国内で酵母エキス向けの酵母培養を開始し、酵母エキスの製造量を拡大
将来の世界的な人口増による食料危機などへの貢献を目指す取り組み2022年から2025年までの設備投資額はアサヒグループで44億円を見込む
アサヒグループ食品(本社 東京、社長
川原浩)は、2024年1月から国内で新たに酵母エキス向けの酵母の培養を開始し、酵母エキスの生産を拡大します。酵母の培養はアサヒビール・茨城工場(住所:茨城県守谷市)に委託し、アサヒグループ食品・栃木小金井工場(住所:栃木県下野市)で酵母エキスを製造します。2026年の国内での酵母エキスの製造量は従来比で1.5倍の約5,700tに拡大する見込みです。
アサヒビールと協働で酵母培養に取り組むことで酵母エキスの製造量を拡大し、近年の世界的なプラントベースフード※1需要の高まりや、加工食品の需要の高まりから伸長する酵母エキス市場において原料供給を安定させるとともに、将来の世界的な人口増による食糧危機や、ベジタリアンやヴィーガン※2など生活者の新たなライフスタイルの選択肢の広がりへの貢献を目指します。
本事業による設備投資額は、2022年から2025年までにアサヒグループ食品で25億円、アサヒビールでは2024年までの総額で19億円を見込んでいます。
酵母は直径5~10μmの単細胞の微生物です。酵母エキスは酵母に含まれる成分を抽出したものです。天然物を原料としているため安全・安心な食品素材として、アミノ酸などのうま味成分を生かして主に調味料などに使用されています。
アサヒグループでは、古くからビール製造工程で発生する副産物であるビール酵母を有効活用しており、1930年に発売された「エビオス」※3などをはじめ、医薬品や食品の開発に取り組んできました。現在はアサヒビールのビール製造工程で発生したビール酵母を、アサヒグループ食品の栃木小金井工場でエキス化し、粉末、ペースト、リキッドなどに加工し、アサヒグループ食品がBtoB事業を展開しています。国内外に販売し、食品・健康食品・バイオ・化粧品・ペットフードなどの幅広い分野で活用されています。
近年、酵母エキス需要の高まりに対して、ビール製造量の減少とともにビール酵母の供給が減少してきたことから、アサヒグループ食品では、海外メーカーに酵母の培養・生産化を委託し、輸入していましたが、今回、アサヒビール・茨城工場のビール醸造用タンクを活用して、酵母を培養する技術が確立したためアサヒグループ内での国内一貫製造が実現しました。
また、酵母エキスの製造過程で得られる副産物である酵母細胞壁※4は、食物繊維やたんぱく質が多く含まれることから、将来予想されるたんぱく質不足に対して様々な活用法が見込まれるアップサイクル素材です。自社の健康食品に使用すると共に、今後さらなる高付加価値の活用を検討していきます。
※1 植物由来の原材料を使用した食品
※2 菜食で動物由来の食品を食べないライフスタイル
※3 現在は、アサヒグループ食品が、<指定医薬部外品>胃腸・栄養補給薬「エビオス錠」として販売
※4 酵母の周りを殻のように覆っている部分。現在は主に飼料・肥料などの原料として活用されている
【参考】培養酵母由来の酵母エキス製造工程
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