インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024) ~旅ナカを次の旅行に向けたショーケースとするために~
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株式会社JTB総合研究所 プレスリリース:2024年09月13日 報道関係者各位 インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)
~旅ナカを次の旅行に向けたショーケースとするために~ 株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 風間
欣人)は、「インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)」の調査結果をまとめました。
2023年度に実施した「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」において、訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関わらず、「旅マエ」に旅程をほぼ決定していることがわかりました。改めて、旅行前からの早期情報提供の重要性が明らかになったと言えます。
一方で、アジアの近隣諸国・地域や、ビジネス等で日本との接点が多いアメリカなどからの訪日旅行者は、繰り返し日本を訪れることも少なくありません。単発の旅行だけでなく、次回の訪問を見据えて、旅ナカでの体験を次の旅行につなげることはできないでしょうか。旅ナカの期間を次の旅行に向けたショーケースとするために何ができるのか、そのポイントについて考えます。
【調査結果】(1)台湾の旅行者の77.4%、アメリカの旅行者の53.6%は1年以内に再訪したい
行ってみたい都道府県:台湾は北海道、大阪、東京、京都、沖縄、アメリカは東京、北海道、大阪、京都、福岡
今回の調査対象者(過去1年以内に観光目的の日本旅行をした18歳以上の男女/台湾・アメリカ)に、観光を目的としてまた日本を訪れたいかを聞いたところ、「1年以内に訪れたい」と答えた割合は、台湾の旅行者が77.4%、アメリカの旅行者が53.6%で、ともに半数を超えました。これは、台湾では親日家が多いことや地理的な近さ、アメリカではビジネス上のつながりなどから家族・友人訪問が多いためと考えられます(図表1)。
次回の訪日旅行で行ってみたい都道府県としては、東京、大阪、京都、北海道が共通して人気があり、台湾では沖縄、アメリカでは福岡も上位に挙がっています(図表2)。
(2)日本旅行中に触れた情報のうち、次の旅行で行ってみたいと思った場所は台湾・アメリカで特徴が分かれる
台湾:温泉、観光施設、スイーツ・お菓子屋、神社仏閣、地元の人に人気のカジュアルな飲食店アメリカ:テーマパーク、
高級なレストラン・割烹、地元の人に人気のカジュアルな飲食店、景勝地(山)、神社仏閣
次回の旅行で行ってみたい理由は、「今回は時間がなかった」、「気に入ったから(再訪したい)」
日本旅行中に触れた情報で、次回の日本旅行で行ってみたい場所として挙げられたのは、台湾では温泉、観光施設、スイーツ・お菓子屋さんがトップ3でした。一方、アメリカではテーマパーク、高級なレストラン・割烹、地元の人に人気のカジュアルな飲食店が上位で、地域ごとに特徴が分かれました。共通して高い人気を示したのは、「神社仏閣」と「地元の人に人気のカジュアルな飲食店」でした(図表3)。
次回の旅行で行ってみたいと思った理由としては、「直近の旅行の予定が詰まっていて時間がなかった(37.2%)」が最も多く挙げられ、次いで「直近の旅行で訪れて気に入ったから(35.4%)」が続きました。同じ場所を繰り返し訪れることを想定し、旅ナカで次回の訪問先の情報を集めていることも多そうです。また、次回の旅行のお楽しみとして取っておきたい、という意識もあるのかもしれません。
さらに、「直近の旅行先から離れた場所だった」という理由も3割程度ありました。旅行の滞在先から距離があるエリアの情報だとしても、次回の旅行先の候補としては、興味深い情報として旅行者に受け入れられる可能性があると考えられます(図表4)。
(3)日本国内での情報接点は、SNS、動画投稿サイト、観光情報サイト、日本訪問経験のある家族や友人の体験談
台湾からの旅行者は動画投稿サイト、ネットサーフィン、アメリカからの旅行者はSNSの利用が多い傾向
日本での滞在中に、どのようなところから情報を得ているかに関しては、全体的にはSNSやインターネットでの検索、YouTubeなどの動画投稿サイト、家族や友人などの体験談が上位となりました。地域別にみると、台湾ではより「動画投稿サイト」、「ネットサーフィン」の割合が高く、アメリカでは「SNS」の割合が高い傾向がみられます。アメリカの旅行者は、台湾の旅行者に比べて滞在日数が長いせいか、ホテルのコンシェルジェやお店のスタッフ、交通広告、現地のメディア、ポッドキャストなど様々な情報源から情報を得ている様子も明らかとなりました(図表5)。
