伝子治療であるゲノム編集について先進技術を保有しており、今まで治療法のなかった疾患の治療を可能にするゲノム編集製品を患者の方々に届けできるよう研究開発を進めております。