33回健康と経営を考える会定例会 「女性の瘦せ症対策」「健保の重症化予防対策」開催

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一般社団法人健康と経営を考える会 プレスリリース:2024年10月07日 報道関係者各位 【開催レポート】第33回健康と経営を考える会定例会

「女性の瘦せ症対策」「健保の重症化予防対策」開催 「健康と経営を考える会」第33回定例会(会員のみ参加)を、会場(同友会ビル会議室

文京区)×オンラインで9月4日(水)に開催いたしました。

今回は、「健康投資WGで討議されていること」について株式会社ミナケア山本代表取締役社長、「女性の痩せ症」について順天堂大学大学院・田村代謝内分泌科学教授、「内田洋行健康保険組合の重症化予防対策」についてBasical

Health株式会社・佐藤代表取締役と内田洋行健康保険組合・眞野保健師からご講演いただきました。

■■■株式会社ミナケア山本代表取締役社長 講演■■■【第12回健康投資WG報告】■2024年度・健康経営度調査の主な変更点

今回の主な変更点としては、1「健康経営の可視化と質の向上」、2「新たなマーケットの創出」、3「健康経営の社会への浸透・定着」がある。

「健康経営の可視化」の点では、PHR「健診結果やライフログデータを活用し、イベントやインセンティブ付与等行っていること」が新設調査項目となっている。また、40歳未満の健保への健診データ提供が、加点対象となっている。

可視化の質向上として、経営者の巻き込みが非常に重要で、取締役会や取締役以外の経営会議でも健康経営を議題として取り上げ、保険者との連携を議題とすることも加点対象となっている。

質向上という意味で、もう一つポイントとなるのは、受診勧奨、ストレスチェック、健康保持・増進に関する教育、コミュニケーション促進、食生活改善、運動習慣定着について、アウトプット評価にシフトしたことである。今後は、取組み達成度を問うアウトカム指標導入を期待している。

健康経営取組みの拡大として、テレワーク等の柔軟な働き方、海外法人での健康経営推進、介護や育児との両立支援について重視されている。また、常時使用しない従業員や派遣社員への健康施策、プレコンセプションケア(男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身につけ健康管理を行うよう促すこと)についても調査項目となっている。

■健保の評価方針変更

来年度から加算・減算制度(保険者に対するインセンティブ)の配点について大きく変わる。特定保健指導について配点60点であったところ20点となり、余った40点分については、PHR、子供対象保健事業、生活習慣改善、ロコモ対策等に振り分けられ、新たに対策を考えることが重要となる。

■健康と経営を考える会について

先日、健康経営会議に会代表理事として登壇し、会の紹介を行った。会の目指す像は、企業・保険者・行政・医療従事者・自治体・労組等が一体となり、健康経営や保健事業の推進を実現していくことである。企業と保険者が同じテーブルについて課題を検討し、厚労省・経産省の担当者にも参加いただき健康経営推進・現場状況のインプットや意見交換できることも、会にとって重要なことであると考えている。また、専門家との交流ができるメリットもある。現在、会員募集中で、会員の親しい企業・健保にもお声掛けいただければと考えている。

■■■田村 順天堂大学大学院 代謝内分泌内科学 教授 講演■■■【女性の「瘦せ症」とその対策】

■瘦せがもたらす女性の健康リスク

日本は先進国の中で最も痩せた女性が多く、20代女性の4人から5人に1人がBMI18.5を下回っている。女性で、標準体重より痩せた人で耐糖能異常の割合が約7倍高い、糖尿病になりやすいことがわかった。この痩せた人の特徴として、標準体重に比べて「動かない・食べない」、その結果、痩せていることが分かった。私たちは、こうしたパターンをエネルギー低回転型と呼び、多く食べて運動する健康な人とは異なり、糖尿病リスクが高いことが分かった。また、痩せた人は太った人のように、インシュリンの糖取り込み能が低下し、糖尿病にかかりやすいことも分かった。同様な状況は、筋肉量が少なく、筋肉に脂肪が溜まる脂肪菌という状態となる閉経後の女性にも起こり、血糖値が高くなることが分かっている。

