私が傷つけたのは、「最愛の母」でした――女優・秋吉久美子さん×作家・下重暁子さんによる特別対談『母を葬る』(新潮新書)が11月18日に発売!
70歳と88歳が語る、苦しくも愛しい“家族という呪縛”
株式会社新潮社は、1972年のデビューから50年余の女優人生を歩む秋吉久美子さんと、歯に衣着せぬ物言いが痛快な作家・エッセイストの下重暁子さんによる特別対談『母を葬る(新潮新書)を11月18日(月)に発売いたします。同時期に古希(秋吉さん=70歳)と米寿(下重さん=88歳)を迎えたお二人。看取ったのは数十年前のことですが、いまだ「母と訣別(けつべつ)できていない」と語ります。果たしてその真意とは?
複雑怪奇な母娘の関係をやわらかく解きほぐしていく1冊です。
もっと上手くやれたはず。
でも、これはこれで仕方ない――
「母の母性が私を平凡から遠ざけ、母の信条を大胆に裏切る土台が出来上がってしまった」(秋吉)。「30年以上、一度も母の夢を見たことがない」(下重)。過剰とも思える愛情を注がれて育ったものの、理想の娘にはなれなかった……看取ってから年月が過ぎても未だ「母を葬〈おく〉る」ことができないのはなぜなのか。“家族”という名の呪縛に囚われたすべての人に贈る、女優・秋吉久美子と作家・下重暁子による特別対談。
■「まえがきにかえて」より抜粋
母を葬(おく)るに至ったこの年齢になって、湿っぽい郷愁で母を語るというのはいかがなものだろうと怖(おじ)ける。母を語ることは、自身の長い道程を改めて振り返ることだ。母という人間をキメ細かく想い起こし、枯れぬ泉のように、今も脈打つ母性への痛みと悲しみ、愛しさを辿る行程でもある。
――秋吉久美子
■「あとがきにかえて」より抜粋
私たちはどこから来て、どこへ行くのか。私たちを産んだ母という存在だけがそこにある。そうした生の連鎖を、母たちはどう受けとめているのだろう。――その解答が出ないまま、私は子どもをつくらない選択をした。そして、その解答が出ないままに、やがて死を迎える。
――下重暁子
■目次
まえがきにかえて 秋吉久美子
序章 母を葬る
黄昏時に旅立ちたい
娘二人じゃだめなの?
第一章 青春って見当違い
アナウンサーなんて大嫌い
ジャンケンで負けてNHKへ
癖のない文章
大島渚監督のリアル
ピタリのあだ名
バランスが悪くて上等
『赤ちょうちん』の敗北感
女優は公共サービス
「卵で産みたい」発言の理由
撮影現場の問題児?
「寅さん」マドンナの胸の内
達観なんて100年早い
ねえや
チッキの泣き声
いつまでも転校生
ノーブラは自由の象徴か
夢を守る責任
東北未来がんばっぺ大使
ガールズケイリン復活に奔走
お決まりのヒロイン
第二章 家庭内キャリアウーマン
二人のマサコさん
娘に託した夢
学生集会の“プレイガール”
自己欺瞞と罪の意識
母から受け継いだもの
金髪のクラスメイト
過干渉
セーラー服の独立宣言
“まとも”な人は面白くない
第三章 落魄の人
たった一人の反乱
三度目の迎合
期待をかけるのは自分だけ
ねじれ現象
父が残した春画
100通のラブレター
結核病棟の恋
軍歌は「青春」だった
大きな駄々っ子
塩にまみれたホッケの尻尾
「おまえが看取れ」
最大のプレゼント
初恋の人
第四章 人生はひらり、ひらりと
受け容れる力
欠かさなかった電話
「子ども」相手には反抗できない
カルカッタの「アンチー」
苦情係のパンダ
上機嫌な旅立ち
枕元の短剣
円熟を追い求めて
長く生きてよかった
あとがきにかえて 下重暁子
< 著者紹介>
秋吉久美子(あきよし・くみこ)
1954年生まれ。72年、映画『旅の重さ』でデビュー後、『赤ちょうちん』『異人たちとの夏』『深い河』など出演作多数。55歳で早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科修了。著書に『秋吉久美子
調書』など。
下重暁子(しもじゅう・あきこ)
1936年生まれ。59年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKにアナウンサーとして入局。民放キャスターを経て文筆業に。著書に『家族という病』『極上の孤独』『人間の品性』など多数。
< 書籍データ>
【タイトル】母を葬る
【著者名】秋吉久美子 下重暁子
【発売日】2024年11月18日
【造本】新書判(208ページ)
【定価】968円(税込)
【ISBN】978-4-10-611064-1
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