2024年度 第19回「ロレアルーユネスコ女性科学者 日本奨励賞」 日本の科学をけん引する若手女性研究者4名を表彰
日本の科学をけん引する若手女性研究者4名を表彰 有識者と科学界のジェンダー平等を実現するための課題と解決策を探求するトークセッションも併催
2024年度 第19回 「ロレアルーユネスコ女性科学者 日本奨励賞」世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)の日本法人である日本ロレアル株式会社
(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン-ピエール・シャリトン)は、9月6日(金)、2024年度 第19回「ロレアル-ユネスコ女性科学者
日本奨励賞」の受賞者4名の発表および授賞式を東京
港区の駐日フランス大使公邸で実施しました。第二部のトークセッションでは、ジェンダー平等を推進する研究者・有識者が集い「科学界におけるジェンダー平等実現にむけてブレークスルーはあるのか?」というテーマで議論し、研究分野において多様性を担保し、ジェンダー差のない科学界の実現に向けて最適解を探りました。
2024年度 第19回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」受賞者(4名)
2005年に創設された本賞は、日本国内で物質科学、生命科学の2分野における博士後期課程に在籍または同課程に進学予定の女性科学者を対象としています。各分野からそれぞれ2名(計4名)が毎年選出され、受賞者には奨学金100万円が贈られます。審査では、研究の達成度に加えてテーマ設定のユニークさや、個々の研究のプロセスで出会う困難への対処の仕方、研究時の発見や開発に至る過程での科学的解釈に対する発想などに着目して審査されました。
「物質科学」分野佐藤 祐理子 (26) 大阪大学大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 加工物理学領域 佐野研究室研究内容
:電磁熱流体力学に基づく熱プラズマ源を用いた材料加工現象の解明ならびに次世代加工プロセスの創成受賞理由
:溶接技術を科学的に理解する研究を進め、職人の経験的技術に依存していた溶接の分野に、科学的な観察に基づく制御指針を取り入れたことが評価されての受賞。森井 嘉穂
(26) 東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻 国立天文台中村研究室研究内容:雲から星へ 電波観測による重い星の誕生過程の解明受賞理由
:本研究は、膨大な観測結果から統計的に扱える数の観測例を集めて観測し、その結果を基に良い解析を行なうことが求められるが、明確なビジョンをもとに根気よく作業を進め、確度の高い考察に至っていることが評価されての受賞。
「生命科学」分野白石 千瑳 (29) 九州大学大学院医学系学府 医学専攻 分子医科学分野研究内容:組織特異的な翻訳制御機構の解明受賞理由
:タンパク質の翻訳と、それによって引き起こされる組織特異的な異常につながる研究を通して心機能に異常をきたすメカニズムの解明につながる画期的なアプローチが評価されての受賞。
橋本 明香里(28) 名古屋大学大学院医学研究科 分子細胞学研究内容:ミクログリアによる神経回路調節機構の解明受賞理由
:本研究は、視覚だけでなく、脳の多種感覚情報の統合や分別に関わる新たなメカニズムの解明にもつながる発見として評価されての受賞。
※所属は2024年2月末応募当時、年齢は2024年9月6日時点のものです。授賞式では在日フランス大使の在日フランス大使館 科学技術参事官
ディディエ・マルティ=ドシュ様、文部科学省 科学技術・学術政策局 参事官(国際戦略担当)倉田 佳奈江様より受賞者へ祝辞を賜りました。第二部:トークセッション
「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としているー科学界におけるジェンダー平等実現に向けてブレイクスルーはあるのか?」モデレーター:
田中沙弥果(特定非営利活動法人Waffle 理事長)登壇者:横山 広美(東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構教授 )原山 優子(東北大学名誉教授)
桑田 薫(東京工業大学理事・副学長 研究・ダイバーシティ推進担当)
最新の統計調査では日本における女性研究者数は過去最多の18万3300人となり、研究者全体に占める割合は18.3%と過去最高を記録*しました。しかしながら、国際的に見ると未だ低水準であることは否めません。背景には、女子は理系科目が苦手という思い込みや、中高生の理系選択時に「女子が理系に進学すると就職先がない」といった保護者や教育者のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が少なからずあることが確認されています。
これまでも、産官学でさまざまな取組みが実施されてきましたが、昨今この状況を打破する一手として、入試におけるクオータ制、女子枠の導入を推進する大学も登場し、議論が活発化しています。そこで今年は、科学界における多様性、ジェンダー平等を推進する研究者、有識者が集い、「科学界におけるジェンダー平等実現にむけてブレークスルーはあるのか?」というテーマでパネル・ディスカッションを開催。
議論の中では、東京工業大学副学長で、同大学で「研究・ダイバーシティ推進」担当でもある桑田薫氏からは、「女子学生の進学先における意思決定に関する調査では、“自分自身で決めた学生”と、“保護者の影響で決めた学生”の大きく2パターンがある」ことが示され、文理選択における保護者の影響力が依然として大きいことが指摘されました。
また、東北大学名誉教授の原山優子氏は、「“数学が楽しかったから”研究の道に進んだ」という自身の経験から「まずは子ども達自身が楽しいと思えるような、そして判断できるような(理系の)教育が必要」というコメントもあり、女子の理数系選択の促進には、小さいころからの教育の「質」も重要であることが示されました。科学分野におけるジェンダー平等を実現するためには、旧来のイメージに留まらず、変わろうとする科学界の現状を周囲が正しく理解する必要があります。そのためには、学校教育、高等教育、家庭、企業、NPOのすべてにそれぞれの役割があり、社会全体として取り組むことの重要性が改めて語られました。