(4) 行ってみたいと感じる画像は、国・地域より、年代による違いが大きい
29歳以下は「アウトドア体験やお酒」、30代はキャラクター、40代は「体験」、50歳以上は「景観」や「食」
旅行者は、情報として目にするどのような画像に関心を持ち、行ってみたいと感じるのでしょうか。17枚の「体験」、「食」、「景観」などに関する画像を提示し、評価をしてもらった結果、地域ごとの特徴よりも年代別で違いが明らかとなりました。20代は、ビーチや野球場などのアウトドア、ビールやワイン、日本酒といったアルコールの画像に関心が高い傾向がみられました。30代~40代は子供がいる旅行者も多いのか、キャラクターや体験すること(いちご狩り、奈良の鹿とのふれあい、鉄道など)への関心が高く、50歳以上は「食」や芝桜などの景観に惹かれるようです(図表6)。
(5)全体の88.8%が帰国後にも日本の土産物を購入する。台湾の旅行者は、日本で訪れた店や街などのECサイト、アメリカの旅行者は、自国の店やECサイトを利用
購入しているもの:台湾は「スナック・菓子(77.1%)」、「食品(61.5%)」、アメリカは「伝統工芸品(45.0%)」や「キャラクター商品(39.9%)」など食以外が多い傾向
旅ナカだけではなく、次の訪日旅行までの期間に継続的なつながりを作っていくために、帰国後に日本の土産物を購入するかどうかを聞きました。その結果、台湾とアメリカを合わせて88.8%の回答者が、何らかの購買行動をしていることがわかりました。また、台湾とアメリカの違いをみると、台湾の旅行者は日本で訪れたお店や街のECサイトを利用して土産物を購入しているのに対し、アメリカの旅行者は、自国内の日本の商品を取り扱う店舗や普段からよく使っているECサイトでの購買が多くみられました(図表7)。
具体的に買っているものとしても、台湾とアメリカで違いがみられました。台湾の旅行者は「スナック菓子」や「食品」が上位となった一方、アメリカの旅行者は、「伝統工芸品」や「キャラクター商品」、「革製品・ファッション雑貨」など、食以外のものも購入する割合が高い結果となりました(図表8)。
(6) まとめ
2023年度の調査結果(*1)では、訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関係なく、「旅マエ」に旅程をほぼ決定していることが分かりました。そして、旅ナカで新たに得た情報がきっかけで体験することは、主に「食事」や、滞在先の周辺で行える「数時間程度の体験」などでした。これだけを見ると、旅ナカで提供できる情報は限られているようですが、今回の調査では、およそ3割の旅行者が、次回の旅行先としての情報であれば、離れた場所の情報にも関心を持っていることが明らかになりました。
少し視点を変え、旅ナカでの情報接点を次回の訪日旅行の「旅マエ」の期間と位置づけることで、旅ナカでのより幅広い情報提供の可能性が生まれるのではないでしょうか。
また、関心を持つ情報や情報の接点には、国や地域、年代など、旅行者の属性によって異なる傾向が見受けられました。ターゲットに応じ、提供する情報の内容や提供先を細かく使い分けることが重要と考えられます。
さらに、9割近い旅行者は、旅行後も日本に関連する商品を購入していることがわかりました。例えば、台湾からの旅行者が帰国後も日本の土産物を購入できるよう、旅ナカで日本の店舗やまちのECサイトを訴求する、アメリカからの旅行者へは、アメリカ国内でよく利用されるECサイトや小売店などを通じて日本の情報を提供するなど、旅アトの旅行者との接点を継続する取り組みなども有効といえそうです。
(*1)「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」
https://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2023/10/inbound-survey/【調査概要】
調査方法:インターネット調査会社が保有しているモニターに対するwebアンケート調査対象者:過去1年以内に観光を目的とする日本旅行をした18歳以上の男女台湾
319名、アメリカ 371名調査時期:2024 年7月8日~19 日
【お問い合わせ】株式会社JTB総合研究所 経営企画部 広報担当問合せフォーム:
https://www.tourism.jp/contact/ 当リリースの詳細について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000122426.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000122426.html
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