20代女性・標準体重の人では3割が骨減少症であるが、BMI18.5を下回ると、4割が骨減少症、あるいは骨粗鬆症となることも分かってきた。出産時には骨密度が下がり、最も低下した時期に痩せている女性では出産後7割も骨減少症となる。骨密度は20代がピークだと言われていて、50歳過ぎて閉経すると一気に下がる。50代・60代女性の転倒・骨折が最も多いこともあり、働く世代でも非常に重要なリスクである。

女性の痩せのリスクとして、他にも月経不順、不妊、低出生体重児の原因もある。低出生体重児は将来、糖尿病になりやすいことも確認されている。女性の痩せは、世代をまたがり、様々なリスクを起こし、高齢期になるとさらに顕在化する。

■痩せたい気持ちを過剰に作り出す社会

標準体重の女性も、半数以上が太っていると思っていて、9割が痩せたいと思っている。5割が「ちょっとぽっちゃりしたね」「顔が丸くなったね」など「この1年で体型に関するネガティブ発言を受けた」とアンケートで答えている。

痩せたい人が増えてきたのは、1980年代、女性アイドルが出てきたことが大きな要因ではないかと思い、日本タレント名鑑でアイドルの身長・体重を調査した。1980年代の芸能人の体重は、最多が160cm・45kg、BMI17.5であった。現在の20代女性に理想体重をたずねても、最多が45kgで80年代アイドルと同じであることが分かった。1980年代以降、同じ理想体重で身長だけが伸びたことで、BMIが更に下がったと仮説を立てている。体型不満、痩せ願望に結びつく、心理面について、SNSの影響が大きいとも考えている。痩せが無月経、不妊、骨粗鬆症のリスクであることの認知度は、女性で5割、男性だと2割と低いことも、この課題が大きくなっている原因ではないかと考えている。

■「痩せたい気持ちを過剰に作り出す社会」を変えるには

欧米では、ボディイメージ教育「SNSを見たときの受け止め方」・「他人から体型のことを言われたときの対処」・「体型のことを会話の中で言うこと自体がタブーであること」がなされている。

幼い頃からのボディイメージは重要だが、バービー人形は、長年、女性の社会的規範として痩せた体型を支持してきたことで批判されている。バービー人形のBMIは12程度であったが、体型の多様性を取り入れた標準BMIの人形も10年前からつくられはじめた。

我々は、昨年度から女性のボディイメージと健康改善のための研究開発に取り組んでおり、スポーツ庁や文部科学省と、これから始まるウェルビーイング教育のなかで体型に対する包摂的な考え方を取り入れることを推進している。

企業参加型のマイウェルボディ協議会を立ち上げ、女性の痩せ症啓発活動も行っている。■新たな症候群の定義

健康日本21(第三次)では、新たな視点として、女性の健康が掲げられ、女性の痩せ関連では、若年女性の瘦せ症割合と骨粗鬆症検診の受診率を15%とすることを目標としている。

ハイリスクの痩せ(骨減少症や月経異常などを伴う)を「痩せ症」と定義するよう、肥満学会のワーキンググループで検討を進めている。

胸部レントゲン写真をAIで画像解析することで、骨密度を推測するソフトウェアが開発されており、来年度以降、定期健康診断で解析により高リスク者には受診勧奨、低・中リスク者にはウェビナーで情報提供を行うプロジェクトを進めている。

■■■眞野 内田洋行健康保険組合 保健師 講演■■■【内田洋行健康保険組合における重症化予防対策について】

当健保では、被保険者、被扶養者ともに健診受診率が高い。以前より健診受診について事業所の意識は高く、夫婦受診の風土もあり、被扶養者の受診率も高率い。事業所担当者との連携はよく、特定保健指導等に関しても高率を維持できている。

2014年に健康管理システム導入により健康状況はデータ化され、未受診者への介入もスムーズに行えるようになったことで、第5回健康寿命伸ばそうアワードを受賞している。健康管理システムでは、データ処理、ターゲットを絞り込んだ保健事業実施・評価に欠かせないものとなっている。

治療管理中だが超ハイリスクであることを課題としていた時、糖尿病治療薬に関する佐藤先生(Basical

Health株式会社)の勉強会に参加し、産業保健の場でも糖尿病の最新の治療薬を知ること、適切な受診先につなげることの重要性を学んだ。健保に顧問医がいれば治療内容にまで踏み込めるという思いが強まり、母体企業に顧問医導入効果、産業医との違い等について説明を行い、2021年から佐藤先生を顧問医に迎え重症化予防介入を始めた。