* 総務省令和5 年科学技術研究調査結果「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」(主催:日本ロレアル)
https://www.loreal.com/ja-jp/japan/articles/commitments/fwis/
「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」の国内版として、日本ロレアルは2005年に日本ユネスコ国内委員会の協力のもと「ロレアルーユネスコ女性科学者
日本奨励賞」を創設。日本の若手女性科学者が研究活動を継続できるよう奨励することを目的とし、物質科学、生命科学の分野で、博士課後期課程に在籍または、博士後期課程に進学予定の女性科学者(40歳未満)を対象としています。毎年、物質科学・生命科学から原則、各2名(計4名)に奨学金100万円を贈呈しています。2024年度を含み75名の若手女性科学者が受賞しており、受賞後さらにキャリアを開花し、国内外で活躍しています。
「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」(主催:ロレアル本社)https://www.forwomeninscience.com/(英語のみ)
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世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)はいち早く、1998年に世界の社会的課題である科学分野における女性研究者の割合を増やし、地位向上を目指すべく「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」を創設しました。これまでに世界110ヵ国から4,100名以上の女性科学者(ノーベル賞受賞者含む)を表彰してきました。「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」は、これまでに2021年の野崎京子氏(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻教授日本化学会理事)を含む7名が受賞しています。
ユネスコについて
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、諸国民の教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。本部はフランス・パリにあり、2023年8月現在の加盟国数は194ヵ国です。科学においては、技術、イノベーションや教育の発展に注力しているほか、海洋資源や生物多様性の保全、科学的知識に基づく気候変動や自然災害への対応策に取り組んでいます。とりわけ研究において、あらゆる人種差別の撤廃と男女共同参画を推進しています。
日本ユネスコ国内委員会について
http://www.mext.go.jp/unesco/index.htm
日本では「ユネスコ活動に関する法律」に基づき、文部科学省に置かれる特別の機関として日本ユネスコ国内委員会が設置されています。日本ユネスコ国内委員会は、教育、科学、文化等の各分野を代表する60名以内の委員で構成され、我が国におけるユネスコ活動の基本方針の策定、ユネスコ活動に関する助言、企画、連絡及び調査等を行っています。日本ユネスコ国内委員会事務局は文部科学省に置かれ、文部科学省国際統括官が日本ユネスコ国内委員会事務総長を務めています。
ロレアルグループについて
https://www.loreal.com/en/mediaroom
ロレアルは115年にわたり美容・化粧品業界のリーダーとして、世界の消費者の美への希求とニーズに応えることに専念してきました。当社のパーパス「世界をつき動かす美の創造」は、社会に対しても、環境に対しても、サステナブル、インクルーシブ、倫理的かつ寛大な形で美を通じて貢献してゆくという私たちの美への姿勢を包括的に表現するものです。
37の国際ブランドを初めとする多様で幅広いブランドポートフォリオと、持続的発展と環境を守るための取り組みである「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」プログラムを通じ、美の無限の多様性を賛美し、世界のすべての人々に最高水準の品質、有効性、安全性、誠実さ、責任をお届けします。当社は、9万人を超える従業員を擁し、地理的にもバランスの取れた拠点展開と、すべての流通網(eコマース、マスマーケット、百貨店、薬局、美容室、ブランドおよび旅行小売)における販路を有しています。
2023年のグループ売上高は411億8千万ユーロにのぼります。世界11ヵ国に20の研究開発と研究開発拠点を置き、4,000人以上の科学者と6,500人を超えるデジタル人財を擁するロレアルは、美の未来を創造し、ビューティーテクノロジーを推進してゆくことを重要視しています。詳細については、以下をご参照ください。
日本ロレアルについて https://www.loreal.com/ja-jp/japan/
https://www.loreal.com/ja-jp/japan/ロレアルは 1963 年から日本で事業を開始し、1996
年に日本法人である日本ロレアル株式会社が設立されました。 2023年末現在 の社員数は2,300 人、取り扱いブランドは 18
です。化粧品の輸入、製造、販売、マーケティングを行っています。日本はロレアルグループのなかで戦略的拠点のひとつであり、マーケティングならびに営業拠点のほか、研究開発所(日本ロレアル
リサーチ&イノベーションセンター)と製造工場(株式会社コスメロール)とシュウ
ウエムラとタカミの2つのブランドの本社組織(商品企画やグローバル展開施策を策定する組織)を有しています。 当リリースの詳細について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000207.000004813.html
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