医学生に「医学部卒業後のキャリア」を調査 卒業後のキャリアで重視する点「やりがい/社会的貢献」73.3%
卒業後のキャリアで重視する点「やりがい/社会的貢献」73.3% 医師の働き方改革医学生の認知度は97.4%
過労死防止への期待、収入減や勤務時間の実態把握に懸念するコメントも メドピア株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 CEO:石見
陽、以下メドピア)と一般社団法人ZEROGATE(京都府京都市、代表:黒岩
駿、以下ZEROGATE)は、ZEROGATEに関わる医学生116名に対して「医学部卒業後のキャリア」について調査いたしました。
* 調査背景
2019年にスタートした働き方改革では、医療の提供体制への影響を軽減するために医療業界に対して5年の猶予期間が設けられていたため、医師の働き方改革は2024年にスタートします。これにより、原則として時間外業務が年間960時間に制限されます。また、昨今医師が起業することもめずらしくなくなり、医学部卒業後のキャリアは多様化しています。
本調査では、このように、医師の働き方改革やキャリアの多様化など医師を取り巻く環境が変わっていく中で、医学生は卒業後のキャリアについてどのように考えているのかを明らかにしていきます。
* 調査結果サマリー
・医学部卒業後のキャリア「医師として勤務」が9割超、将来医師として希望する勤務形態「勤務医(56.5%)」「開業医(30.6%)」
・卒業後のキャリアで重視する点「やりがい/社会的貢献」73.3%
・医師の働き方改革の認知度97.4%
* 医学部卒業後のキャリア「医師として勤務」が9割超
「医学部卒業後のキャリア」について調査を行いました。9割以上の医学生が「医師として勤務」と回答、次いで「起業(5.2%)」となりましたが、現時点ではほとんどの医学生は卒業後医師として勤務を望んでいることがわかりました。
次に、卒業後は「医師として勤務」と回答した方に「医師として希望する勤務形態」について調査したところ、「勤務医(56.5%)」「開業医(30.6%)」と続きました。医学生の多くは勤務医もしくは開業医を希望しているようです。
【医学生による考察(ZEROGATE)】
医学部卒業後は臨床に進み、その後勤務医または開業医としてキャリアを歩むことが、現在もやはりスタンダードであることがわかります(Q2)。また、本アンケートにおいては、卒業後のキャリアでは、「大学院に進学」・「医師以外の一般企業で勤務」よりも「起業」の回答が多い(5.2%)という結果になりました(Q1)。
* 卒業後のキャリアで重視する点「やりがい/社会的貢献」73.3%
医学生が卒業後のキャリアで重視する点について調査しました。
調査の結果、「やりがい/社会的貢献(73.3%)」「収入(69.0%)」「ワークライフバランス(64.7%)」「自身/スキルの成長(60.3%)」に票が集まる結果となりました。
さらに、現時点で希望する診療科は「小児科(25.0%)」「循環器内科(23.1%)」「整形外科(23.1%)」「消化器内科(21.3%)」となり、医学生が回答した「花形診療科」とは相違がある結果となっています。
【医学生による考察(ZEROGATE)】
卒業後のキャリアで重視する点の調査(Q3)では、やりがいや社会的貢献を求めつつも、同時にワークライフバランスや収入も重要視する傾向がわかり、バランスの良い職場環境を望む医学生が多いのではないでしょうか。
また、希望診療科と医学生が考える花形診療科には相違がある結果となりました。花形診療科として1位に上がっていた心臓血管外科は、希望診療科のランク外、花形診療科2位の脳神経外科も希望診療科では10位という結果になっています。さらに花形診療科では10位外となった小児科、産婦人科、皮膚科などが希望診療科として上位にランクインしました。
医学生にとっては、花形診療科にはやりがいがあるが重労働というイメージがあると推測され、収入と並んでワークライフバランスを重視する傾向がある医学生にとって花形診療科が希望診療科とはならないケースもあることが推測されます。しかしながら、社会課題が大きい小児科や産婦人科を希望する医学生も多く「やりがい/社会的貢献」を重視するとの医学生の回答とも合致する結果となりました。
* 医師の働き方改革の認知度97.4%
2024年4月から医師の働き方改革が始まり、これから医師を目指す医学生にとっては自身の働き方と関わる話題となります。
そこで、「医師の働き方改革に関する認知度」を調査しました。医師の働き方改革について「聞いたことがあり、具体的な内容まで知っている(31.0%)」「聞いたことはあるが、具体的な内容までは知らない(66.4%)」と97.4%が認知している結果となりました。
【医学生による考察(ZEROGATE)】
医師の働き方改革について認知が高い理由としては、メディアで取り上げられているニュースの他に、医学部の講義においても頻繁に取り上げられているテーマであることが大きな要因かと思われます。中でも自己研鑽の時間と残業の時間との境目については、医学生からも危惧する声が上がっていることがわかります。自己研鑽の時間を取りたいが、すでに指定勤務時間を超えているケースはどのように扱われることになるのかが、医学生が注目する点となっています。
2023年に生成AIが注目を集め、ZEROGATEでも生成AIを使ったビジネスコンテストを実施するなど、医学生の中でも大きな関心が持たれています。今後医療業界でも生成AIを活用した業務効率化によって医師の働き方の課題が少しでも解決されていくことを期待しています。
【医師の働き方改革について医学生の意見※コメント抜粋】
・医師の実際の勤務時間をどのように記録していくかが気になります。所謂自己研鑽とどう区別するのか。(医学部6年生)
・医師は働く時間が長いので年収が良いため、働き方改革で働く時間が制限されると収入が減ってしまうと考えている。(医学部6年生)
・過労死の防止につながるので、望ましいことだと思う。(医学部4年生)
・研修医の職務を時間制限することにより上級医が疲弊し、後続する医師を育てることが厳しくなるのではと危惧している。また、医師の給料を下げる議論がされているが、多くの他学部の人より勉強し、専門性の高い職業なのに現時点ですでに給料が見合っていないと思う。給料目当てで医師になったわけではないが、他国と比較してもとてもアンバランスであると感じる。(医学部4年生)
・研修医期間に症例をたくさん見たいという人からすると、働き方改革は一概に良いと言うことはできないとも思う。(医学部1年生)
・労働時間は長くても構わないが働いた分の給料はきちんと支払って欲しいと思います。(医学部3年生)
・今いる医師の人数と今ある財源で、医師1人あたりの時間外労働を減らすことは、業務の効率化だけでは厳しいのではないかと考えている。(医学部5年生)
・入学の時点での診療科枠や卒業後のシーリングなどで、人数確保が必要な科に人が集まる仕組みがいずれ必要になるのではないかと思う。(医学部5年生)
・全体としては賛成しつつ、自己研鑽と残業の境目は非常に難しいなと思っています。(医学部6年生)
また勤務時間が減少することによる給与への影響についても数多くの医学生が言及しています。
* 調査概要
調査タイトル:「医学生のキャリアに関する調査」
方法:ZEROGATEに登録している医学部1~6年生
期間:2023年10月12日(木)~10月14日(土)
有効回答:116名
※ 回答学年は、6-4年生:75%、3-1年生:25%というデータになり、高学年の学生の回答が多く集まりました。
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
【メドピア株式会社 概要】
会社名: メドピア株式会社 / 代表取締役社長 CEO 石見 陽(医師・医学博士)
所在地: 東京都中央区築地1-13-1 銀座松竹スクエア9階
事業内容: 医師専用コミュニティサイト「MedPeer」(medpeer.jp)運営、その他関連事業
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