超ハイリスク者について数字が悪い理由は何か、食事・運動・体重管理はどうか、1人1人ストーリーが語れるくらい把握せよとの指示を顧問医より受け、健康管理システムから受診有無だけではなく、治療薬、かかりつけ医療機関名、これまでの経過を把握し、検査値や管理状況をヒアリングした。1.医療機関受診状況の詳細確認、2.未受診者には糖尿病専門医の受診勧奨、この2点を重視して介入している。取組みを進めることで、未受診者、超ハイリスク該当者も減少し、糖尿病専門医への受診割合も増加傾向である。

超ハイリスク者の状況を詳細に把握することで介入のスキルアップにもつながること、超ハイリスク者は特定保健指導の対象にはせず重症化予防介入としていること、特定保健指導委託業者との打ち合わせに顧問医も入り委託の精度管理も行っている。

1.現在の超ハイリスク該当者は過去10年ほど該当となっている人もいる、2.糖尿病の超ハイリスク・未受診者は感染症での受診はある、3.眼科で糖尿病性網膜症がわかり内科受診に至るケースがあることに効果検証で気づいた。これらの点は、健保として、また国の施策としても、今後対策の余地があると考えている。今後の取り組みとして、より早期の対応、健診機関との連携、リテラシー向上、個別性の高い介入、スタッフのさらなるスキルアップを考えている。

■■■佐藤 Basical Health株式会社代表取締役 講演■■■【重症化予防対策の考え方~内田洋行健保顧問医として】

健保運営は非常に難しくなっており、2023年度の日本の医療費が47兆円ということを厚労省が発表されていたと思うが、これからも増えていくと思う。メタボ対策をしっかり行うことが、健保運営にとって、まず大事になると考える。結果が出る、健康になる健康施策が重要で、内田洋行での顧問医としても、特定保健指導もコラボヘルスも、糖尿病腎症の重症化予防もやるなど、様々、積極的に取り組めば改善は見られる。減算の配点項目に取り組むことが重要となってくる。

日本糖尿病対策推進会議では、20年以上前からHbA1cが9%以上であれば糖尿病専門医に受診する取り決めがなされており、市町村では普通に行われているが、職域の健保では行われていないことは非常に驚きであった。私の勉強会に来ているタクシー会社で、ドライバーがメタボで脳梗塞や業務中に事故を起こす状況で、2018年からHbA1c9%以上59人を対象に健保より専門医への受診勧奨を行い25人に減少した。内田洋行でも2018年にはHbA1c9%以上・55人から2023年には38人に減り30%以上減少した。糖尿病専門医と健保の保健師がタッグを組めば、このように減らすことができると思う。

糖尿病学会ではClinical

inertia(治療強化の必要があると認識していながら従来の治療を続けてしまうこと)をなくすことを推進しているが、職域の健康増進でもClinical

inertiaは課題となっている。職域の医療スタッフ100名以上に「糖尿病治療について自分が説明することにどれくらい自信があるか」聞いたところ、ほとんどのスタッフで自信がないと答えている。

これからはクオリティの高いコラボヘルスが大切で、クオリティが高いコラボヘルスは医学的に正しいことを行うこと、クオリティが高くないと生活習慣改善を結果として出せないことになると思う。健保の財政も大変ですが、速やかに超ハイリスクの人たちを減らし、健康増進につなげる必要があり、結果が求められる加算・減算にも評価されるという時代になっていると思う。

<健康と経営を考える会についてはこちら>

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一般社団法人健康と経営を考える会について

『社員の健康を維持・増進』することが、企業の生産性や保険者の収支に多大な影響を及ぼすため、両者が一体となって、如何に効果的、かつ効率よくその仕組みを構築し、推進していくか」について、医療従事者も含めて検討、議論を重ねています。

【会社概要】社名:一般社団法人健康と経営を考える会事務局所在地:〒103-0024 東京都文京区西片1-15-10 7階 同友会内事業内容:

健康経営・保健事業に関する情報発信・啓発活動・教育活動設立: 2013年5月HP:https://kenko-keiei.org/

https://kenko-keiei.org/ 当リリースの詳細について

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